スカイリム(SkyrimSE) VIGILANT 編 第1章 その5 抗い続ける業魔 | TES&fallout forever

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 俺達はアルタノの指示通り魔女の親子のいる小屋に向かった。その道中に見た事もない装備をした白骨遺体を見つけた。どうやら魔女狩りを専門職にしているようだ。クレイマンとウィリーという名前ららしい。

 ノコギリの武器などを共通で所持していたが、見た事もない武器を持っているのに気付いた。銃と呼ばれる武器だった。クロスボウみたいなものだろうか。どうやら矢ではなく鉛球をそのまま敵に打ち込むようだ。これは殺傷能力が高そうだ。使わないかもしれないが一応貰っておこう。装備も中々良さげだし。

 さて、いよいよ魔女の親子がいると思わしき小屋を見つけた。気が乗らないが早急に終わらせるとしようかね。

 

ある1つの家族の話

 俺達は小屋に突入した。そこでは魔女ではなく、普通の親子が暮らしているだけだった。母親はカレン、娘はリリアンという名前だった。タラニスの家族がここに住んでいたのだ...。こんな巡り合わせなんてあってたまるか!!俺は彼女達の大事な人を殺した張本人だ。そんな奴がどんな顔して話せばいいんだよ...。

 そんな俺を見かねてかセラーナがその間を取り持ってくれた。同じ女性同士だから打ち解けやすくしてくれたのだ。こんな時に彼女は頼もしく思える。ミラークも協力してくれた。リリアンと話をしてくれたのだ。ドラゴン・プリーストとしての彼ではない意外な一面を見た気がする。俺も頑張らないとな...。

 ここでは何をしているのか尋ねた。薬の調合をしているのと錬金術で生計を立てているらしい。その技術はグレンモリルの魔女から学んだらしい。夫の呪いを解きたくて協力したらしいのだ。俺はハグレイヴンと戦った事はあるがその魔術結社を見た事がない。魔女とはその魔術結社が彼女達を騙して囮にしているのではないのか?そうでなければここにはいないだろう。

 俺は確信した。彼女達は魔女ではない。俺はここから逃げるように警告した。出来るだけ早くスカイリムから離れるように言ったのだ。カレンは俺達がステンダールの番人である事を察し、タラニスを待つことも叶わないと分かり、準備が出来次第リリアンとここを離れると言った。その方がいい、スカイリムは今は混沌としている。彼女達の為にも...。

 

 パーマー「ここは危険です。スカイリムから早く離れた方が賢明かと思います」

 カレン「貴方が来たという事は...そういう事なんでしょうね。分かりました。ここから出ていきます。貴方にステンダールの加護があらんことを」

 

 次はリリアンに話し掛けてみた。彼女は子供ながらも錬金術師らしい。カレンと同じ位の錬金術師を目指しているようだ。ステンダールの番人についても知っているらしく、そのアミュレットを持っているとか。

 ここでは何をしているのかをリリアンにも尋ねてみた。ここではパパの病気が薬を作っていたそうだ。病気を治すための旅をしていたが、どこの村でも迫害されたらしい。ウェアウルフなのがやはり恐ろしかったのだろう。彼女にはそれは分からなかったらしいが。カレンも知らないのだろうか?

 滞在することが困難だったが、とある老婆がこの小屋を貸してくれたらしい。偶にお菓子もくれて優しくしてくれるのだとか。その老婆はとんがり帽子を被っていて、お菓子や薬草を届けてくれるのだそうだ。錬金術はカレンにしか教えていないらしい。難しいからだそうな。

 それが件の魔女、グレンモリルの魔術結社の一員か...。困った家族の心の隙に付け入ったというわけだ。それもモラグ・バルの計略なのか?

