『ロレッタとLUNA SEA(後編)』
時間は15時を回り、俺とロレッタさんは会場の中に入った。
この日のLIVEは16時からと珍しく早めだった。
「わぁ~沢山、お花が飾られてますね。」
彼女がそう言う通り、入り口前の通路には沢山のお祝いの花が
飾られていた。
関西と違って東京の方でのLIVEはこの通り花の数が多い。
BUCK-TICKにDAITAにABCにDAIGOに黒崎真音、GACKTと
ミュージシャン仲間からも沢山。
東海林のり子さんや「Mステ」、「SONGS」、イープラスなどからも
届いていた。
あと、hideの弟の松本裕士さんからも。
俺はその花の前でロレッタさんに言った。
「俺、この人とこの5月にhideのイベントでお会いして
握手してもらったんですよ。」
「へぇ。すごい。TATSUさん、結構、有名人の方とお会いしてるんですね。」
「まあ、それほどでも。」
「おい!そんな照れるなって!」
「悪い悪い。」
そうhideちゃんにツッコまれた。
更にはメンバーが実際に使っている楽器も展示されていた。
「わぁ~、かっこ良い!」
「やっぱギターってかっこ良いですよね。」
「TATSUさんはこういう楽器って弾けますか?」
「いや、全然。歌うのは好きでカラオケはよく行ってるんですけどね。
昔、大学の学園祭のカラオケ大会で優勝した事もあるんですよ。」
「へぇ。すごいですね!」
「そういやロレッタさんも歌がお上手なんですってね。」
「えぇ。里ではコーラス隊のリーダーもやってます。
前に魔法学校のお祭りでも歌って皆、喜んでくれました。」
「それはすごい!それならこの後のLIVEでアンコールが始まるまでの間、
是非「きよしこの夜」を歌って下さい!」
「え?でも…」
「きっと素晴らしいと思いますよ!その時になったら周りに合わせて真似して
歌ってくれたら良いですから。」
「わ、わかりました。その時になったらやってみます。」
俺がそう勧めると彼女はとりあえず受け入れてくれた。
「まだもうちょっと時間あるから何かまた食べます?」
「いえ、わたしはもう結構です。」
「じゃあ、俺、ビール買って来ますね。」
「わかりました。ここで待ってます。」
そう言って俺はKFCの屋台で生ビールを買った。
「お前、本当お酒好きだな。」
「hideちゃんに言われたくないよ!俺達酒仲間じゃん!」
「まあな。でも飲み過ぎて本番中にトイレ我慢するんじゃねえぞ!」
俺はまたhideちゃんにそうツッコまれた。
確かにLIVE直前にビールを飲んで本番から本編が終わるまで
ずっとトイレを我慢していた事は何度かある。
ここではそうしないようにちゃんと事前にトイレを済ませる事にした。
そうして俺達はアリーナの座席へと着いた。
中を見るとサンタコスの人達から年輩の人、外国人まで様々だった。
しかもこの日のLIVEはWOWOWでの生中継も入る為、
カメラ等の準備も整ってある。
でも俺の家ではWOWOWは写らないので、Blu-ray化を待つ。
「あぁ~この目でLUNA SEAの皆さんを生で観れるなんて幸せです!
TATSUさん!ありがとうございます!」
隣でロレッタさんは喜びに満ちた笑顔でお礼を言ってくれた。
「そんな。まだ始まってないんですし、ゆっくり楽しみましょう!」
俺もhideちゃんを持って開演を待った。
時間は16時過ぎ。
会場内が暗転した。
ついに開演である。
観客は全員、立ち上がり歓声が沸く。
ステージ上にはクリスマスにちなんだ教会のような映像が映し出される。
キャンドルに灯る炎。
まるで教会だ。
丸1年前から発表されていたこの2日間のLIVE。
それだけ期待度も高い。
SUGIZO、INORAN、J。
それぞれのソロLIVEも今年、生で観た。
10月に行った幕張でのVJSでもLUNA SEAのステージを観た。
だがこういうワンマンLIVEを観るのは今年はこの2日間だけだ。
再結成したとは言え、メンバーそれぞれソロや別のバンド活動との
両立で活動は不定期。
今年はシングルを1枚だしたくらいで目立った活動は少ない。
それでもこうして大きなLIVEを行い、これだけ大勢のファンを集められるのはすごい。
俺が彼らを初めて知ったのは小学5年生の頃、「Mステ」に出たのを観た時だった。
一度、解散を経て再結成し、こうして活動してくれるのは喜ばしい限り。
そんな貴重なステージをロレッタさんと観れるんだ。
OPは1日目と全く同じ。
そこについにメンバー5人が登場し、それぞれの位置に着く。
俺にとって松本孝弘、布袋寅泰に次ぐ最愛のギタリスト・SUGIZO。
俺達の座席は丁度、彼の側だった。
ロレッタは輝いたような眼差しでRYUICHIをまじまじと見つめていた。
「りゅ、RYUICHIさん…」
こうしてスタンバイ完了すると、RYUICHIがアカペラで少し歌い出した。
「White Christmas」だ。
正にクリスマスサプライズ。
そこから1曲目が始まった。
「Anthem of Light」である。
前のアルバム『A WILL』の1曲目、去年のツアーでも1曲目に披露された。
LUNA SEAによる聖なる夜の幕開けだ。
RYUICHIの歌声が響き渡る。
俺もhideちゃんを持って盛り上がる。
1曲目が終わると次の曲のイントロが始まった。
デビュー初期からの定番曲「Dejavu」。
冒頭でステージ後方から「バ~ン」と花火が打ち上がった。
それが終わるとRYUICHIがMC。
そう話す彼にロレッタさんは憧れの眼差しだった。
そういやLIVEが始まる前、彼女は前にRYUICHIに会った事があるみたいな
事を言ってたけどどういう事だ?
