「何よ、そのクランキーって?」
よねは老人との夢の中でも知らない言葉がたくさん出てきたし、ふみちゃんまで……! もういい加減にしてよ! とだんだんイライラしてきた。
「なぁに? クランクインも知らないの? もう、これはね、映画の撮影を開始する日のことよ……なーんて、みんなサッちゃんの受け売りだけどね。
……ちょっと、そんな怖い顔しないでよ。すぐに話の続きするからさ。……それでね、なんでクランクインがいつになるか決まっていないのかって質問が飛んだんですって。
すると、大東映画の社長がその質問に答えて曰く『この黄金バットには、物語の重要なカギを握る少女が登場することになっておりますが、まだその配役が決まっておりません。決まり次第、撮影に入りたいと思います』って言ったんだって。
そしてね『この子役には、一般からの応募も受け付けます。今日の発表はそれも兼ねておりますので、あしからず……』とも言ったんだってよ。
それでね、もっとすごいのは、確か音羽時次郎さんは、品川のとある小学校に……。これって、うちの学校のことよね……。
講師として1年間赴任されているそうですが、その小学校からまさか子役が出るということも考えられるのでしょうか? という質問に『もちろん、それはありえます。時次郎の眼鏡に適ったお子さんでしたら、そりゃあ素晴らしい役者になれるんじゃないですか?』だって。
ある記者から、その小学校を教えてもらうわけにはいきませんか? という質問も出たそうよ。っていうことは、音羽先生がこの朝美台小に来るのは秘密だったのね。
そりゃそうよね、もし知れたら大変な騒ぎになるもんね。でもこんなこと、すぐばれちゃうのにね。
そこで大東映画の社長が言ったそうよ。
『時次郎が講師をする小学校に多大な迷惑をかけることを防ぐため、今後、もしこの件であらぬ詮索、または記事を書くようなことがありましたら、その雑誌社、新聞社は今後一切我が社への出入りを禁止させていただくので、この点十分お気をつけ下さい』とか言ったんですって」と、ここまで一気に喋ったふみは「ふーっ!」と一息ついた。
よねは、ふみが少し落ち着いたところを見はからって早速質問をした。
「でもさ、今の話ってサッちゃんから聞いた話なんでしょう。サッちゃん、ずいぶん詳しく知ってるわねぇ。またお父さんの銀行関係か何かかしら?」
「ええ、そうなんだって。この発表会に出席した記者が、せっかく朝美台小に音羽時次郎が講師として行くとわかっているのに、記事にできないって嘆いていたそうよ。
それにしてもご覧なさいよ、みんなのすました顔。まるで、子役に抜擢されるのは自分よ、とでも言いたげよね。わざわざ夕べ、髪結さんに行った子もいるみたいよ」
小学生のうちから髪結いさん(美容院)に行く子なんて皆無といってよかった。よねは、周りを改めて見回して笑ってしまった。しかし、よくよく見るとふみもうっすらと白粉を塗っているように見える。よねは余計おかしくなった。
「それにしても、ふみちゃんがこの話をサッちゃんから聞いたのって、昨日の帰り道でしょう? みんなもその場にいたの?」
いくらふみがおしゃべりだからといっても、一日も経っていないのに、こんなにクラス全員にこの話が回るなんて信じられなかった。
特に、昨日は「霊媒学または霊魂学」の話題で持ちきりだったではないか。
「さあ、それが不思議なのよね。だって私が喋ったのは、昨日、魚を買いに聡ちゃんのお店へ行った時、聡ちゃんに話して、そこで小野沢の貴美ちゃんに会って話したでしょ。
その帰りに、染谷のテルちゃんに話して、駄菓子屋で真先の幸江ちゃんと千恵ちゃんに会って話して、それから……」
出るわ出るわ、ふみの口からは喋った友達の名前がざっと20人は登場しただろうか。さすがによねはあきれ返ってしまった。
「……そのくらいねぇ」
「ちょっと、ふみちゃん、それじゃあ、学校中の子が知ってるんじゃないの?」
「まっ、それは大袈裟よ。でもさ、聡ちゃんなんか見てよ。頭をバリカンできれいにしちゃってさ。男子は選ばれないって言ったのに、笑っちゃうわ」
いえいえ、あなたの方が笑えるわよ! そう思いつつ、よねは「演劇学」の教科書3冊とノートを机に並べた。今日の監護当番、江岡直樹と石坂タカが4時間目1分前の合図をしたからだった。
(さぁ、いよいよだわ!)
よねは心の中で気合いを入れた。
ワカバのよもやま話コーナー
(101)
悟天とトランクスがフュージョンしたから、名前も「ゴテンクス」になったよ〜⚡️
(DRAGONBALL 大全集より鳥山明先生直筆コピー)
天空に浮かぶ、神様の神殿にある「精神と時の部屋」でブウと戦うよ〜💥
因みにこの部屋は、1日居れば、地上の1年を過ごしたことになる異次元の部屋‼️
そこでブウと戦うんだけど、なかなかブウを倒せない〜( ;-`д´-)アリャマ…
ホントはスーパーサイヤ人3に変身出来る必殺技があるのに、それをワザと出し惜しみする子供の浅知恵🫠
同行していたピッコロが、勝ち目がないと思ってしまい「精神と時の部屋」の出入り口を破壊してしまう〜💥
その時のピッコロとゴテンクス〜⬇️
「およねさん」
今回の主な登場人物…
土志田(どしだ)よね…この物語の主人公。土志田家次女。朝美台(あさみだい)尋常小学校4年生。まだ自分にもわからない未知の能力を秘めている切れ長の目を持つ10歳の女の子。
平山 ふみ …よねの同級生。鼻ぺちゃのお喋りで明るい性格。
(ブログは毎週火曜日0時2分に更新予定です)