Fallout4(フォールアウト4)パトロール編 第8話 Vault118殺人事件 前編 | TES&fallout forever

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 僕達は今度はアカディアに向かった。ニュークリアスでチルドレン・オブ・アトムの近況を観察したので、今度はそこも確認すべきだと考えたのだ。ストロングには例によって外で待ってもらう事にした。

 

アカディアの近況を観察せよ!

 最初に僕はDiMAに出会った。彼はニュークリアスとファー・ハーバー、アカディアとの共存のための行動をきちんとしており、以前僕と交わしたインスティチュートに彼等の事を言わないとの約束もきちんと履行しているのに安心していた。

 インスティチュートに加担していると知っているのはDiMAだけで、他の人造人間達は僕のストラジデー・スーツはコモンウェルスで製作された特殊なスーツだと彼が教え込んだらしい。彼には感謝ばかりである。

 僕はアカディアの安全も守ると誓っているのでそれを反故にする気はない。それはきちんと果たしていく所存だ。

 その後、僕はファラデーと再会した。話さないようにしようかと思ったけど、ジュールが記憶を取り戻した事を明かした。彼女の為を思ってではあるが勝手に記憶を消した件も踏まえてだ彼はそれを聞いて狼狽した。僕が嗅ぎ回った事についてあれこれ追求しないが、自分達が全力を尽くした事は理解してほしいと弁解した。

 僕はそれを受け入れる事にした。ジュールを何とかして助けたい一心で行動したのは明白だからだ。ただそのやり方を間違えてしまったのがいけなかった。

 それを聞いたファラデーはジュールを助けようとした結果、それが上手く出来ずにこのような結果になってしまったと苦しそうに打ち明けた。彼女が目を合そうともせずここに戻ってこないのはそういう事なのかと合点がいった様子だった。彼女に辛い思いをさせたが却って本当の事を知って良かったのかもしれないと彼は納得した。

 僕ももっと早く話すべきだったかもしれない。ファラデーの苦痛を今の今まで放置する形になってしまったからだ。

 そして、ジュールの話題を終えた後、気分転換のためにファラデーはどうしてアカディアに来たのかを尋ねた。まだ彼にその事を聞いていなかったと思ったからだ。

 ファラデーは急に僕がその事を聞き出したのでびっくりしつつ、話を始めた。ここの人造人間達と同じくインスティチュート殻逃げてきたと言った。幸運にも記憶を消去されずにだ。

 DiMAが必要な時に自分が現れたと思っていると自負しており、ここがアカディアになる前からの付き合いで、自分の助けが必要なのに彼は認めようとせずに頑固なことに不満がありつつも、彼の味方となり、何でも必要な物を用意していったと言った。余程信頼しているんだなと僕は思った。そうでなければここまで行動出来ないと思う。その行動に僕は敬意を払った。

 その後、僕はアスターに再会した。先程のファラデーと同じようにどうしてアカディアに来たのかを尋ねた。他の人造人間と同じようにインスティチュートから逃げたのは、何もかもがんじがらめにしている気がして常に恐怖があったとのこと。

 だが、アスターは隠れるのを止めた。隠れたら自分らしさを失うとかもしれないと。例え人生を失ってもそれはそれ、自分らしさを失うのと比べたらその方が堪らないのだと。だが今こうして生きてここにいる。それが嬉しくて仕方がないと彼女は言った。

 自分らしさ、か...。インスティチュートに加担した僕としては耳が痛い話だ。人造人間を解放したが、かつての恐怖は今も健在だという事だ。それを払拭していくのは大変だがやっていくしかないと僕は内心誓いを新たにするのだった。

 

植物の方のアスターを採取せよ!

