先日来の記事の続き。今日は最終回。
↓①はこちら
ここまでサピックスの開成・桜蔭合格者が減少した分がどこに流れたのかについて考えてみた。①麻布・JG等に流れた、②関西系・中小規模塾に流れた、という仮説を検討してみたが、①は多少言えそうに思うものの、それほどうまいこと説明できなそうだ。
そこで、今日は開成・桜蔭について、これまで取り上げた四大塾+関西系、中小塾をまとめた表をつくってみた。
開成 | |||||
2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
サピックス | 235 | 263 | 272 | 285 | 268 |
早稲アカ | 94 | 93 | 103 | 111 | 127 |
四谷大塚 | 110 | 103 | 108 | 106 | 101 |
日能研 | 59 | 42 | 42 | 38 | 30 |
グノーブル | 14 | 12 | 12 | 11 | 13 |
ジーニアス | 8 | 3 | 4 | 5 | 4 |
エルカミノ | 4 | 10 | 12 | 10 | 14 |
希 | 8 | 7 | 5 | 7 | 9 |
浜 | 17 | 18 | 24 | 24 | 22 |
英進館 | 7 | 15 | 16 | 15 | 4 |
啓進塾 | 0 | 2 | 1 | 1 | 2 |
栄光 | 12 | 11 | 19 | 16 | 14 |
市進学院 | 8 | 15 | 12 | 17 | 11 |
合計 | 576 | 594 | 630 | 646 | 619 |
全合格者 | 395 | 388 | 396 | 397 | 398 |
占有率 | 145.8% | 153.1% | 159.1% | 162.7% | 155.5% |
桜蔭 | |||||
2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | |
サピックス | 184 | 164 | 171 | 171 | 160 |
早稲アカ | 54 | 63 | 73 | 69 | 68 |
四谷大塚 | 52 | 60 | 57 | 64 | 61 |
日能研 | 28 | 32 | 28 | 29 | 24 |
グノーブル | 19 | 7 | 10 | 12 | 10 |
ジーニアス | 1 | 2 | 1 | 0 | 2 |
エルカミノ | 0 | 1 | 1 | 3 | 3 |
希 | 6 | 2 | 3 | 5 | 5 |
浜 | 0 | 2 | 3 | 3 | 5 |
英進館 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 |
啓進塾 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
栄光 | 15 | 5 | 4 | 3 | 4 |
市進学院 | 7 | 9 | 9 | 11 | 9 |
合計 | 367 | 347 | 360 | 370 | 352 |
全合格者 | 278 | 275 | 281 | 274 | 274 |
占有率 | 132.0% | 126.2% | 128.1% | 135.0% | 128.5% |
上の表の「占有率」とは、合計の数字を全合格者数で割った割合である。100%を超えるのは、ダブルカウント、トリプルカウントが存在するからだ。
そして注目して頂きたいのは、「占有率」のここ4年間の推移である。開成、桜蔭とも2018→2019→2020と上昇するが、2021は大幅に減らしている。
これが何を意味するか。上の表ではかなり幅広い塾の合計数を出しているので、ここから漏れている数はそれほど多くないはずである。そうすると、ダブルカウント、トリプルカウントが今年は減少したことを意味しているのではないだろうか。
すなわち、ここ数年、トップ層の中学受験が過熱し、ダブルスクール、トリプルスクールがかなり広がっていたが、コロナ禍において、経済的な要因、あるいは多くの塾に通わせることによる感染リスクの増大の懸念などから、この流れに歯止めがかかったということが言えるように思う。
そして、ダブル・トリプルスクールが大きな流れとして減少している中で、サピックスが開成・桜蔭とも数を減らしているのは、サピックスではなく、他の塾のみのカリキュラムで開成・桜蔭に合格している数が純粋に増加しているということを意味するのではないだろうか。
その行き先として推測されるのは、開成について大幅に数を増やし、桜蔭についても数字を維持している早稲アカ(スピカを含む)ではないかと思う。さらに日能研・四谷大塚の減少からも、早稲アカへの流れが伺える。
早稲アカについては、サピックスの優秀生にNN等の特待を出して釣り、自塾の実績にカウントしているなどという話があり、その実績はある程度眉唾ものではないかとやや斜めに見ていた。おそらくそのような兼塾生は今もそれなりにいるのだとは思うが、上記の推測からすると、確実に早稲アカ(あるいはスピカ)のみで育った生徒も増えつつあるのではないかと思える。
サピックスは今でこそ中学受験塾No.1の座を謳歌しているが、今後早稲アカは本当に脅威になってくるのではないかと思う。
以上をもってこのシリーズの結論としたい。
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