(何で、柿内君が霊媒とか霊魂のことを調べてきたのがわかるの!)よねもふみもサチも顔を見合わせた。



   柿内は、真っ直ぐに伸ばした手にノートを持ち、先生に言われた通り、自分が調べてきたことを読み始めた。


「霊媒とは、超科学的な一種の精神の力で、心霊や死者の魂と意思を通じあい、それを人間に伝える事ができると信じられている人のこと。霊魂とは、肉体とは別の、しかし肉体にも宿って諸活動を支配し、死後も滅びないと考えられる精神的実体のこと……です」


「んだ、よぐ調べだな。おめぇ、この授業に教科書がねぇっていうんで予習のつもりで調べたんだべ?」

   柿内は、こっくりと頷いた。


「ん、よしよし……。っていうわげだ。みんなわがったが?」


   先生にそう言われたものの、生徒たちは何と返事をして良いのかわからず、数名だけが小さな声で「はい」とつぶやくように返事をしていた。


「なんて言ってもよォー。おらも教師で来たんだからな。ちゃんと教えねばな!」


   そう言いながら、みかんの木箱に乗ったまま黒板を振り返り「靈」と見たこともない字を書いた。



「オレの書いたこれがよ、霊っつう字の古い形だ。上の部分はな、雨が落ちているところを表している象形文字(もず)っていう奴だな。


   雨は田んぼにとっちゃぁ、いつ番大切な恵みだべ。

   そんでもって、神様のことを担当するのは巫女(みこ)だべ。そごで雨の下に巫女を持ってきて、雨さ降ってけろ〜って祈りの口さ付けて『霊』となったんだな。


   だからよ『霊』っていう字は、魂とか死者っちゅう意味を表す前に『神!  神のみたま!』を表しておくことってごどをよぐ覚えでおげよ」


   そこまで一気に喋ると、先生は着物の袂(たもと)から何か小さな丸いものをもそもそと取り出して、口の中に放り込んだ。


「おーっ、すっぺ!……この歳になれば、あんまし喋りすぎで口の中が乾いでしまってのぉ。梅干ばしゃぶんねぇとうまく喋れんようになってまるんだ。勉強ばしてらのに、こんなもん口さ入れで……ちょっこら、堪(こら)えでけろな」


   先生は、袂から今度はちり紙を一枚取り出し、「ぺっ!」と梅干の種を吐き出すとそれをちり紙でクルクルと丸めて、また袂に入れた。


「んで、どこまで喋ったかのぉ。……おぉ、おぉ、思い出したど!  『霊』っちゅうのはな、死んだ人間のことだげでねぇ。神様いう意味もあるんだからな、よぐ覚えどげよ。


   ……ほれ、おらの言ったごどノートさ書き写してんのは柿内と山村だけでねぇか。おらは教科書ば使ねがらな、ちゃんと書いどがねぇとテストに出るがもしれねっぞ」


   先生がそう言った途端、教室中がノートを出したり広げたりする音でガサガサと騒がしくなった。よねももちろん慌ててノートに先生が今言ったことを書き始めた。


「『霊』には、神様の他にな、いのち、神々(こうごう)しく尊い、すぐれてよいものとかな、幸(さいわ)い、慈しみ、不思議なものっちゅう意味もあんだ。ほうれ、ここまで言えばわがるべよぉ。おらがこの授業でおめぇらに教えてぇことが……」


   よねは、何となくおぼろげながら先生の言っていることがわかってきたような気がした。そう思った瞬間、先生に「土志田、しゃべってみれ!」と指されてしまった。


「はい。えぇとぉ……不思議な力や、神々しい力、慈しみのある力を勉強することだと思います」


   よねは自分の口が勝手に動くことに戸惑いながらも、一応そう答えた。すると先生は黒い歯をむき出してニターッと笑った。


「ほぉーっ、ま、そんなどごだな。だけんどもだ、ただ勉強するっちゅうても何をどうやったらええがわがねべ。


   土志田はいまええこと言った。……『力』!  そんだ!  『力』だよ。おめぇらには、この授業で霊の力『霊力』を身につけでもらうぞ!」


「えぇ、霊力!」


「霊力って超能力みたいなものじゃないのか!」


「そんな力、俺たちにできるのか!」

   途端に教室中がざわめき始めた。


「そんだ!  それを身につけるために『霊媒学』と『霊魂学』を学ぶんだ。だども、この二つを勉強したからっつても、身につかねぇもんもいる。一つだげ勉強して身につぐもんもいる。だがらぁ、『霊媒学または霊魂学』っちゅう『または』がつぐんだ。こんでわかったが、平山!」


   突然、そう言われふみは目を丸くして鼻をヒクヒクさせてこっくりと頷いた。




ワカバよもやまコーナー 
(90)

   みなさんの推しは何ですかぁ❓ワカバは推しがあり過ぎるんやけど、このような方がいらっしゃいました ⬇️

   ウルトラマンタロウを推してる方✨💖

コロナ禍でなかなか外出出来ない時期が続いたことが、タロウとの出会いのきっかけになったそうです💞


    ウルトラマンタロウを語ります ⬇️


   タロウにどんどんのめり込む推しさん💓


    タロウと出会った頃のこと…⬇️


    推しの力は偉大です✨💪


   推ししか勝たん🌸🌟🌸🌟🌸🌟🌸🌟🌸


   ウルトラマンのフィギュアを使っての小劇場を作るのも趣味となり…⬇️


   ウルトラの父と母がラブラブなシーンを見てしまったタロウたち…の設定  ꉂ🤣w‪𐤔

    一生懸命、言い訳をする父と母…⬆️


   笑顔にしてくれたタロウ…小劇場を作って、みんなも笑顔にしたい…そうで、インスタなどに上げてるそうです ⬇️


  ⬆️ タロウへの思いを語る推しさん ⬇️




    推しの力は凄いのよ ✨❤️💛💚💙💜✨



   ちなみに…ドラゴンボールフィギュアを探していたら、父の子供の頃のおもちゃ箱からタロウが出てきました…⬇️

   父もタロウに助けられていたのかな…❓



第18章「霊媒学または霊魂学」⑤  へつづく

※ 一部 SNS よりお借りした画像があります。




(ブログは毎週火曜日0時2分に更新予定です)