『SOUL LOVE』
僕の名前は海藤わたる。
ノーブル学園を卒業してから、海藤グループの
跡取りとしてその10社の経営を任されている若社長だ。
学園生活を経て、社会人になってからというもの
毎日、多忙な日々を送っている。
「社長、明日のご予定ですが…」
秘書の三木さんが明日の予定を教え、それを確認した。
「わかった。じゃあ、僕はこれで。」
「お疲れ様でした。お気を付けてお帰り下さいませ。」
そう三木さんに見送られ、車を走らせて我が家へと帰った。
我が家である豪邸へと帰り着いた。
父さんと母さんは海外を飛び回ってて、妹のみなみは
僕の母校でもあるノーブル学園の寮で暮らしているため、
今は使用人を除いたら、この豪邸で一人暮らしだ。
車をガレージに停めて、玄関に入ると執事長の立花が
出迎えてくれた。
「お帰りなさいませ、お坊ちゃま。」
彼は父が若い頃から我が家に仕えていて、
僕とみなみにとっては良いお世話役でもあって、
僕が留守の間、この豪邸を見てくれている。
「何か届き物とかはあった?」
「ニューヨークのバニングス社のサウザー社長から先日の
会食のお礼にと高級ワインが届いております。
あと、社交パーティーやゴルフ大会の招待状も何通か。」
毎日、届き物も多い。
大企業の社長だから人付き合いも多くて大変だ。
「そうか。また見て招待状は返事を返しておくよ。他には何かあった?」
「大事なお客様がお越しですよ。リビングでお待ちです。」
「お客様?誰だろ?」
立花は少し嬉しそうに笑っていた。
それに疑問を感じながらリビングに入った。
「わたる~!おかえりなさ~い
」
そう言っていきなり僕に抱き着いて来た。
その抱き着いて来た女性の名は伊藤レイラ。
僕の許嫁だ。
「れ、レイラ!?いつ日本に?」
普段はアメリカに住んで向こうの大学に通っている彼女が
突然、僕の家に来ていたから当然、驚いた。
何も聞いてなかったから尚更だ。
「今日の昼に帰国したの。こんな美人の許嫁が
訪ねて来たのが恥ずかしい?」
「いや、そんなんじゃないけど…」
「な~に?赤くなっちゃって。」
「だからそんなんじゃないって。で、どうして日本に?」
「だって今、夏休みだもの。アメリカでの生活も良いけど、
やっぱり日本が1番だし、わたるにも会いたくなったしね。」
僕が彼女と会うのは半年ぶりだった。
「だからと言って連絡なしで来るなよ。」
「えぇ~!良いじゃない!あたし達、許嫁なんだしいずれは
一緒に暮らすんだから。」
「だからって…」
彼女は昔から唐突的だった。
「まあまあ、それより仕事、忙しかったんでしょ?
お腹空いてるよね?」
「え、まぁ…」
「夕飯はいつもどうしてるの?」
「仕事関係者と外食する事が多いかな?家にいる時は
専属のシェフに作ってもらってるよ。」
「じゃあ、今夜はあたしが作ってあげるよ。一緒に食べよ!」
「え?じゃあ、そうするよ。」
「疲れたでしょ?先にシャワーでも浴びて汗流して来なさい。
その間に作っておくから。」
「あ、ありがとう。じゃあ…」
彼女がそこまで言うなら断れない。
何せ彼女は政治家の娘で、先祖はあの伊藤博文だ。
僕はシャワーを浴びてパジャマに着替えて、
リビングに戻るとテーブルに食事が並べられていた。
「あっ、戻って来た。丁度、良かった。さっ、食べよ。」
そうして僕と彼女はテーブルを囲んで食事をした。
「ねぇ、美味しいワイン持って来てるんだけど飲まない?」
彼女がそう聞いたけど、僕は断った。
「悪いけど、明日も朝から仕事だからお酒は控えておくよ。」
「な~んだ、つまんないの!」
「飲みたいなら君1人で飲みなよ。僕は水かお茶で良いから。」
「そうするわ。」
そう言って彼女は高級ワインを自分のグラスに注いで飲んだ。
僕も本当ならお酒は好きでよく仕事関係者と飲み合っている。
