昨日の記事で「ラーメンは三大ジャンクフードの一つ」などと書いたが、全くの嘘だ。そんなものはない。文末でネタバラシしようと思っていたのだがすっかり忘れていた。ごめんなさい。

 どうやら福岡には三大ジャンクフードと呼ばれるものがあるらしい。地理的な問題からどれも食べたことがないので一旦それは置いておいて、全日本三大ジャンクフードを勝手に考える。まずは先日挙げたラーメン。次はやはりハンバーガーだろう。ただ、ハンバーガーはどちらかというと「ファストフード」の王者だと思う。ここで二冠にしてよいものか? 最後はどうしよう。ポテチかドーナツを推したい気がする。

 ここで、そもそも「ジャンクフード」とは何なのか考えてみよう。ジャンクは当然"junk"だろう。インターネット集合知でもそれは異論が見られない。ジャンクという言葉には、近代に「ごみ、がらくた、ぼろ、価値の低いもの」といった意味が定着したようだが、それ以前までに遡ると、「古くて使えなくなった、価値の低いもの」というニュアンスが読み取れる。確かにジャンク品といえば中古品のことだ。しかし、ジャンクフードは別に古い食べ物ではない。多分、かつてのアメリカで、「こういう食べ物のことをなんと呼ぼう?」と考えた人がいた。その時、ジャンクという語がぴったりくるようだと閃くことになった原因があるはずだ。

 "junkie" これは現代で麻薬常習者を表す語だ。形容詞っぽい形をしていることからも、おそらく「つかえねーやつ」とか「役立たず」なんていうかんじで使われ始めたんだろうなと想像する。これが転じて"junkie"という言葉自体に麻薬のような、中毒性のあるもの、あるいはそれに熱中する人というニュアンスがついてきたのかもしれない。そう考えれば、ジャンクフードがジャンクフードなのにも頷ける。

 なぜなら、人間はそう出来ているからだ。ジャンクフードに共通するもの、脂質。脳は脂質を求める。これは至極真っ当な進化である。人間がエネルギーに変換できる三つの物質(糖質・脂質・タンパク質)は、どれも欠かせないものではあるが、その中でも脂質は最もコスパが良い。このコスパというのは質量あたりのエネルギー量のことで、つまり、脂質はカロリー爆弾だ。そんなことは誰でも知っている。なんだっけ。そう、脂質が少量でもカロリーの爆弾だから、生物の身体はこれを貯蓄しやすく進化してきたのだ。原初のお弁当である。次のエネルギー確保のため、持ち運ぶ荷物は軽い方が良いに決まっている。

 コスパが良いのが脂質なら、タイパ(タイムパフォーマンス)が良いのは糖質だ。糖はすぐ分解される。糖にも種類があるが、ブドウ糖はそのシンプルな構造により素早く吸収される。ブドウ糖のゼリー飲料が受験生の間で流行っていると聞いた。水分とブドウ糖が含まれていれば、実際脳はよくはたらくだろう。

 話が逸れた。結論を言えば、ジャンクフードがそんな名前で呼ばれるのは、おそらくその脂質の中毒性のためであり、それは遺伝子レベルでそうなっているからある程度は仕方ない、ということだ。更に開き直れば、脂質は頭に良いのだ、とすら言える。だって脳は半分以上が脂質で出来ているから。私がこんな素晴らしい文章を飽きもせずつらつらと書き続けられるのも日頃のラーメンのおかげだと思う。

 であれば、「ジャンク」だなんて呼ぶのは脂質に失礼ではないか? もっと脂質を多く含むことを万人に分かりやすく知らせる呼び方をすべきだろう。脂質は英語でlipidというが、これはあまり日本では浸透していない語だと思う。食べ物に含まれる脂質を示すうってつけの言葉がある。今日からお前はファットフードだ。よろしくね。

 というわけで、三大ファットフードのラスト一つを決めていく。ラーメン、ハンバーガーと来てその次をポテチにしてしまうと、塩分が多すぎる気がする。ここはドーナツにして、ファットフードの多様さを示したいと思う。これで決まり。

 ……なお、以上の文章を万が一にも何かの参考にしないこと。ないとは思うけど。