選択肢
好きだ
本気で言ってるの?
その日の夜、主人公は雄大くんを呼び出した。
どうしても、雄大くんに聞きたいことがあったからだ。
「ごめん、遅くなって。急に残業が入っちゃって‥」
「‥‥」
「○○?」
「‥雄大くん。読んだよ、作品」
「え?‥あ、もしかしてJノベル賞の?」
「うん。雄大くん、今得票数一位なんだってね」
「え?そうなんだ?そっか‥」
「聞いてもいい?」
「なにが?」
「作品の中で、主人公‥和広と千代美がイギリスで出会うでしょ?どうしてその場所がシェイクスピアの眠る教会だったの?」
・・・うわ、マジで盗作したって感じなの?
わざわざ出会う場所をイギリスにしたこと、話の半ばで千代美の親友、香子が男装して和広に近づこうとしたのはなぜとか‥とか問い詰めていく。
「え?いや、それは‥そのほうが面白いかなって」
(面白い?‥違うよ。そんな理由じゃない。私の推測が正しければ、”この小説を書いた人”はそんな理由で香子に男装させたんじゃない‥)
「雄大くん‥この小説、もともとは和広と香子の物語だったでしょ?」
「!!」
「それを雄大くんが変えたんでしょ?和広と千代美の物語に‥」
「そんなことは‥」
「この物語を最初に書いた人はね‥‥シェイクスピアの『お気の召すまま』の現代版をイメージして書いていたはずだよ」
「‥え‥?」
「だから、『お気に召すまま』の主人公・ロザリンドと同じように、香子にも男装させたんだと思う。最後の台詞もそう、和広の『その証拠に、僕は一目会ったときから君が好きだったんだから』‥たぶん、『お気に召すまま』の有名な台詞をアレンジしたものなんだよ」
「‥‥」
「それに、何より‥」
(小説の最後の、ホーリー・トリニティ教会でのキスシーン‥あのシーンは、雄大くんに書けるわけないよ‥‥だってあのキス‥あれは”私たち”にしか‥)
これもう決定打じゃん‥;;
「‥知らない。俺は知らない。俺は関係ない!」
「雄大くん‥」
「投稿したのは俺の作品だ。廣瀬さんは関係ない!絶対に、俺はアレの‥っ」
「どうして『廣瀬さんは関係ない』なの?」
「‥え?」
「私、今日一度も廣瀬さんの名前出してないよ?それなのに、どうして?」
主人公、あーたも頭の回転が利くようになったなあw
「‥‥」
「分かった。直接、廣瀬さんに確かめる」
「!」
「廣瀬さんに聞くよ。‥それでいいんだよね?」
「‥‥」
うつむいてしまった雄大くんを置いて、主人公は店を後にした。
なんか、雄大くんには今まで清潔なイメージを勝手に持ってて、今までそんな汚いことするような場面もなかったし‥ちょっとショックかも。
とりあえず、遼一さんに電話してみると‥‥なぜか未来くんが出た。
どうやら今カジノにいるみたい。
用があるなら伝えておこうか?といわれるも、絶対に会わなくちゃ‥と思ってカジノに直行。
「廣瀬さん、どこにいるんだろう‥」
「○○ちゃーん!」
「未来くん」
「うわ、ホントに来たんだね」
うわとはなんだ、うわ、とはw
「どうしたの?遼くんに急ぎの用でもあるの?」
「急ぎの用っていうか‥」
「そうよ!だから何なのよ!」
(え?今の声って‥)
理香子、キター‥
声のする方へ行って見ると、遼一さんと理香子さんがいた。
「だいたい、あなたが悪いんでしょう?あんなくだらない賭けにのって。そんなに、あの子とデートしたかったわけ?」
「そんなの、お前に関係ないだろうが」
「あるわよ。大ありよ!だから私は、小泉くんに原稿を‥」
・・・・・
・・・・・・・・・ぁん?