 一応家族の事をどう思っているかも尋ねてみた。パパはウェイレストで一番の剣士だったようだ。タラニスのあの剣捌きはそういう理由か。途轍もない強さの理由が分かった気がする。カレンは錬金術師であり、彼女の作る薬はよく効くのでウェイレストで有名だったらしい。

 その後、もしパパに会ったら早く帰ってくるように言っておいてほしいと言われた。本当の事を言うわけにもいかないので、俺は嘘を吐いた。こんな事をしても何にもならないが、仕方がなかった。

 

 リリアン「もしパパに出会ったら早く帰るようにお願いしておいてほしいの。お願い」

 パーマー「...分かったよ。会ったら必ず伝える。だから安心して待っていてほしい」

 

 あの時、俺がタラニスの忠告を本気で聞いていたら彼は生き残れただろうか?幻惑魔法の鎮静を使っていたら死なずに済んでいたのではないか?そういう考えが巡ってきた。今更もう遅いのに...。俺は恐ろしい事をしてしまった。1つの家族を壊してしまったのだ。吸血鬼であり続けることを選んだ罰なのか?多分そうかもしれない。ステンダールは最上級の罰を俺に与えたようだな...。

 だが俺は彼女達を殺さない。アルタノを説得してこれ以上あの家族が無事に生き残れるようにしなければならないだろう。償いにはならないだろうが、行動しないよりはマシかもしれない。それも言い訳にしか過ぎないのだとしても。

 

アルタノを殺し、親子を守れ!

 俺達はモラグ・バルの祭壇で待機していたアルタノにイヴァルステッドで起きた事の詳細を話した。あそこには魔女はいなかった。あったのは普通の家族だったのだ。一般人は殺せないし、殺さない。俺はこの任務を断る事にした。

 だがそれを聞いたアルタノは激高した。丸め込められただけだと非難したのだ。魔女かどうかは殺せば分かると言い放った。セラーナはモラグ・バルに操られているのだと推測した。あのメイス越しに心の隙を突いて操ったのではないかと言った。だとしたら1人だけにしなければよかった。迂闊なことをしてしまった。

 

 パーマー「なぁアルタノ。何か少しおかしくないか?ヤコブさんが死んで辛いのは分かるが、それはやっちゃいけない事なんじゃないのか!」

 アルタノ「おかしくなどあるものか...お前が!!お前が分からず屋なだけだろう!!」

 ミラーク「まるで人が変わったような...まるで服従を当てられた後のような虚ろな目をしている」

 セラーナ「止めるべきでしたわ...。師を失った心の隙を突かれたのかもしれませんわね」

 

 あくまで魔女を殺す事にアルタノは拘った。それが俺の成すべき事だと。今まで殺して来たようにただ冷徹に殺すようにと。今回も同じように、言われた通りにステンダールの名の下に殺せばいいと。

 確かにそうだ。俺は殺してばかりだ。山賊やフォースウォーン、猛獣や怪物、ドレモラやシーカーにル―カー、ドラゴン等でありそれも大勢だ。それだけじゃない。マダナックにウルフリック、ヴィルスールにハルコン卿、そしてアルドゥイン。

 俺の手はとっくに血に染まっており、きっとこれからもそうするだろう。俺は吸血鬼で悪党だから。ならばやる事はいつもと同じだ。俺は吸血鬼の吸収をアルタノに向けて放った。

 

 パーマー「そうだな、そうしよう...」←吸血鬼の吸収を放つ

 アルタノ「ぐわっ!!ううっ。それは吸血魔法の1つ、吸血鬼の吸収だと!?まさかお前、いや、貴様は!!」

 

 アルタノは驚いた。それはそうだろう、吸血鬼のステンダールの番人などいるはずもない。驚いたのも束の間、彼は憤怒に駆られた。これは冒涜だと言った。だがな、これまで通りにやれと言ったのは他ならぬアンタだ。俺はその通りにしただけだぜ?そうだ、目の前に殺すべき邪悪がいるのだ。俺という化け物がな!!

 

 アルタノ「許さん!!ステンダールの、我が師ヤコブの、全てのステンダールの番人への侮辱と屈辱だ!!殺してやるぅ。私の怒りを思い知れ、貴様ぁぁぁ!!」

 パーマー「...そうだな。だけどなアルタノ。俺は内心アンタの事は反感を抱いていたんだが、真摯にステンダールの番人として戦う姿には尊敬してたんだぜ?でも、それも今この瞬間で終わりだ...。名残惜しいけどな。さぁ来いよ、目の前に殺すべき邪悪な化け物がいるぞぉぉぉ!!」

 

 アルタノはモラグ・バルのメイスを持った後、ミラークとセラーナと変性魔法の麻痺の嵐を使って動きを止めさせた。かなり強い部類に入る彼等がすぐに動けなくなる程の威力だった。そんな技を使うそぶりも無かったが、これもあのメイスの恩恵だろうか?