夢の出来事か他人の空似だろ。
そんな事気にする前にLIVEを楽しまないと。
「NEXT SONG!「Limit」!」
そう言うと最新曲「Limit」が披露された。
この曲はLUNA SEA初のアニメタイアップ。
そのアニメ『エンドライド』の製作委員会からも花が届いてたな。
今後もGLAYみたいにこういうアニメタイアップがあれば良いのに。
「END OF SOLLOW」。
この曲もLUNA SEAの定番。
真矢のドラムスがとにかくパワフル。
後から知ったのだが、奥さんの石黒 彩もこのLIVEを観に来ていたらしい。
VJSにも来てたらしいやはり仲の良い夫婦のようだ。
それが終わるとRYUICHIが言った。
「JESUS DON'T YOU LOVE ME!」
その一言を放っただけで歓喜の声が湧いた。
「JESUS」である。
アルバム『EDEN』の1曲目だ。
それから「LUV U」、「AURORA」とアルバム曲が続いた。
この日のLIVEは前日と比べ、シングル曲よりアルバム曲の方が多かった。
ロレッタさんも手を振って盛り上がった。
LIVEを生で観るのも良いけど、こう楽しそうに盛り上がるファンを見ると
こちらも嬉しくなる。
やっぱLIVEってそのアーティストのファン同士、そのステージを共に味わうと
言う喜びを分かち合うものでもあるよな。
SUGIZOがバイオリンに持ち替え、奏でる。
SUGIZOはバイオリンも弾けるギタリスト。
その美しいバイオリンでイントロを奏でた。
「Limit」のC/W曲の「I'll Stay With You」である。
タイトル曲とは対照的なミディアムバラード。
RYUICHIがアコースティックギターを弾きながら歌った。
その美しさに魔法界の自然を思い浮かべたのは
きっと俺と隣のロレッタさんだけだろう。
出来る事なら魔法界でもLIVEをやって欲しい。
SUGIZOにはペガサスの森でバイオリンを奏でて欲しい。
何て夢でも無い事を思ってしまった。
何やってるんだ俺?(^^;
でも美しさに惚れていたのはロレッタさんも同じだった。
彼女は感激のあまり涙を流していた。
「何て素敵な音楽…」
その次は「MOON」。
これまた懐かしくレアな1曲だ。
それが終わるとメンバー5人中4人がステージを一旦、退場。
真矢だけ残ってのドラムスソロが始まった。
そのパワフルなドラムスプレーを存分に見せつける真矢。
LUNA SEAのすごい所の1つは彼のそんなドラムスプレーにある。
YOSHIKIほど破壊的じゃないけどとにかくパワフル。
当初、テレビで観た時からそれは変わらない。
「ダン!」と叩くと観客達は「真矢~!」とその名を叫ぶ。
「真矢さ~ん!」
ロレッタさんも叫んだ。
ちゃんとさん付けなのは礼儀正しい。
ドラムを叩くごとに後ろから炎が吹き上がる。
見事な演出だ。
「かかって来いや~!」
真矢もマイクを手に叫ぶ。
こうしてドラムスソロが終わると打ち込み音楽と共にJが登場。
真矢のソロに続いて今度はJのソロだ。
その音楽に合わせてベースを弾く。
2年連続でJのソロLIVEに行ったけど、やはりメンバーの中で
1番ロック色が強い。
LUNA SEAがかっこ良いロックな曲を歌えるのも彼のお陰かも知れない。
リズムに合わせて俺達観客もノリに乗る。
こうして前半が終わり、LIVEは後半に突入。
メンバー全員が戻って来て、また立ち位置に着くと後半1曲目の
タイトルをRYUICHIが放つ。
「BLUE TRANSPARENCY」
これまたデビューアルバムの定番曲!
それが終わるとまたMC。
RYUICHIのMCは聴いてるだけで色っぽい。
まるでホストの様だ。
そうしてファンに捧げる曲として名バラード「I for You」を披露。
そのMCとラブソングにロレッタさんはますます感激していた。
「STORM」、「TIME IS DEAD」と来て、RYUICHIが力一杯叫ぶ。
「ROSIER」!
ステージは最高潮だった。
間奏でのJのソロがたまらなくかっこ良い。
英語の早口の部分をJが歌い、「行くぜスーパーアリーナ!」と
マイクスタンドを後ろに投げる。
これもお決まりだけどいつ見てもかっこ良い!