・・原稿を、なに?
(‥え?原稿って‥)
雄大くん惑わしたの‥、お ま え か 。
受け取る方も受け取る方だけど、仕事にはちゃんとしたプライド持ってる人だって思ってたのに‥‥理ー香ー子ーッッ!!!!!゚・゚*・(゚O゚(☆○=(`◇´*)o
「おい」
ふいに主人公たちに気づいた遼一さんが理香子さんを止める。
「あなた‥いつから‥」
「‥‥」
「‥最低ね、立ち聞きするなんて」
はあ!?もっとも最低で最悪なことしてんのお前だろうが!
つか、あんなでかい声出してたら、聞こうとしなくても聞こえてくるわ!立ち聞き呼ばわりすんな!!ヾ(。`Д´。)ノ
「ハハッ。サイテーでごめんなさーい」
・・・未来くん、こんな状況下であえて明るい声出せるあなたの精神に感服致しますww
「理香子、よせ」
「なによ、離してよ!」
遼一さんの手を振り払い、カジノを出て行こうとする理香子。
主人公は名前を呼びながら慌てて追いかけた。
外に出て、ようやく立ち止まってくれるものの、立ち聞きの次は私に付きまとうつもり?ってこの‥‥逃がさないんだからねっ!←
「話を聞かせてください」
「‥あなたに話すことなんてないわ」
「私にはあります!雄大くんの盗作に‥理香子さんも関係してるんですか?」
「‥盗作?なんのこと?」
ここまで来て、まだシラを切るつもりかよ‥‥
「とぼけないでください。さっき、廣瀬さんに言いかけたじゃないですか。『小泉くんい原稿を‥』って」
「ええ、言ったわ。でも、それと盗作がどう関係あるのかしら?」
はあ!?もろ盗作させたっていう台詞だろ!
「あいにくだけど、さっき私が言いたかったのは『来月号の原稿があがったら、小泉くんに渡してちょうだい』ってことよ。今、小泉くんには私のアシスタントをしてもらっているから」
「‥嘘です。それじゃあ、前後の会話が噛み合いません」
そんな穏やかなこと言ってる様子じゃなかったしね。
「男の女の会話なんて、常に噛み合わないものよ?あなたには分からないでしょうけどね」
「そうやって誤魔化さないでください」
「‥‥」
「本当のことを教えてください」
「‥‥ずいぶん必死なのね。あなた、本気で遼一が好きなの?」
「‥好きです。好きで、何が悪いんですか?」
「さぁ?でも、あなたみたいな人に遼一の相手がつとまるのかしら?」
このさぁ?って言い方になぜかすっげーむかついた。
「あなたの恋愛なんてね、どうせおままごとの延長でしょう?こっちは必死なの。あなたみたいに、憧れの延長で恋なんかしていないのよ」
なるほど。確かにめっちゃ口が悪いな。
恋するのに、憧れも普通も関係あるの?
いつ誰かを好きになるかなんて、自分にさえ分からないってのに。
「私だって、そんな‥」
「そんなことないって言える?だって、昔から遼一のファンなんでしょう?あなた」
「‥‥」
「いくら遼一に気に入られたいからって、私たちの間に首を突っ込むのはやめてちょうだい。いいわね?」
お前が私たちの間につっこんでんだろうが!!!(ぇ
しかも、盗作にあんたたちの間も関係ないでしょ。
てか、これって遼一さんへの裏切り行為なんじゃないの?
それなのに私たちの間に首を突っ込むな、なんて‥‥よく言えるね。
(じょ‥冗談じゃないんですけど‥)
「こっちだって、本気で恋してるに決まってるじゃん!」
全くだよ!
場面変わり、VIPルーム。
果てしなくやけ食いしてる主人公がいるw
「おい、○○‥お前、いくら何でも食いすぎだろう」
「放っておいてください!未来くん、ロコモコ丼とレアチーズケーキも追加して!」
「う‥うん‥‥分かった」
あ の 未 来 く ん が 、 大 人 し く 従 っ て い る ! ?