 その後、アスターに何か手伝うことはあるかと尋ねると、植物のアスターを採取してきてほしいと言った。ややこしいなぁ...。科学的研究と個人的興味が入り混じっているとか、種族が数世紀の間に経験する変化に興味があり、それが美しいと気付いたとか言っていた。

 なるほど。確かに興味深いかもしれない。僕はその仕事を引き受ける事にした。

 アスターを採取する前に、僕達は武器を改造するための時間を取ることにした。長旅で疲れたし小休止も兼ねてという意味合いもある。僕はPip‐Boyから武器作業台を呼び出して作業を開始した。

 最初は僕のキロトン・ラジウムライフルだ。ダメージが増加し発射速度が上昇するが射程が短くなる強力オートレシーバー、反動と構えた時の命中率を大幅に改善しスコープの照準精度をより改善しバッシュ時の威力が増加するリコイル吸収ストック、装弾数がかなり増加しリロード速度を改善する大型クイックイジェクトマガジン、照準精度を改善し構えた時の命中率をより改善するグロウサイトを導入して改造した。

 次は外で待っているストロングからアサルトライフルを預かった。ダメージを大幅に増加しトリガーの反応が良くなり発射速度がより上昇する改良型レシーバー、反動をかなり改善するポーテッドバレル、反動を大幅に改善する反動吸収ストック、装弾数を大幅に増加しリロード速度を改善するクイックイジェクトドラムマガジン、構えた時の命中率をかなり改善し対象を追尾最高倍率のスコープである長距離リコンスコープを導入して改造した。

 これで準備は整った。僕達はアスターの採取のためにアカディアを出るのだった。

 アスターを採取しに出かけたものの、なかなか見つからなかったので夜になった。僕達は国立公園キャンプ地を探索時にフェラル・グールやソフトシェル・マイアラーク、子供のガルパーが襲い掛かってきた。そこで改造したばかりのキロトン・ラジウムライフルやアサルトライフルの試し撃ちがてらで返り討ちにした。戦力がぐんと上がったのを実感する。

 その後、国立公園キャンプ地の道路沿いにアスターが生えているのを発見した。僕はそれを3つ採取してアカディアに戻るのだった。

 僕はアスターの所に戻り、アスターを3つ渡した。ややこしいなぁ...。彼女はアスターをとても気に入っており、1つにつき8キャップとして24キャップを報酬としてくれた。僕は祖のお礼を言ってアカディアを後にするのだった。

 

クリフズエッジ・ホテルを攻略せよ!

 アカディアを出た僕達は休むためにクリフズエッジ・ホテルに向かった。以前の旅でフェラル・グールを全滅させているので大丈夫だろうと思ったからだ。だが、僕はその考えが甘かった事を痛感することになる。

 その理由は、クリフズエッジ・ホテル内部に大勢のフェラル・グールや組織壊死フェラル・グール、焦げたフェラル・グールやフォグ・グール、フェラル・グール・リーヴァーやフェラル・グール・ローマ、肥大化した光りし者等がいた。奥に行くほど大勢いたのだ。

 僕やニック、ロングフェローが全滅させた時の分は入口だけだったので、それで終わったものと勘違いしていたのだ。

 休むどころじゃなくなったなぁ...。まぁ全滅させればいいだけなんだけどさ!僕はいつものようにキロトン・ラジウムライフルで、ストロングはアサルトライフルでフェラル・グール達を殺していった。でも一度にフェラル・グールや焦げたフェラル・グール、肥大化した光りし者の相手はもう勘弁してほしい。怖いし、危ないからね!

 

謎のVault118

 フェラル・グール達の全滅を確認後、まだ稼働しているエレベーターを2つ発見した。1つはクリフズエッジ・ホテルの入り口に戻る分。もう1つは地下に降りる分だった。そして、地下を探索するとVaultを見つけた。それはVault118と書かれていた。

 僕はVaultの扉操作盤を起動させるためにPip‐Boyを繋いだ。すると、Mr.ハンディーの声が聞こえてきた。マクスウェルという名前らしい。彼は自分達が依頼した探偵かと尋ねてきた。一応探偵の真似事はした経験はあるけれど、本格的な探偵ではない。ニックを連れて来るべきだったかな?