 アルタノは無我夢中でモラグ・バルのメイスを振り続けた。何度か当てられたがかなりの激痛に苛まれた。これ以上受けると何か良からぬことが起きると本能的に察した俺は、揺ぎ無き力を最大の威力で放って隙を作り、ドラゴンベインで斬り殺した。

 

 アルタノ「がぁ!!し、師よ...。申し訳ありません。あのような愚か者に負けるなんて...」

 パーマー「お前は俺に負けたが、それよりも前にモラグ・バルに負けてたんだ。せめてもの情けだ、ヤコブさんの下に逝け...」

 

 だが次の瞬間、アルタノの体を突き破って何かが現れた。セラーナは顔を強張らせながらモラグ・バルに似ていると呟いていた。あれがそうなのか?そうとは思えんな、本能で違うと思った。あれは醜き者という名前で十分だろう。

 

 ミラーク「むぅ!何なのだあれは!」

 セラーナ「あ、あれはモラグ・バルに似ている?」

 パーマー「ハッ!まさかそんなはずないだろう。あんなのは醜き者という名前で十分だ」

 

 しかし、モラグ・バルのメイスを使うのは相変わらずだ。俺は奥の手として旋風の疾走で距離を取り、吸血鬼の王へと変身した。これで五分五分だろう。吸血魔法を何度も放って弱らせつつもメイスを回避し、爪で醜き者の喉を搔っ切って殺した。

 

 醜き者「ギャァァー!!」

 パーマー「終わりだ!オブリビオンへ逝けー!!」

 

 殺した後、俺の中に何かが入り込んだ気がした。それは何かはよく分からなかった。しかし、そのすぐ後に意外な人物が現れた。カレンさんがここに来たのだ。小屋であった時とは違い憎しみの籠った眼差しで俺を俺を睨み付けていたのだ。

 

親子の憎しみを受け止めよ!

 カレンさんは逃げるように警告してくれた事には感謝しているが、俺を見逃すことは出来ないと言った。ここに来た理由は親切な人に教えられたからだと言った。タラニスを殺したのは俺であるという事実をだ。

 俺はその親切な人はオルランドではないかと尋ねたが、そんな事はどうでもいいだろうと突き放された。あの戦いは正当防衛だったし、お互い引くに引けなかったと弁解したがカレンさんにとっては愛する夫を失い、その元凶が目の前にいるという事実だけで十分だった。理由があったかもしれないが、許す事など出来ないのだと...。

 

 パーマー「黙っていたし、嘘を吐いたのは謝ります。タラニスさんを殺したのは間違いなく俺です。でもお互いに引けなかったんです!」

 カレン「そうだとしても、私は貴方を許さない。武器を取りなさい。夫の無念を晴らさせてもらうわ」

 

 カレンさんは破壊魔法の火炎を放った。デイドラの鎧を装備してなかったのもあるが、とても堪えた。これは彼女の憎しみの炎でもあるのだ。俺はモラグ・バルの祭壇で死ぬことになるのか。自業自得とはこのことだろうな...。

 そう思ったがカレンさんをモラグ・バルやグレンモリルの手先にしてしまっていいのか、そうなったらリリアンを誰が守るのかと思うとこのままでは死ねないと奮い立ち、彼女と戦う事を選んだ。

 セラーナとミラークの麻痺は解けたてはいたのだが、この戦いへの介入を止めさせた。この戦いは俺と彼女の戦いだと思ったからだ。俺はドラゴンベインを納め、拳のみで戦う事にした。火炎に真っ向から受け止めたのだ。カレンさんの憎しみを受け止めつつ、拳を撃ち込んだ。5~6発撃ちこんだら倒れ込んだ。