「あーあ‥女って怖い生き物だよなあ」
ねーwほんとねー‥理香子って本当に怖いよねー‥←
それからまた食べ始める主人公だったけど、何か用だったんじゃないのか?って言葉に、少し間を置いて尋ねてみる。
「‥Jノベル賞の」
「ハイハイ」
「雄大くんの作品‥読みましたか?」
「‥‥ああ、アレね。読んだよ。サイトにアップされていたからな。なかなか、面白かったんじゃないの?」
遼一さんは結局投稿しなかったらしい。
ていうか、なんで遼一さん普通でいられるわけ?
盗作のことについて追及していくんだけど、最初は誤魔化そうとした遼一さんも、降参って手を上げた。
「実はさ、俺、喋っちゃったんだよね、雄大に。お前にキスしたこと」
「‥‥」
「あ、ほら、睨んだ!‥そうやって怒るだろうなーって思ったから、今までヒミツにしてたんだよ。でもあいつもなあ、まさか自分の作品に使っちまうなんてなぁ」
(‥嘘だ。私には、雄大くんを庇ってるようにしか聞こえないよ‥でも、どうして‥)
まだ、何かあるってこと?
「なんだよ。だからそう怒るなって」
「あ、それともアレか?俺が結局Jノベル賞に応募しなかったことに怒ってるのか?でもさー。よくよく考えたら、やっぱりメリットがないんだよなぁ。賞も大した額じゃないし、書籍化だって俺には今更だし‥グランプリって称号も、別に興味ないし。ほら、シェイクスピアも言ってるだろ。『名誉なんて葬式の紋章に過ぎない』って」
じゃあ、どうしてあの日主人公を呼び出したの?
「どうしてって‥」
「あの時の廣瀬さん‥いつもと違ったから‥」
(たぶん、本気で傷ついた顔してた‥)
「‥‥‥なあ。見逃してくれない?」
「え?」
「今回の件は、俺の中でもう解決してんの。だから、部外者に首をつっこまれると、いろいろむかつくわけだ」
「‥‥」
「あんまり‥怒らせるなよ」
私の怒りのボルテージも、果てしなく限界に近いのですが?(#^ω^)ピキピキ
「怒ったら、なにするか分からないぜ?」
「‥‥」
「‥ってことで。口止め料にコーヒー一杯。それでいいだろ?」
「遼くん、僕もー」
いたのかよ!?
「いたよ!ずっと○○ちゃんの隣にいたよ!」
ごめん‥完璧二人の世界に入ってました。(甘くないけど)
「ハハハ。悪い悪い」
「そう思ってるなら、早くコーヒー頼んでよ!」
「ハイハイ」
遼一さんが去っていって、未来くんが盗作がどうのこうのって話、ホントなの?って聞いてきた。
たぶん本当だと思うというと、ふーん‥って少し考える素振りを見せた。
「で?○○ちゃんとしてはどうしたい?」
「え?」
「遼くんは『こっちに来るなー』って○○ちゃんの間に見えない壁を作っちゃったみたいだけど、よい子の○○ちゃんは大人しくそれに従う?それとも‥見えない壁、壊しちゃう?」
「‥‥」
「壊したいなら手を貸すよ?僕、その手のことは得意だから」
そう言って、未来くんは意味ありげな笑みを浮かべた。
本当にどういう人生を歩んできたんですか、未来くん‥
というか、元々主人公のこと知ってたのかな?
ただ単に無茶設定しただけなのかもしれないけど、プロローグで主人公の未来の鍵を握ってる発言だって、霊能師でもないのになんでわざわざ主人公を選んだんだろ?
いちいち気にしすぎなだけかな。
次回予告‥‥これで理香子の心情がなんとなく分かったんだけど‥‥いろいろ言いたいことはあるけども!明日に持ち越しで!!