 僕はどうして探偵が必要なのか尋ねた。マクスウェルはVault118内部で不審死があったらしく、探偵が必要になったそうだ。Vaultは2つを除いて危ない所ばかりだったからなぁ...。ここも用心しておくべきかな?

 そして、僕は自分が探偵だと答える事にした。ニックと探偵の仕事をした事があるから嘘は言っていないはずだ。多分ね...。それを聞いたマクスウェルは喜び、今からドアを開けると言った。久々のVaultだ。用心して取り掛かろうと思う。

 橋を渡ってマクスウェルと思われるMr.ハンディーの所に向かった。彼はやっと警察が来てくれたと安堵の声をあげた。え?探偵を呼んだんでしょ?まぁいいか。話を戻そう。ここには大切な住人が沢山いるので、殺人犯がいると思うと恐ろしいと嘆いた。

 僕は一体誰が亡くなったのか尋ねた。その人物はホテルの第1オーナーかつ出資者のMr.パーカーという人物らしい。かなりの大惨事らしい。犯行現場を見て、証拠を見つけたら話し合おうと彼は言った。

 しかし、コンシェルジュという名前のMr.ハンディーは何やら耳打ちした。電子音しか言わないタイプだろうか?よく分からなかったが、被疑者達が現場に集まっているらしい。マクスウェルは証拠をダメにしてしまうのが分からないのかと愚痴を零していた。彼も彼で大変そうだ。僕達も彼に付いて行くのだった。

 

現場検証

 僕達は犯行現場である大ホールに向かった。しかし、そこにいた被疑者は全てがロボブレインだったのだ!そこで犠牲者であるMr.パーカーの死について紛糾していた。

 キースという名前の男性ロボブレインは犯行現場を保持しようとしたが、サンチアゴという名前の男性ロボブレインはMr.パーカーの死体を芸術作品だと言った。どういう感性をしているんだろうか?まぁ僕がアレコレ言えた義理じゃないんだけどね...。

 サンチアゴの話を端から聞くと、Mr.パーカーは本名ではエズラ・パーカーという名前だと分かった。彼の死は最高傑作であり、凡人の人生の全てに勝る感情が込められていると豪語していた。う~ん、ますます分からない完成だ...。

 それを聞いたキースはサンチアゴの事をアヴィダと言った。サンチアゴ・アヴィダという名前だと分かった。友人の死に敬意を払わない事に怒りを募らせている様子だ。それは僕も分かる。

 だが、サンチアゴはまだ自説を唱え続ける。エズラ・パーカーには壮観な死に方をする良識があり、退屈な死ほど酷いものはないと。いやいや、それは言い過ぎではないかと僕は思った。流石にエズラ・パーカーに悪いよ。

 いつまでも言い争いが絶えないので痺れを切らしたマクスウェルは大声でそれを止めさせた。大声を出した事を詫びつつ、探偵として僕を読んだと2人に説明し、現場を調査し終わるまで自室で待機するように指示を出した。最後に事実が判明したら皆に話すという流れとなった。責任重大だ、頑張らなくちゃね!

 その後、マクスウェルは好きなだけ質問してもいいが皆の安全第一とし、確かな証拠がない限り、誰かを告発する事は控えるようにと釘を刺された。僕はそれに同意した。不用意な告発は争いの火種となる。このVault118という閉鎖空間では瞬く間に殺し合いの地獄絵図となるだろう。注意深く証拠を探すべきなのだ。

 最初はエズラ・パーカーの遺体を調べる事にした。周りには血痕が飛び散り、脳の収納ケースは破壊されていた。恐らく鈍器のような物で殺されたのだろう。

 凶器はどこかと思って探したがすぐに見つかった。血痕を辿ってみるとソファの近くにベースボールのバットが落ちていたのだ。それはフェンスバスターと呼ばれるバットでどうやらダメージ耐性やエネルギー耐性のある相手に効果を発揮するらしい。これが凶器で間違いないだろう。

 僕は凶器であるフェンスバスターを持ってマクスウェルの下に向かった。凶器を見せる前に情報収集しようと思う。ニックもじっくり証拠集めはしているからね。僕もそれに倣おうと思う。

