イタリアンのお店を出たあとも、美咲さんのあの一言が、ずっと頭の中をぐるぐるしていました。
「ななさん、切り替え早ーい!」
笑いながら言っていた。
周りから見れば、ただの冗談。
その場を和ませるための軽い一言だったのかもしれない。
でも、わたしの胸には小さな棘みたいに刺さったまま抜けませんでした。
どうして、あんな言い方をしたんだろう。
もっと違う言葉があったんじゃないかな。
「よかったね」
「幸せそうで安心した」
そんな一言だったら、わたしは素直に笑えた気がする。
裕太のことでボロボロだった頃。
美咲さんと真由さんと三人のグループLINEを作った。
裕太の浮気相手という妙な縁で知り合ったわたし達だけれど、あの時は、女同士だから分かり合えるものがあると思っていた。
つらい時は支え合って、一緒に前を向ける。
そんな存在なんだと思っていました。
だけど今日、胸に引っかかったあの一言で、ふと考えてしまったんです。
女の敵は、やっぱり女なのかなって。
次回へ続きます。