家のワインセラーには高級ワインが沢山あるし、
知り合いの社長から今日、届いたワインも本当ならすぐに飲みたかった。
でも時と場所を考えないといけない。
それが一流社会人としての常識だ。
彼女は酔って聞いて来た。
「それよりさ、最近どう?」
「最近って相変わらず仕事で忙しいよ。10社も経営してるからね。」
「相変わらずね。休みの日はどうしてるの?」
「うちの島や海で遊んだりしてる。
あと、家でギターをやったり、トレーニングやったり、
テニスや釣りもしてるよ。」
「何でも家にあるからね。さすがね。わたるのギター、
久しぶりに聴きたいな。」
ギターも僕の趣味の一つだ。
家に練習用のスタジオも設けて、暇な時はそこで
よくギターの練習をしている。
リゾート地で皆の前でもよく披露して喜んでくれている。
彼女もそんな僕のギターを好きだった。
「じゃあ、ちょっと弾こうか?」
「そうしてもらいたいところだけど、今日は遠慮しておくわ。
毎日、充実してるわね。」
「君の方こそどうなんだい?」
「あたしは向こうの国で楽しくやってるよ。
あっちでも日本のアニメや漫画がすごい人気なんだ。
この前、友達とアニメのコスプレイベントに行ったの!
そしたら日本のアニメのコスプレしたアメリカ人がいっぱい!」
そういや彼女はアニメやゲームが好きだった。
「それでさ、X JAPANのアメリカでのLIVEも観に行ったの!
勿論、特別席で!氷室京介さんやビル・ゲイツ社長や
小泉元・首相とかも来ててすごく盛り上がったの!
YOSHIKIのピアノとSUGIZOのバイオリン、あれは聴き惚れるわ!
「Forever Love」の時なんか亡くなったHIDEとTAIJIの映像も
流れて感動して泣いちゃった。わたるとも観たかったな~♪」
「あぁ、写メールを送ってくれたあれだね。生憎、あの日は
仕事だったから行けなかったんだ。」
彼女も意外と多趣味だ。
お酒も煙草も好きだし、こういうのも変だけど
尻に敷かれそうな時もある。
「あと、向こうの国でもお父様とお母様にも会ったの。
「暇があればまたわたるに会いに行ってやってくれ」って。
それもあってこうして来たんだから。」
「そうだったんだ。」
父さんも母さんも僕と彼女の事を気にしてくれてるみたいだ。
確かにそうだろう。僕が彼女と結婚して、子供が産まれたらその子が
海藤グループの未来を担うんだから。
でもお互いまだ忙しいし、結婚までは考えていない。
あくまで保留のようなものだ。
「あ、そうそう!みなみちゃんは元気?確か今、ノーブル学園に
通っててそこの寮で暮らしてるんだよね?」
今度はみなみの事を聞いて来た。
「あぁ、元気にしてるよ。実はこの間、うちの海辺の
リゾートパーティーに呼んだんだ。あの子の友達2人も一緒に。
皆、すごく楽しそうだったよ。」
「それなら良かった。あそこ、あたしも好きなんだ。
あそこであたし達、デートしたよね?あの時の夕陽がすごく
綺麗だったの覚えてる?」
「そうだったね。この前のパーティー、君にも来て欲しかったよ。」
「また近い内に行きましょうよ。」
「そうだね。」
「せっかくだし、しばらくこの家に泊めてよ。
こんな広い家にあなただけじゃ寂しいでしょ?」
「え?」
また急なお願いに僕は最初は戸惑ったが、やはり断れなかった。
「い、良いよ。でも変な事はするなよ。ちゃんと執事やメイドはいるんだから。」
「わかってるって!あなたは安心して仕事に行っててくれたら良いの。
帰ったらまた食事を用意しておいてあげるから!」
「ありがとう。じゃあ、そろそろ寝るよ。
あっ、部屋はちゃんと客用の寝室で寝るんだよ。」
「はいはい。おやすみ。」
そう言って、僕達は別々の部屋で就寝した。
(TO BE CONTINUED...)