 最初はエズラ・パーカーについてだ。彼は先程聞いたようにホテルの第1オーナーかつ出資者だ。戦前では様々なベンチャープロジェクトに携わったのだとか。

 それと、クリフズエッジ・ホテルの地下施設を建設するために主要顧客から出資者を募るのはエズラ・パーカーのアイデアだったようだ。そして、VaultーTecの要求通りにここを建設したようだ。その仕事も請け負ったから入居出来たわけか...。

 次に何故全員ロボブレインなのか尋ねてみると、来るべき時に備えるために手術を受けたとマクスウェルは答えた。う~ん、その時が来ても生身の体が無いならロボブレインの身体のままになるんだけどなぁ...。どこかに冷凍保存されているのだろうか?Vault111みたいな装置が?

 その次に僕はフェンスバスターを見せた。それはマッキーニの持ち物だとマクスウェルは言った。彼が人殺しをするような人ではないと否定していた。先程のキースの名字がマッキーニなら、キース・マッキーニか?嘘でしょ!あの大物俳優のキース・マッキーニなの?業界で働いていた頃はその凄い演技は知っていたから大ファンなんだよね!何度か戦前では話をした事はあるし。でもロボブレインになっていたし、名前だけしか名乗ってなかったから分からなかったなぁ...。

 そして、証拠が集まったなら後は殺す動機のある人物を突き止め、十分な証拠を集め終わったら殺人犯と対決すべきだとマクスウェルは言った。まぁ戦前の法律も今のウェイストランドには通用しないからそうするしかないんだけどね...。それじゃ取り掛かりますかね!

 

キース・マッキーニのアリバイ

 僕は最初にキース・マッキーニの所に行ってアリバイを調べる事にした。行ってみると部屋はドラマの撮影現場のようだった。そして、何とドラマのリハーサルをしており、共演相手はギルダという名前の女性のロボブレインだった。

 確か戦前彼と共演した事があるのがギルダ・ブロスコーという名前の大女優だったはずだ。もしかして彼女もロボブレインになっていたのか?

 う~ん、大物俳優達がロボブレインになってしまうとは夢にも思わなかった...。まぁ改造人間になった僕が言うのも変なんだけどさ...。

 だがドラマの最中にキースさんは台詞を間違えてしまい、ギルダさんがそれを咎めた。どうやら事件の事出来が散って集中出来ないようだ。彼女は休憩がてらビーチに行くと言ってその場を後にした。そういう用途の部屋もあるのか?後で行ってみるかな? 

 僕はキースさんにアリバイを聞く事にした。

 殺人事件に関して何か考えがあるか尋ねると、サンチアゴしかいないと言った。犯行現場を何度も訪れているからだと言った。犯人は現場に戻るとニックは教えてくれた事がある。その線もあり得るだろう。

 次に僕はフェンスバスターを見せた。犯行現場に落ちていたのでどういう理由か尋ねると、キースさんは自分を嵌めようとしているのだと弁解した。それを行ったのもサンチアゴのはずだと憶測を言った。この段階では憶測でしかないから決定的な証拠にはなり得ないかな?

 その次はギルダさんとの話し合いについてだ。あれはただのリハーサルだとキースさんは言った。それは僕も分かる。だってあの様子はドラマのリハーサルでしかないからね。

 最後に役に立てる事があれば言ってほしいとキースさんは言ってアリバイ調べは終了となった。僕は彼に改めて自己紹介した。彼は急な事で驚いたようだが戦前の記憶と照らし合わせ僕がパーマー・エルドリッチ本人だと合点がいき、再会を喜んだ。

 

 キース「まさか君とはねエルドリッチ君。ロボブレインじゃなくてきちんと生身で核戦争を生き延びるなんて!どうしたらそんな幸運に恵まれるんだい?」

 パーマー「いやぁ~たまたま入ったVault111が冷凍睡眠装置付きでして。それが運よく解凍されて生き延びてここにいるんですよ。まぁ生身の部分はいくらか無くしちゃったりしたんですけれども...」

