「次の質問は、夢の中にいるワシ以外の者と喋れるか?  と言うことじゃな。……では、あそこにいる親子と今、喋れる状態にあるかどうか試してごらん。ほら……」と公園を指差した。



   よねはあらためてそちらを見てドキッとした。2人とも動いていない。ブーメランも空中に静止したままだ。


   さっきまで楽しそうに遊んでいた女の人と男の子が、今では一枚の写真のように固まってしまい、身動き一つしていないのだ。


「ど、どうして……?」

   よねはびっくりしてしまい、その後の言葉が出てこなかった。


「そう……、これは、ワシの頭の中に描いた映像をおぬしの夢の中に出していたものなのじゃよ。だからワシが考えることをやめてしまうと、動きが止まってしまったり……ほれ!」と言って、老人は指をパチンと鳴らした。


   すると、今の今まで公園にいた親子の姿があっという間に消えてしまった。


   よねは呆気に取られてしまい、こう言うのがやっとだった。


「あっ、私の見てる夢が……!」


   瞬く間に、広場も遠くに見えていたブランコもすべり台もなくなり、代わって現れたものは、白いもやのような霧の世界だった。


   よねと老人はその中で向かい合った。老人は、禿げた頭をポリポリと掻きながら、よねにすまなそうな顔をして話し出した。


「ワシはおぬしに謝らなくてはならないことがある」そう言うなり、老人はよねに向かって頭をペコリと下げた。


   よねは何のことかさっぱりわからず、ポカンとする以外ない。


「おぬしが今まで見た夢……。あれは、みんなワシがおぬしに見せていたんじゃ」


「えっ?  今までの夢って……?」よねは少し考え込んでから、口を開いた。


「それじゃあ、漢字テストの夢も、徒競走で一番になった夢も、坂口君が転校してきた夢も…?」


   老人はこっくりと頷いた。


「うそでしょ……?」

   よねの問いかけに老人は首を振った。


「でも、何でそんなことを……?」

   よねは必死で頭の中を整理した。


(私の未来に起こる出来事を知っているからこそ、おじいさんは私にそれを見せることができたんだ。っていうことは、これからの私のことがすべてわかっているっていうこと?)


   そして、よねは夢で未来がわかる!  という力を少しだけ自慢に思っていたことも確かだった。

   しかしその力が実は、人から与えられていたものだとわかった今、とてもがっかりしてしまい、自然とそれが顔の表情にも現れてしまった。


   老人はすまなかった、という顔をしてまた喋り始めた。


「悪かったのぉ、変な夢ばかり見せてしもうて……。しかしな、ワシは早く気づいて欲しかった!  おぬしがすごい力を持っているということを、早く伝えたかったんじゃ!  


   そこで、予知能力があるような気分におぬしをさせた。そうすることによって、気づいてくれると思ったんじゃが……。しかしな、このことをある人物に知られてしまい、強く叱られた」

   そう言って老人は、力なく肩を落とした。


「そのある人物が誰であるか……、それは言えんが……。その人は、タイムパラドックスをすごく気にしてな……」


「タイムパラドックス?」

   よねは聞き慣れない言葉に首を傾げた。


「うむ。タイムパラドックスとはな、未来の自分に過去の自分が出会ってしまったり、未来に起きる出来事を先に知ってしまい、過去の時間を利用して修正することによって、本来来るはずの未来を変えてしまう、いわゆる時間のいたずらのようなもののことじゃよ」


   しかし、そう説明されてもよねの頭の上には「?」マークが20個くらい飛んでいるような感じだ。


   老人はよねの困っている様子を見て、もうちょっとわかりやすく説明する必要があったかと思い直した。


「それでは、何かに当てはめて説明をしようかのぉ。うーん、そうじゃなあ……」と言って長く白い髭を撫でながら、こんなことを話し出した。


「よし、ではこれならどうじゃ。……おぬしは織田信長は知っておるじゃろ」

   よねはコックリ頷いた。


「信長は、本能寺の変で明智光秀に殺されるのじゃが、……もしも、もしもじゃ!  この本能寺の変を知っている未来の人間が、光秀の謀反を信長に事前に報せることが出来たとしたらどうじゃ?」


「えっ?  未来の人が過去の時代に……?  そんなことが出来るわけないじゃない!」

   そう言って、よねは思わず笑ってしまった。




ワカバよもやまコーナー 

(94)


   みなさんは恋人やご夫婦で気軽にキスをしてますかぁ (💖˘ ³˘(˘︶˘💖)チュッ💖


   今日はイタリアの恋人、ご夫婦事情を考察してみるよ〜🫶💕︎︎





   えっΣ(゚д゚;)  誘ってすぐにキス😙❓


   神経質なワカバには無理ですぅ💦

ごめんなさい🙏





   ⬆️ イタリアでは、キスから恋人に発展するの…🤔💭  分からない😅

   再来週は、イタリアのもう1組のカップルを見てみるよ〜🫶💕︎︎


(つづく)


   お詫び…仕事が忙しくなり、ワカバの大嫌いなプレゼンをする事になってしまいました。

   皆様へのプログ訪問、いいね!、お返事やコメントなど大変遅くなると思います。また、皆様のブログを拝読している時に突然、画面が真っ暗になり、ホーム画面に戻ってしまう不具合も多々生じております。そのため、いいね!が遅れると思いますが、どうかお許しください🙇🏻‍♀️


第19章「存在理由なんていらない!」③  へつづく

※ 一部 SNS よりお借りした画像があります。


「およねさん」


 今回の主な登場人物…


土志田(どしだ)よね…この物語の主人公。土志田家次女。朝美台(あさみだい)尋常小学校5年生。まだ自分にもわからない未知の能力を秘めている切れ長の目を持つ10歳の女の子。


白い髭の謎の老人  …????


(ブログは毎週火曜日0時2分に更新予定です)