6人目 市場勤務 56歳②

市場くんは私と同じ東京生まれ東京育ちなので、学生時代はどんな生活をしていたのかとか、昨日はどこへ買い物に行っていたとか、どこの何という店が面白いとか、だいたい地理も店もわかるので話が合いました。

私は東京の西側で、あちらは東側です。
対極に住んでます。
まあ東京は案外狭いので、どんな対極にいても
1.5時間かかりません。
市場くんとうちの中間地点は30分程度です。
ふらっと会える距離でした。

新聞記者のように、約束して仕事でドタキャンになってもまた新たに計画を練ったりせず、「じゃあ明日」などと翌日の仕事終わりなどにふらりと会えるのは好条件でした。

東側の人は、偏見ですが祭り男です。
下町ですからね。
市場くんも漏れなく祭り男で、ハッピがよく似合う写真などを送ってきてくれました。
市場の男たちは威勢も良く、どちらかというと
柄が悪い部類に入りますが、人情にあふれ、優しさを持ち合わせ、非常に男らしい人が多いです。

私は自衛隊という男社会にいて、屈強な男たちをこれでもかと見てきましたので、男社会にいる男性は大好きです。

それに加えて、筆マメというのはとてもよいことだと思います。
知り合ってすぐはお互いがわからないので、
「いいな」と思ったら、どんな人なのか知りたくなり、こちらのことも知ってほしくなります。

私は文章で食ってきた時期もありましたので、
かなり長文や何回もラインを送っていました。
向こうも負けじとたくさん送ってきて、
なんだか気分は恋人同士の会話のようになってきました。

会ってもないのに、このように恋人同士風になるとそれは「疑似恋愛」なのですが、話が合うということは、感性も価値観も似ており、
滑り出しは好調になります。

なんだか毎日ラインをするのが楽しくなり、
ワクワクしながらラインを送っていました。

するとある時、返事がすぐに来なくなりました。
あれ、忙しいのかなと思っていましたが、
2日経っても3日経っても返事がきません。

げ、嫌われたか。
しつこくしすぎたか!と反省しましたが、
なんの連絡もないとそれ以上すすみません。

うーん、あの一言がしゃくに触ったのか。
もしかしてあの言動に引いたか?
それとも本当は何人かやりとりしていて、
そのうちの一人と付き合うようになったから?

などとあれこれ考えましたが、まあ仕方ないな
と諦めモードに入りました。

私はこの時は新聞記者や自営くんともやりとりしていたので、まあいいや、自営くんにラインでもしてみるか、などと軽い気持ちでいました。

が、他の人とやりとりしていても、市場くんから返事が来ないことが気になって気になって仕方ありませんでした。ラインを開いてはため息をつきました。好きになりかけていたのか、はたまた振られた感が許せなかったのか、どうにもこうにもよくわからない感情が渦巻いて
婚活友に「終わったようだ」と愚痴のラインをしたりしていました。

婚活友とは互いにいまどういう人とやりとりして、どんな感じかを教え合っていたので、こういう時はとても頼りになり、心強い存在でした。

誰か一人だけでも知ってくれたら。
それだけでどこか安心するものです。

1週間が過ぎたころ。
「よぅ、元気か?」
と市場くんから突然ラインがきました!