 キース「そうだったのか。大変だったね...。でもまぁかつての知り合いに会えるのは嬉しいことこの上ない。こんな時だがゆっくりして行ってくれ!」

 パーマー「はい!」

 ストロング「人間、そのロボットみたいなのと昔から知り合いなのか?変わってるな...」

 

 

サンチアゴ・アヴィダのアリバイ

 今度はサンチアゴ・アヴィダの所に行く事にした。そこに行くまでにエズラ・パーカーの200年以上続いた命が泡のように消え、悲劇であり馬鹿騒ぎだと叫んでいた。大仰だなと思って行くと、彼の部屋はアトリエのようだった。確かに彼自身芸術家だから部屋をそのように作り替えるのも納得だ。第一印象は正直言って最悪だったが、今はその印象が覆りつつある。僕はこういうのが好きだからね。

 サンチアゴは僕の姿を見ると、法の番人のお出ましかと皮肉を言った。その次は芸術の信奉者かと尋ねてきた。僕は芸術とは人生そのものであり、それを理解し楽しむのは人間だからこそ出来るものだと返答した。そうでなければ動物と同じだと思ったからだ。その考えがなかったならスーツアクターをやっていなかっただろうし。それを聞いた彼は納得し、意気投合した。

 

 パーマー「芸術とは人生そのもの。ふふ、芸術がなければ我々は動物と同じじゃありませんか?」

 サンチアゴ「そうかもな。もし我々が肉体...又は金属の衣に包まれた感性の塊にすぎないなら、世界つ通じ合う真の手段は芸術しかない」

 ストロング「???ストロングにはお前達の話がさっぱり分からない...」

 

 意気投合した後、サンチアゴさんは自分のアトリエに飾ってある絵を紹介してくれることとなった。こういうの大好きなので楽しみだ!

 最初は抽象画のようだった。僕は気付いた点をサンチアゴさんに言ってみた。顔のようであり、赤のレールのような線は舌を出したようだと。彼はそれを認め、モデルはギルダさんでそれは最後に描いた肖像画だと言った。彼女の感情的な景観が肖像画と重なり合い、自身を突出させようとする自我が被写体の現実を歪めているのだと。なるほど、興味深い。

 

 パーマー「おーっと?顔のように見えるけど...あの点は目で、あの赤い染みは髪の毛かな?そして、舌をぴゅるっと突き出しているようにも見えますね」

 サンチアゴ「確かに。これは一連のギルダの肖像画の中で最後に描いたものだ。作品番号は1378。彼女の感情的な景観が肖像画と重なり合い、自身を突出させようとする自我が被写体の現実を歪めている」

 

 次はどういう絵なのか分からなかったが僕は戦争の絵だと答えた。最終戦争時の核爆弾が投下した直後の光景が頭をよぎる。それが上下関係なく落とされ、世界が逆立ちしたようだと。サンチアゴさんはそれを聞き、ある意味そうかもしれないと言った。

 解釈違いな事を言ってしまったかな?だがそれでもサンチアゴさんは話を続ける。芸術は世界を形作り、世界はそのお返しに芸術を形作ると言った。あらゆる芸術は文脈的かつ歴史的な解釈のレンズを通して生まれ変わっているに違いないと言った。芸術と世界は表裏一体と言ったところかな?

 

 パーマー「これは戦争ですね。あちこちから爆弾が飛んできています。上も下もない。世界が逆立ちしているようです。」

 サンチアゴ「ある意味そうかもな...。芸術は世界を形作り、世界はそのお返しに芸術を形作るのだろう。ああらゆる芸術は、文脈的かつ歴史的な解釈のレンズを通して生まれ変わっているに違いない」

 

 そして、最後に見せてくれたのは玩具で遊ぶ猫の絵だった。だがこれを正直な意見で聞かせてほしいとサンチアゴさんは言った。誠実を失った芸術は政治過ぎないからだと。僕はどう見ても普通の絵にしか見えなかったので、キュートでそういうのも好きな人はいると答えた。

 それを聞いたサンチアゴさんはつまらなさそうに、売り物としては最高の絵だがそういうのは全部偽名で描いたものであり、真面目なものではなくこういうのが金を稼ぐのだと嘆いた。おふざけで描いたものがそうなるのだと。怒らせちゃったかな?

