人気の高市早苗さんが全国応援行脚

100人超から引っ張りだこ~党内地盤固めへ

 

 

 第50回衆院選が10月15日(火)に公示されました。自民党派閥のいわゆる裏金事件を受けた政治改革や物価高対策などを争点に、27日(日)の投開票に向けて12日間の選挙戦が展開されています。石破茂首相(67)が「自公で過半数(233議席)」を掲げる中、高市早苗前経済安全保障担当相(63)が全国の100人を超える候補者から「応援に来て!!」という熱いラブコールを受け、文字通り引っ張りだこ状態で奮闘しています。

 

 

   17日付の産経新聞は「高市氏、応援行脚スタート」という見出しで、高市さんが16日から応援行脚をスタート。同日昼には新潟県燕市のホテルで派閥パーティー収入不記載事件に関係して非公認にされた無所属候補の演説会に参加後、同日夕には長野県に移動し、不記載事件を受けて公認は得たものの比例との重複立候補が認められなかった旧安倍派の自民前職の応援演説を行った―と報じています。

 

 

 

 

 

 高市さんは1961年3月7日、奈良県の出身(現住所は大和郡山市筒井町)。父親はトヨタ系列の自動車会社勤務、母親は奈良県警勤務という共働き家庭に育ちました。神戸大学経営学部時代は軽音楽部に所属し、ヘヴィメタルバンドでドラムを担当していました。大学卒業とともに松下政経塾に入塾(第5期生)し、資金提供を受けて米民主党下院議員の個人事務所で議員立法のための調査・分析を行いました。

 

 高市さんは米国での体験をもとに、「アメリカの代議士たち」(主婦の友社)や「アメリカ大統領の権力のすべて」(ベストセラーズ)などを、最近では「美しく、強く、成長する国へ」(ワック)、「ハト派の嘘」(櫻井よしこさんとの共著、産経新聞出版)、「日本の経済安全保障」(飛鳥新社)、「国力研究」(編著、産経新聞出版)などを出版しています。

 

 

 

 話を戻します。1989年3月にテレビ朝日系の「こだわりTVPRE★STAGE」のキャスター、翌年10月にはフジテレビ系の朝の情報番組「朝だ!どうなる」のメインキャスターを務めました。1992年7月の参院選に無所属で立候補しましたが落選。翌年の衆院選に奈良全県区から無所属で出馬してトップ当選を果たします。高市さんはその後、自由党、新進党の結党に参加。1996年に新進党を離党して自民党に入党しました。

 

 自民党では清和政策研究会(三塚博派)に所属しましたが、のちに離脱しています。小渕内閣で通商産業政務官(1998年)、第一次小泉改造内閣で経済産業副大臣(2002年)に就任しましたが、2003年の衆院選で落選した後、弟が秘書をしていた山本拓衆議院議員と“即断即決結婚”。山本さんはバツイチの再婚です(その後離婚して再婚)。2005年の“小泉郵政選挙”で刺客候補として奈良2区から立候補して国政に復帰しました。

 

 初入閣は第一次安倍内閣の内閣府特命担当大臣(2006年)。8月15日には閣僚の中で唯一靖国神社を参拝しました。2008年の福田康夫改造内閣で経済産業副大臣(麻生内閣でも再任)に就任。2011年に「次期総裁選では派閥の町村信孝会長ではなく安倍晋三さんを応援するため」に清和政策研究会(森喜朗派)を離脱して無派閥に。2012年12月の衆院選で自民党が大勝して再び与党になり、政務調査会長に就きました。

 

第一次安倍内閣の内閣府特命担当大臣(2006年)

 

第2次安倍内閣(2012年)

 自民党三役は幹事長は石破茂氏が留任したが、政調会長に高市早苗さん、総務会長に野田聖子さん

 

 2014年の第2次安倍内閣で総務大臣。その後、3内閣続けて就任。 2021年の総裁選に安倍元首相が後ろ向きだったため自ら立候補。菅首相の不出馬宣言を受けて、安倍元首相が高市さんを全面的に支援すると発表。第1回投票で2位につけましたが、党員党友票で届かず決選投票に進めませんでした。2021年10月に自民党政務調査会長に再就任後、自民党経済安全保障対策本部長に就きます。

 

第2次安倍内閣(改造)2014年 総務大臣

 

2021年 総裁選出馬

 

 2022年8月の第2次岸田第1次改造内閣に内閣府特命担当大臣として入閣。2023年9月の第2次岸田第2次改造内閣では経済安全保障担当大臣に就任。2024年9月の総裁選に立候補し、1回目の投票で181票を獲得して1位になりましたが、決選投票で石破候補に破れ敗退したのは記憶に新しい出来事でした。石破新首相は総裁選での発言を覆して、歴代最短の速さで衆議院を解散、選挙に突入しました。

 

第2次岸田第1次改造内閣(2021年)内閣府特命担当大臣

 

 

 

 高市さんは衆院選の公示に先立つ11日(金)、地元の奈良県庁で記者会見を開いて「自分の選挙区に入れるのは一日弱ですが、候補者の応援のために全国遊説を行いたい」と語り、自民党内の地盤固めのために全国行脚することを宣言しました。応援を依頼した候補者には、重複立候補が認められなかった旧安倍派の前議員らの選挙区のほか、総裁選を戦った旧岸田派など他派候補らの応援にも入っていると思われます。

 

 

 高市さんに関しては、インターネット上に加害予告の投稿が発見されたため、選挙運動期間中は警護対象者になり、SP(警護官)が付いています。政府や党の要職に就いていない「無役」の議員が警護対象になるのは極めて異例のことです。関係者によりますと、警察当局がサイバーパトロールで高市さんに危害を加えるという投稿を複数確認し、異例の対応が決まったといいます。

 

 

 高市さんは17日(木)夕、神奈川8区から立候補している元文科政務官の三谷英弘(みたにひでひろ)さん(48)=自前=の応援のため、横浜市青葉区の田園都市線たまプラーザ駅北口広場で三谷候補を応援している神奈川県議、横浜市議らと一緒にマイクから支援を呼びかけました。この日は早朝に岸田文雄前首相も三谷候補のため、同じ場所で応援演説をしました。神奈川8区には、ほかに元NHK記者の飯田能生候補(62)=共産新、元党代表代行の江田憲司候補(68)=立前=も立候補しています。

 

 

 

 

 三谷候補は神奈川県藤沢市の出身で、父親は海上自衛官。東大法学部卒、ワシントン大修了後、2001年から弁護士。2012年に弁護士を辞めて立候補した総選挙で初当選。次の選挙で落選し3年間の浪人生活後の2017年に2期目の当選。2020年から文部科学大臣政務官、内閣府大臣政務官、2022年から自民党遊説局長を務めています。趣味は海釣り、バドミントン、音楽鑑賞。尊敬する人は大谷刑部吉継、陸奥宗光。