この曲だけは外せない。
そうして本編最後の1曲はデビューシングルでもある「BELIEVE」。
風を浴びながらギターを弾くSUGIZOがかっこ良過ぎ!
背も高いし正に理想のギタリスト!
俺はそんなSUGIZOに1番注目していたが、ロレッタさんは
あくまでRYUICHIに視線を向けていた。
こうして本編終了。
「あぁ~楽しかった!」
「まだこれからですよ。」
そう喜ぶ彼女に俺は言った。
「じゃあ、俺、ちょっとトイレ行って来ますね。」
「ハイ。待ってます。」
そう言って俺は今の内にトイレに行った。
すぐ客席に戻ると観客による「きよしこの夜」の合唱が始まっていた。
ロレッタさんが周囲を見て言った。
「TATSUさん、これが例の…」
「そうです!この歌でLUNA SEAの5人を呼ぶんです。さあ、ロレッタさんも!」
「わかりました。歌います。」
すると彼女は両手を合わせ、歌った。
「き~よ~し~こ~の夜~♪愛は~♪」
するとその美しい歌声に近くにいた客席は皆、聴き惚れた様子だった。
その歌声が合唱により花を添え、美しさを増した。
前の方の女性がロレッタさんを見てつぶやいていた。
「何?あの人。すんごく歌、上手いんだけど。」
「もしかして本物の歌姫じゃないかな?顔も綺麗だし。」
そう。人魚の里では彼女も歌姫なんだ。
こうしてより美しくなった「きよしこの夜」の合唱。
さらに観客はその歌に合わせて
スマホのライトを照らしてペンライトのように振った。
去年の夏に行ったミスチルのLIVEの時と同じだ。
そうしてステージが明るくなり、メンバーが戻って来た。
合唱はまだ続く。
メンバーも喜んでる様子だった。
それからMCを挟んで、この2日間の為に作られた新曲
「HOLY KNIGHT」が披露された。
LUNA SEA初のクリスマスソング。
それを生で聴けるなんて何て幸せなんだ♪
ロレッタさんはますます感激して涙ぐんでいた。
それが終わるとINORANが前に出てイントロを奏でた。
「TONIGHT」だ。
1日目では2曲目だったのがこの日は「Dejavu」と順番が入れ替わっていた。
でもとても盛り上がるロックチューン。
ロレッタさんも手を振って盛り上がっていた。
それが終わるとRYUICHIが叫ぶ。
「ラスト~!かかって来~い!」
そう次の曲でラストナンバー。
ラストを飾る曲と言えばこれしかない!
「WISH」!
イントロが流れるとステージ前から観客席に向けてパ~ンと
銀テープが発射された。
俺は目の前のLUNA SEAの熱いステージと歌と、隣のロレッタさんの
嬉しそうな姿にWで嬉しさを感じていた。
俺もhideちゃんを持って最高潮に盛り上がった。
こうして全曲終了。
メンバーは前に出て、バンザイ!
俺達観客も全員、隣同士で手を繋いで一緒にバンザイ!
俺はロレッタさんと手を繋いだ。
何て綺麗な手なんだ。
さすが人魚姫。
それからメンバーそれぞれがステージ上を歩いて手を振る。
1番最後まで残って振ってくれたのはSUGIZOだった。
嬉しいファンサービスだ。
こうしてこの日のLIVEは無事に終演となった。
ステージ上の画面には前日、発表された5月にある日本武道館での
LIVEの告知が映し出されていた。
それも行きたいものだ。
出来るならまたロレッタさんと。
会場の外に出るとこのようなイルミネーションが綺麗だった。
「わぁ~綺麗。わたし、こんなにLIVEを観て嬉しい気分に浸ったのは
初めてです。」
「そう言ってくれると俺も嬉しいですよ。ロレッタさん、ほんまに
嬉しそうでしたもんね。」
「だってRYUICHIさんを生で見れたんですもの。」
「ロレッタさんの歌、めっちゃ良かったですよ。」
「ありがとうございます。わたしも嬉しい限りです。」
「それよりこれからどうするんです。もうすぐに魔法界に帰るんですか?
そういやその人間の姿でいられる魔法、1日だけで切れるんですから。」
「そのつもりです。TATSUさんは?」
「俺は今晩の大宮駅前からの夜行バスで帰ります。
明日、神戸で布袋さんのLIVEにも行かんとあかんから。」
「もしよろしければ今日のお礼をさせていただけませんか?」
「お礼?」
「是非、TATSUさんに魔法界に…人魚の里に来て欲しいのです。」
「え?良いんですか?でも時間が…」
「それならご安心下さい。時間を調整出来る魔法で都合の良い時間に
帰れるようにします。こんな素敵な時間を過ごさせてくれたTATSUさんに
どうしてもお礼がしたいんです。良いでしょ?」
そう健気な表情で言ってくれるロレッタさん。
「そんなに言ってくれるんだから良いじゃんか!行こうぜ!」
「そうやな。時間が大丈夫なら。」
hideちゃんにもそう言われ、俺はその言葉を飲んだ。
「じゃあ、行かせてもらいますわ。人魚の里に!」
(TO BE CONTINUED..)