 

 パーマー「キュ、キュートですね...。そういうのも好きな人はいますよね」

 サンチアゴ「正直言って、これは売り物としては最高のものだ。勿論こういうのは全部偽名で描いたがね。真面目なものでなくこうのが金を稼いでくれるんだ。ただのおふざけで描いたものがね!」

 

 僕は恐る恐るサンチアゴさんに話し掛けた。事件のアリバイを聞くためだ。だが彼は怒った様子はなく、アリバイ確認に応じてくれた。どうやら芸術の話で花を咲かせたので気分が良いのだろう。怒ってなくて良かった...。

 改めてサンチアゴさんに自己紹介してもらうことになったが、主に油絵を描いており、彫刻やパフォーマンスアートの世界でも名を知れていたと誇りを持って言った。僕はそれを戦前知らなかった事を内心悔やんだ。もう少し美術館に行ったり、その手の本を読んでおけば良かったなぁ...。

 殺人事件に関して何か考えがあるか尋ねると、ジュリアナ・リグスという名前の女性のロボブレインが怪しいと言った。俗物的と蔑み、芸術作品と自分の排泄物すら区別出来ないと罵った。そこまでの相手なのだろうか?彼女はエズラと最近派手に口論をした事があり、その金切り声がホテル中に響いたらしい。

 次はキースさんの証言にあった何度も犯行現場に足を運んだ理由を尋ねた。サンチアゴさんはそれはインスピレーションの為だと言った。人はいずれ死ぬものであり、それはプロメテウスの松明のように、自分の内なる炎が、限られた時間の中でより多くの芸術の創造を成し得させてくれるのだと言った。

 エキセントリックな発言が多いけど、死生観はきちんとしているのに驚いた。いや、エキセントリック名発言が多いだけでまともなのかもしれない。僕みたいな愚かな裏切り者の化け物なんかより、よっぽど人間だと内心思った。

 次に何故ギルダさんの絵が多いのか尋ねた。サンチアゴさんは少し照れながら、彼女は唯一無二の存在であり、彼女の中に「生きる喜び」が輝いて見えないか?と質問し返してきた。確かに戦前の頃に演技を見た時はとてもエネルギッシュだし、普段もハキハキと行動していたなぁと僕は思い出した。

 サンチアゴさんは話を続ける。ギルダさんほど強く生に執着する人は他にいない、今を生きている女性だと。そして、一時期は彼女に心底惚れ込んだと告白した。確かに分かるかもしれない。ロボブレインになる前の彼女はとても美しかったからね。 

 次にゲスの勘繰りと思いながらも、ギルダさんとはまだ恋愛関係になるのかと尋ねた。犯罪の陰に女あり、探偵小説の鉄則でそういった痴情のもつれも事件に成り得ると考えたからだ。

 それを聞いて流石のサンチアゴさんも怒った。知っていたとしても僕には関係がないだろうと突っぱねた。ギルダさんの儚い美しさを知る者こそ彼女に相応しいと。キースさんではダメだと。それだけ彼女を想っているんだなと僕は考えた。彼は犯人ではないと思った。

 僕は先程の非礼を詫びつつ、ジュリアナとエズラは何を言い争っていたのか尋ねた。サンチアゴさんはその時は絵を描くのに集中していたので分からなかったらしい。ギルダさんなら話を聞いていたはずなので直接話をしたらどうかと提案された。後で聞きに行こう。

 最後にサンチアゴさんは、自分の絵が僕の心を新たな可能性へと導く一助となる事を願うと言いながらアリバイ調べは終了した。他にも効かねばならない相手は多い。慎重に進めようと思いながら次の場所に向かうのだった。