昔、木製の電柱があったのを知ってますか?

つい30年くらい前まで、

田舎の方には普通にありました

でも、あるとき我々のご同業の方が、

作業中に、木柱から落ちて亡くなられたとかで

全国一斉に「木柱は世の中から失くそう」

となりました

そのため各地で大々的にキャンペーンが

展開されました

「人工柱化工事」と呼ばれております

細めの柱は鋼鉄製のものに、

もっと大きなものはコンクリ製に

すべて建て替えてしまおう、という計画です

 鹿児島でも大々的に行われましたが

割と採算が採れるため、

県外にも派遣されることがありました

 

 長崎に五島列島というところがあります

川口春奈さんの故郷で有名ですね

とても素敵な島です

一番栄えた街は「福江市」といって空港もあり、

昔のお城跡もあって、それなりに賑わいもありますが

同じ島内でも「裏の方」は

なかなかにノスタルジックな原風景でございます

三井楽という集落がありまして、

その辺りの電柱を建て替える工事に携わりました

およそ2か月半の出張です

 

 宿について最初に驚いたのは

地元の海産物をふんだんに使った「もてなし料理」

石鯛やサザエのお造り、ヒラメの天ぷら等々

結婚式か何かとまごうようなご馳走、

「最高!」と思いましたけど

 

 まさか、これが2か月半、ずっと続くとは…

 

宿のご主人が腕により掛けて作ってくださるものを

贅沢は言えませんが

毎日同じ内容だと、さすがに… …

 

 お昼の弁当も頼んでたんですね、

周りに飲食店とか無いので 弁当も売ってない

象印の保温ジャー式のお弁当箱に

たっぷりのご飯と、おかずのタッパー、お味噌汁

ありがたいですよね

 

 ただ、稀にですけど

おかずのタッパーを開けたときに

黒いのがぐるんとトグロ捲いてるときがあります

もう変態サイズのサザエです

なるほど、この島ではサザエは日常食ですけど

このサイズは、ヤバ過ぎます

地元の皆さんにとっては、

たぶんご馳走なんでしょう、

文句なんて言えるはずもない

しかし、これを食すには、勇気が足りない

黙ってゆっくり蓋を閉め、

ご飯と味噌汁だけ頂きました

 

 集落内には店が2件ありますけど

日常品と食材と、その他何でも売ってる雑貨屋さん?

残念ながら、すぐに食べられそうな物は売ってません

カップラーメンや菓子パンすら無くて

どうしても欲しければ

1時間かけて、福江市まで遠出しないといけません

ジュースの自販機すらありません

一度、村はずれに自販機らしきものを見付けて

喜んで買いに行ったら、動いていませんでした

昔のカップラーメンにお湯注いで食べられるタイプのやつ、

ラピュタかってくらいに苔むしてました

 

 さて、お仕事の方ですが

まあ、それなりに捗っていました

採算的に日に4~5本は

建て替えないといけないんですが

それを大きく上回るペースでした

家がほとんど無くて、広大な野原とか畑とかなら

仕事は速いです

ただ、穴を掘るのは結構タイへン

この島全体が溶岩地層? 固いです

ほんの30cm程しか表土がなくて、すぐに硬い岩盤に当たってしまいます

スコップでは歯が立たない

こんなとき、大きな重たいバール状のもので

ガツン、ガツン、砕いていくのですけど

ちょっとそれも通用しない、それほど固い地面です

掘れないと電柱が立ちませんので、

これは死活問題です

 

 宿のご主人に尋ねると、

村に金物屋さんは無いが、鍛冶屋さんがいる、←マジか?

事情を話すと早速、道具を作ってくれました

造船に使う、凄い太い鉄筋を、鍛えて、

バール状の特大の、めちゃめちゃ重いやつを!

 

 使ってみたら威力は絶大でした!

1振りで、溶岩をも砕く、もう魔法みたいな威力

「ムラマサ」と名付けました

 

※ 後日、非力なメンバー用に小サイズも作って頂き

  そちらは「マサムネ」と名付けました

 

最高の道具を得て、順調に工事を進めていきました

 

 2か月半の滞在中、会社の事情で一切、

休みは無かったのですが

(休んでる間も宿代がかかるという理由で

  ↑ブラック会社)

さすがに皆、疲れてしまうので

班長として、一計を案じることにしました

 毎日、建てた電柱の本数を1本ずつ誤魔化して

会社に嘘の報告を上げ、

貯めておいた実績で丸一日、

休みを作ってしまおうと!

…結果、2ケ月半に3日の休みを作れました、

会社にナイショで

「休み作れたら、何する?」って

メンバーに聞いたところ

「まずはラーメンとカレー食べに行きたい!」

「2日目は観光したい」ってことで

観光プランを組みました

 

 すぐ近くに「五島のハワイ」と呼ばれるビーチがあるそうです

地元の子供たちが教えてくれました

 

「高浜海水浴場」

 

あと、ものすごく良い景色の灯台があるそうで

 

「大瀬崎灯台」

 

 ↑映画の舞台になった場所ですね、後で知りました

 

島に1箇所しかないという、温泉にも行きました

 

そして、皆でラーメンw食べに福江市へ

 

 魚市場で「活きサザエ」をGET、

なんと!土嚢袋いっぱいで500円!

 愛しの奥さんに送ったら、すごく喜んでくれました

 (私はもうサザエなんて見飽きてました)

 

 そんなこんなで

長かった出張も終わり、どうにか無事に帰還したわけですが

ひとつ引っ掛かってたこと、

我々にとっては「荒稼ぎの遠征」となりましたが

地元の島内の同業者さんにとっては

「よそ者が島を荒らしていった」に他ならない訳です

材料分けて貰ったり、道を教えて貰ったり、

「世話になったのに」

彼らの向こう何年分かの仕事を

奪ってしまったかもしれない

も少し、ちゃんと挨拶して、

スジを通せば良かったかな、と

心残りは有ります

会社が何かしてくれていると思いたいけど…

 

 ちなみにこの出張中に、ちょうど試験が重なって

工事担任者という資格を取りました

連日、仲間たちが宴会する中、一人試験勉強するのは大変でしたけど

なんとか合格できたし  ま、ヨシとします

途中のフェリーで寝こけて、受験票を失くすという失態もありましたが

どうにか受験はさせて貰えたのでヨカッタ

 

 いろんな思い出が残る五島ですが

今度は是非、「仕事以外で」行ってみたい

否、仕事だからこそ、多くの人の良さに触れられたのかも

良いとこですよ、貴方もぜひ!

 

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