きせがもりそばをちゃぶ台に運んで来た。辰五郎とよねの大好物だ。


   正司、健司、あさ、そして麻美に幸司もちゃぶ台の周りに集まった。

   辰五郎の「いただきます!」の合図でみんな手を合わせて「いただきます!」と一斉にツルツルッともりそばを食べ始める。


   辰五郎は日ごろから「もりそばはな、そばを汁にそんなにつけないで一気にツルツルッと食べるのが江戸っ子の粋な食い方だ」と言っていた。


   だから、みんなも辰五郎に習って食べるのが早いのなんの。いや食べるというか、飲み込んでいると言った方が良いかもしれない。


   あっという間に食べ終わってしまう。しかし幸司と麻美、あさ、それから母親のきせはどうもこの粋な食べ方ができず、ぼそぼそ、くちゃくちゃと食べていた。


   そこへいくとよねは、女の子とは思えないくらいにもりそばを食べるのが早かった。

   いつもなら、食事中は喋ると怒られるのだが、もりそばはあっという間に食べ終わってしまうので男連中が話を始めてしまう。


「そういえば裕司の奴、ちゃんと研修やってるかなぁ」

   正司の言葉を受けるように健司も「そうだなぁ。研修に行ってから、もう10日になるしね。まあ、便りのないのは無事だと思え!とも言うし……。大丈夫だよ」と笑った。


「そうね。健司兄さんじゃ心配だけどね」あさも笑った。

「なにを!  こいつ!」


「こらこら、健司はすぐに目くじらを立てるな。それにあさは早く食べてしまいなさい」

 二人とも「はぁい」とお互い睨み合っている。よねと麻美、そして幸司はそんな兄と姉を見てクスクスと笑った。


「しかし、大した学校も出ていないのに警察官になれるんだから、まったく有田さんのおかげですね」

「まったくだ。有田さんには足を向けて寝られんよ」


   正司と辰五郎がそんな話をしていると、もりそばを食べ終わったきせが「何を言ってるんですか。警察官なんてそんな危ない職業に就いて……。まったく心配で夜も寝られやしませんよ」と吐き捨てるように言った。


「シッ!  お母さん、何を言ってるんだよ。そんなことをでっかい声で言って、もし特高(とっこう)に聞かれでもしたらどうするんだよ」

    健司が慌てて小声できせに強い口調で言った。


「そうですよ、お母さん。壁に耳あり障子に目あり、ですからね。そんな国家権力を否定するようなことを言うと、家族全員がしょっぴかれてしまいますよ」正司もきせが母親であるにも関わらず注意した。


   別に悪いことさえしていなければ、そんなに怖がる必要もないのだが……。この特高、いわゆる特別高等警察は、知る人ぞ知る残虐な拷問で悪名を轟かせていたのだった。


   この特高の目的は、台頭しつつある労働運動、社会主義者の「根絶」だった。

   特高が誕生したきっかけは、明治43年(1910年)まで遡る。


   幸徳秋水(こうとくしゅうすい)らによる、天皇陛下暗殺という「大逆(たいぎゃく)事件」が引き金となっている。


   明治44年、第27回議会において平田東助(とうすけ)内相は「およそ国家の現状を破壊し、社会の秩序を紊乱(びんらん…乱すこと)せんとし(中略)国家の存在を否認せんとする者に対しては(中略)国家は自衛の道に出ざるを得ず」と力説。


   その具体的な方策の一つとして特高が誕生した。

   特高の標的は、社会主義者はもとより、リベラリスト(自由主義者)、宗教者、学者へと際限なく広がり、地下へ潜伏した者を検挙するため、時にはスパイを利用した。


   そして、密室での残虐な拷問を繰り返す暗黒集団へと恐れられていったのだった。

   酒の上での些細な放言が大罪に問われることもしばしばであった。


   特に昭和8年に「蟹工船」のプロレタリア作家・小林多喜二(たきじ)が特高に捕まり拷問を受け虐殺された。


   リンチの痕が生々しい遺体の前にも関わらず、警察側は「死因は心臓麻痺」と強弁。特高のやりたい放題を物語る悲惨な事件は後を絶たなかったという。




ワカバよもやまコーナー 
(85)

   ついに…ついに…赤い箱を出しましたよー❣️
出てきたのは、大猿になった悟空‼️


   箱から出せないから、中のフィギュアはこんな感じらしい😅 (いつか出してやるぅ)


   因みに、一番くじでフィギュアがハズレた時のマフラータオル〜 👇🏻 今でもワカバが使ってます



   この前、 懐かしいカリン塔を出したじゃない✨  一番下にはウパがいるよ〜💜




   ウパは聖地カリンで、暮らしていてカリン塔に登った悟空はカリン様から仙豆という、小さな豆を貰うよ〜🫘

   仙豆は直径1cmほどなのに、1粒食べれば10日間は何も食べなくても平気! 体の疲れもケガもすっかり回復する!エネルギー満点の豆💮

   👆🏻 この入れ物には、ワカバ家では梅干しを入れてる〜🔴🔴🔴🔴🔴


    悟空が子供の頃に登場したキャラが出てきたぁ✨  左はウーロン、右はギラン 👇🏻


   右は亀仙人(武天老師)、左はスノ 👇🏻



   悟空が子供の頃のイラスト〜


   この頃は、筋斗雲に乗ってたね〜


   第21回天下一武道会に出場した悟空とその勢いを止めるため出場した亀仙人(ジャッキー・チュン) 👇🏻



   第22回天下一武道会では、強敵の天津飯が出てきたねぇ 👇🏻


   👇🏻 これは、何❓お父様も覚えていない輝くお皿✨


   鳥山明さんとほぼ同時期にちびまる子ちゃんの声優・TARAKOさんも逝去されましたね💦

心よりご冥福をお祈り致します🙏


第17章「ちょっと不安なそれぞれの新学期」⑧  へつづく

※ 一部 SNS よりお借りした画像があります。





「およねさん」


 今回の主な登場人物…


土志田(どしだ)よね…この物語の主人公。土志田家次女。朝美台(あさみだい)尋常小学校5年生。まだ自分にもわからない未知の能力を秘めている切れ長の目を持つ10歳の女の子。


土志田 辰五郎 (たつごろう)… よねの父親。下駄屋を営む。よねの小学校に風紀委員。


土志田 きせ …よねの母親。土志田家を陰になり日向になり支え続ける。


土志田 正司(まさし)…土志田家長男。22歳。下駄作りに専念する真面目な兄。


土志田 祐司(ゆうじ)…土志田次男。19歳。春から警察官となった剣道の有段者。


土志田 健司(けんじ) …土志田家三男。17歳。お喋りでオッチョコチョイだが憎めない存在。


土志田 あさ …土志田家長女。16歳。美人な所を鼻にかけないお姉さん。


土志田 麻美(まみ) …土志田家三女。よねより1歳年下の小学校3年生。土志田家ではただ一人目がパッチリの可愛い妹。


土志田 幸司(こうじ) …土志田家四男。5歳。土志田家のアイドル的存在。


(ブログは毎週火曜日0時2分に更新予定です)