 何とか殺さずに済んだ。しかし、どうして俺が生き残ってタラニスさんが死んだのかと嘆いた。これからだったのにと涙を流しながら言った。俺は決心した。許さないなら何度でも受けて立つと。彼女達の憎しみを真っ向から受け止めると宣言した。

 カレンさんはいつか必ず俺を殺すと言った。絶対に許さないと言ってこの戦いは幕を閉じたのだった。

 

 パーマー「何度でも受けて立ちます...。貴女達の憎しみが満たされるまで。何度でも...」

 カレン「いつか...いつか絶対に、貴方を殺すわ...許さない...絶対に許さない」

 

 

抗い続ける業魔

 俺達はステンダール聖堂に戻った。召喚者の一件をソロンディールさんに無事討伐が完了したと報告した。彼は俺達を労い、ゆっくり休むといいと言った。その後、アルタノはどうしたかと聞かれたので、俺は正直にモラグ・バルに操られてしまったと報告した。彼はあまり気に病むなと慰めた。それこそモラグ・バルの思う壺なのだと。

 ソロンディールさんはこれから大部隊を引き連れてステンダールの灯に向かい、モラグ・バルの祭壇を破壊すると言った。人を遠ざけるだけでは不十分だと痛感したのだ。そのためほとんどの人員を連れて行くのでその留守を頼まれてほしいと言われたのだ。吸血鬼の俺には無理だと思ったが、引き受ける事にした。関わった以上最後までやり遂げるしかないと考えた。

 そして、ソロンディールさんはステンダールの角笛を託して大部隊を引き連れて出陣した。俺達は彼等の無事を祈るしかなかった。

 

 ソロンディール「我々はこれよりステンダールの灯にこれから向かう。子の角笛を託すから、道に迷った時に祈りなさい」

 パーマー「ありがとうございます。ソロンディールさん、ご武運を!」

 

 少し休んだ後、正門前にウィンドヘルムの衛兵が依頼に来ていると報告があった。すぐに向かうと確かにウィンドヘルムの女性衛兵がいた。内戦後の事もあって帝国軍兵士が来るのではないかと思ったが、ストームクロークの属していない衛兵は、その装備を着用するのを許されていると彼女は言った。なるほどね。

 ウィンドヘルムの執政の命令で来たらしい。その執政はどうやらヨルレイフさんではないようだ。内戦後の政治的な動きで変更になったのだろうか?まぁそれは重要な事ではない。

 その依頼内容は囚人の失踪事件の調査だった。詳細は執政に聞くようにと言われた。それも内密にという話だ。これはかなり大変なのかもしれない。気を引き締めて取り掛かろう。

 だがその前に俺達はステンダールの灯に向かった。ソロンディールさん達の事があまりにも気掛かりだったのだ。地下室に入りモラグ・バルの祭壇に向かったが、そこにはドラゴンに似た巨大な怪物の彫刻がそこにあった。そこから先は崩落しているらしく、生存は絶望的だった。

 その彫刻を見てセラーナは悲鳴を上げた。その彫刻こそ、モラグ・バル本人にあまりにも酷似していたのだ。

 そのすぐ後の事だった。俺は突如胸が苦しくなった。持ち歩いていた赤い石の欠片も熱を帯びながら鈍く光った。その光がどんどん大きくなり、やがて俺自身を包み込んだ。気が付くと俺は吸血鬼の王へと変身していた。いや、正確には変異していた。ドラゴンのような翼と鱗、人型に近づいたデイドラの掛け合わせのような姿だったのだ。その姿では体が熱く、飢えが生じる弊害もあった。

 

 セラーナ「なんてこと...」

 ミラーク「これはドラゴン、それともデイドラなのか!?」

 パーマー「分からない。ただ、体中が熱い上に飢えて仕方がないんだ...」

 

 セラーナもミラークもこの姿の症状に関しては知識を持ち合わせていなかった。前例がないからだ。俺は愕然としつつも受け入れる事にした。これが俺の罰ならば受け入れつつも抗う。抗い続ける。それが業魔だからだ。死が訪れるその時まで血まみれになりながらも抗い続けてやると誓ったのだ。