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普通に戻るための記録

摂食障害。2015年出産。
どうしようもないクズだけど普通にもどりたい。

今晩はなにを食べようかなと考える。
あのスーパーの、あのお総菜が食べたいなとか、
今月の新商品のパンにしようかなとか、
考えるだけでワクワクして、ソワソワする。

結局、それが楽しみなのだ。
食べることが楽しいし、幸せだし、待ち遠しい。
その後の嘔吐さえなければ、それもおかしなことではない。

食べ終わってから、吐きに行くタイミングが難しい。
ばれないように気をつかう。
袋吐きとはいえ、トイレにこもる。
でなきゃ外まで行って吐く。
どちらにしても家族の目を盗んで吐く。
吐いたあとはごみ袋を持って移動するわけだから、
その姿も見られないようにしなくてはならない。

食べ始めるまでが一番幸せ。
食べ終わったら吐くまでが地獄。
全て終わってスッキリしたあと、
自己嫌悪と「今日も無事に吐けた」という安堵で
泣きたいような気持ちになる。
そして娘を抱き締める。
カップラーメン3個、
横綱揚1袋、
オレオ1袋、
前田の五穀クラッカー1袋、

30分ぐらいで食べた。
一番の問題は、食べることや吐くことではなく、
今こうして、この瞬間にも自殺したいということだ。

最も怖いのは、肥大してゆく自己嫌悪と希死念慮。
最終的に死に至る病、という意味では正しい。

このままでは、私は死ぬ。
自らではあるものの、死ぬ。
誰かに話して相談をしたくて、
電話で相談できるところはないかと探している。
摂食障害の無料相談とかは怪しいから、
県の相談ダイヤルなんかを利用しようかとも思ったりする。

でも、説教はされたくないのだ。
どんなに悪いことをしているかなんて、重々承知している。

体によくない。
お金もかかる。
時間も無駄になる。
子供のために、家族のためにやめなさい。
そんなことを言われるんだったら、相談なんかしたくない。


自分の体などどうでもいい。
今最もわたしを自己嫌悪に突き落とすのは、
過食嘔吐のせいで娘との時間を自ら失っていること。
かわいそうで、申し訳なくて、
それなのにスイッチが入ると止められなくて、
こんな母親でごめんねと思いながら食べ続けてしまう。


吐き気がするほど、自分のことが憎い。
誰かに相談してどうこうなるとも思えないけれど、
なにかに、誰かに、打ち明けたい。

死ぬほど死にたい。
でも、娘の成長を見ていたい。
娘は私がいなくても生きてゆけるだろうけれど、
夫は「そういう問題じゃない」という。
そうなんだろう、きっと。
そういう問題じゃない。
母を失うということはきっと、もっと違う問題なのだ。


生きなくては、と、思う。
生きていいと言われても死にたくて、
生きなくてはと思いこそすれ「生きたい」とは思えなくて、
娘だけが最後の希望だ。
この子を見ていたい。
見ていたいから生きていたい。
そう思えるようになりたい。
夫に、なぜそんなにも死にたいのかと問われた。
過食嘔吐が治らないから、とは言えなかった。
だから、ただ、「自分のことが大嫌いだから」としか言えなかった。
自分のことが認められないから。
自分がクズだから。
そうとしか言えない。

夫は、なぜそう思うのかと問う。
でも本当のことなど言えやしない。
君は幸せになってもいいのに、と、言ってくれる。
君を幸せにするつもりで結婚したのだから、
君が幸せではないのなら、おれの存在価値もない。
そう言う。
それに対して、私は、「私に幸せになる権利などない」と言う。

夫には理解できないことだった。
なぜそんな、まるで人殺しでもした人のような言い方をするのか。
そう問われても、答えられない。
私は食って吐くという罪を犯している。
そして、夫を裏切り浮気した過去がある。
私がのうのうと幸せになってもいいわけはない。

でも話せないのだ。
話せなくて、苦しくて、楽になることもできなくて、
でもすべては、私が招いた結果なのだ。
ずっと、ツケを払い続けている。


幼い頃からずっと、この世界にしっくりこなくて、
どんなに幸せでも死にたい気持ちはなくならなかった。
彼氏ができれば生きる気が湧くのかな。
結婚すれば生きる気が湧くのかな。
仕事がうまくいけば、子どもを産めば。
そうしてすべてを試して、でも死にたい気持ちはなくならなかった。

適応できていないのだ。
生きているのに、自分を殺すようなことばかり。
食べ物を吐いて、栄養を失って、自分を追い詰めて。


私を救えないことを、夫はとても悲しんでいた。
夫はなにも悪くないのに。
悪いのは全て私で、私と関わりさえしなければ、
夫は、優しくて可愛い奥さんと、家庭を持っていたかもしれない。
私である必要なんかなかった。


夫は、「君を幸せにする覚悟は決めていたけれど、
不幸になる覚悟は決めていなかった」と言った。
私は、「あなたと幸せになる覚悟なんかなかった。
あなたを巻き込んで不幸にしてしまうかもしれない、
という覚悟だけは決めていた」と言った。
互いに向かうところが違っていた。
私がこんなだから、夫の前向きさに何度も救われた。

最初からわかっていた。
彼を不幸にしてしまうかもしれない、ということ。
メンヘラは、いつも人を巻き込むから。
親しい人ほど、愛する人ほど、巻き込んで不幸にしてしまう。

彼を悲しませたくない。
自責の念など持ってほしくない。