別れてから、三日が経ちました。
仕事をしている間は、目の前のことに集中できる。
⋯なんてそんなことはありませんでした。
ふとした時に頻繁に佐藤さんのことを思い出す。
と言うよりは、常に佐藤さんのことを考えているような感覚でした。
仕事が終わって帰り道を歩いていると、尚更頭の中は佐藤さんだらけです。
今ごろ、何をしているんだろう。
わたしのことを、少しでも思い出してくれているのかな。
そんなことを考えても、答えなんて分からないのに。
その日も、仕事を終えて帰路につきました。
けれど、まっすぐ家に帰る気にはなれませんでした。
少しだけ遠回りして帰ろう。
そう思って、いつもとは違う道を歩いていると、前から見覚えのある人が歩いてくるのが見えました。「あれ……?」思わず足を止めました。
向こうもわたしに気づいたようで、笑顔で声をかけてくれました。
「ななさん!」
「山本さん!」
そこにいたのは、佐藤さんと同じ職場で働いている山本さんでした。
以前、山本さんのお宅にお邪魔しました。
↓
まさか、こんなところでバッタリ会うなんて。
「お久しぶりです、お仕事帰り?」
「はい、山本さんもですか?」
「そうなの、ななさんも今帰りなんですね」
山本さんは、前に会った時と同じタメ口と敬語が入り交じった言葉で、前に会った時と変わらない穏やかな笑顔を向けてくれました。
その笑顔を見た瞬間、わたしは少しだけ胸が苦しくなりました。
次回へ続きます。
