地球温暖化

台風10号級の発生率が26%増

~発生情報の発信方法を見直し~

2024年夏は史上最も暑い!!

 

 

 気象庁は9月2日、2024年の夏(6~8月)の全国の平均気温が平年と比べて1.76度高く、これまで最高だった2023年と並んで、統計のある1898年以降で最も暑かったと発表しました。長期的な地球温暖化に加えて、偏西風の蛇行によって西日本を中心に高気圧に覆われて晴れの日が続いたことが影響したようです。

 

 

 特に7月から8月は、全国914地点のうち9地点で40度以上の最高気温を記録。また、144地点で観測史上最高気温を記録し、8月4日には過去最多の301地点で猛暑日(35度以上)を観測しました。とりわけ7月は1991年~2020年の平均値より2.16度高かったと言います。地球温暖化による気温の上昇が底上げしているようです。

 

 これに先立ち、英大学インペリアル・カレッジ・ロンドンのチームは、地球温暖化の影響で台風10号クラスの台風が発生する確率が26%高まり、最大風速は秒速3m(7.5%)強くなるというモデル分析結果を発表しました。チームは「気候を温暖化させ続ければ、台風は激化し続けるだろう」と警告しました。

 

 チームによると、温暖化がない場合、台風10号と同規模の台風は10年間に平均4.5回発生すると分析。石油や石炭の燃焼による人為的な温暖化を前提にすると、同規模の台風の発生は26%高い5.7回になりました。チームは「日本は伝統的に強烈な台風に適応してきたが、今回の分析を警告と受け止めるべきだ」と指摘しています。

 

 

 ところで、気象庁は毎年1月1日以降に発生した台風(最大風速17m以上)に第1号、第2号…と、発生順に番号を付けています。2024年はすでに第11号まで発生しています。一度熱帯低気圧になって再び台風になった場合は、熱帯低気圧になる前の番号が付けられます。

 

 号数のほかに、北太平洋または南シナ海で発生する台風は、各国の政府間組織の台風委員会が加盟国から募集した140個のアジア名が割り当てられます。2024年の第1号は「イーウィニャ(ミクロネシア語で“嵐の神”)」。台風の年間発生数は平均して25.1個ですから、アジア名は5年から6年で一巡します。大きな災害をもたらした台風は、そのアジア名を以後の台風に使わないようにして変更することもあるようです。

 

  台風に関しては、気象庁が9月4日に台風の専門家ら有識者による検討会議を開きました。台風になりそうな熱帯低気圧について、現在は発生の24時間前としている発表を前倒しすることや、円形で表している風速25m以上の暴風域をより実態に近い形にすることなどを討論し、新しい情報の発信方法をまとめることにしています。年内か年明けに中間とりまとめを行い、来年6月ごろに結論を出す予定です。

 

 

 台風11号、ベトナムで死者150人超

 

 台風10号に続いて発生した11号(ヤギ)は、日本への直接の影響はありませんでしたが、9月11日現在、ベトナム北東部に上陸した際、土砂崩れや洪水などで少なくとも152人が死亡、140人が行方不明になっていると、ベトナム当局が発表しました。また、首都ハノイでは市内を流れる紅河が氾濫して、低地の住民数千人が避難したということです。 

 

  <気象用語のおさらい>

 

 夏日(なつび)⇒一日の最高気温が25度以上の日

 真夏日(まなつび)⇒一日の最高気温が30度以上の日。逆に最高気温が0度未満

   の寒い日は真冬日

 猛暑日(もうしょび)⇒一日の最高気温が35度以上の日

 酷暑日(こくしょび)⇒猛暑日の俗称。1990年代初め頃からマスコミなどが最

   高気温40度以上の日として用いて一般に定着しました

 熱帯夜(ねったいや)⇒夜間(午後6時頃~午前6時頃)の最低気温が25度以上の

   こと。20度以上の真夏夜より暑く、夏の寝苦しさを示す一般的な指標とされ

   ています。夜間の最低気温が30度以上の「超熱帯夜」という俗称も使われる

   ことがあります。