よねは、機関車にはそんなに長い時間乗ったことがなかったし、まして船には一度も乗ったことがない。だから、乗り物酔いという言葉自体知らなかったので首を傾げるしかなかった。



「でも、変よねぇ。乗り物なんて乗ってないのに……」

   よねは太田先生の顔を見つめながら頷いた。


「いつ頃から、具合が悪くなったのかしら?」

   あらためてそう言われると、考え込んでしまう。


(あれぇ、いつ頃だったかしら?)

「確か、廊下に並ぶときにはフラフラしてました。……ええと、……あっ、そうだ!  席を立つ時に目の前がグルグル回るみたいにクラクラしたんです」


「もしかしたら、三半規管に異常があるとも考えられるわね。始業式には取り合えず出ないで、養護室で休んでましょう。それでまだ具合が悪かったら、耳鼻科に行って診てもらった方がいいかもしれないわ」


   先生はそう言うと、よねの肩に手を回し立たせてくれた。

   よねはちょっと不安になって先生に早速質問した。


「先生、サンハンキカンって何ですか?……もしかしたら、手術とかするんですか?」


「三半規管っていうのはね、内耳……うーん、つまり耳の奥にね、あるの。体のバランスを取っている所なのよ。それに、手術なんてしないわよ。……きっと疲れがたまっているのかもしれないから、ちゃんとゆっくり休んでれば大丈夫よ」


    先生がよねを安心させるように語り掛けているうちに、養護室に到着してしまった。

   中は相変わらず消毒液の匂いがプーンと鼻を突く。よねは、先生の指示に従ってベッドに横になった。


「ちょっと土志田さんに質問があるんだけど、めまいがした時に耳鳴りや……その逆に難聴といって音が聞こえない症状がなかったかしら?」


   そう聞かれ、よねは考え込んだ。

「えーと……、何かが鳴ってるような感じはなかったと思います。でも、あまり覚えてません。あと、音が聞こえなくなったりはしませんでした」


「そう。それなら安心よ。じゃあ、安静にして少し寝てましょう。すぐに教室に戻れるから……」


   よねの頭を優しく撫でながら、そう言う大田先生。

   すると、安心したせいか突然よねにクーッと眠気が襲ってきた。いつの間にか上瞼と下瞼がくっついていくのをどうしようもできない。


   それから何分位ウトウトしたのだろう。きっとほんの15分ほどだとよねには思われた。

   そばで女の人の声がする。どうやら、花門前先生と太田先生のようだ。


   ちょっと深刻そうな話し方だ。よねは目を開けずに二人の話に耳を傾けた。


「……だから、現時点では何とも言えないし、もしこの症状が続いたら入院も必要よ。……さっきも言った通り、三半規管っていうのはリンパ液の動きによってバランスを取っている所なのよ」


   そう説明している太田先生に向かって、花門前先生は小さく返事をしているようだった。


「まだ学界でも詳しいことはわかっていないんだけど、内耳のある部分にリンパ液が異常にたまって、過労、精神的ストレスが引き金になってメニエール病という病気が起こるらしいの。これは、突然目眩に襲われたり、耳鳴り、難聴も併発してね。その目眩というのは、周囲がグルグル回るように感じる回転性ということだからかなり本人にとっては苦しいはずよ。その目眩の症状は繰り返し起こるわ」


「それじゃあ、もし土志田さんがそのメニエール病だとしたら、治す方法はあるの?」


「ええ、それはもちろん!  極度の過労や精神的ストレスさえなくすことができればね。でも、土志田さんにそんなことを引き起こす悩みみたいなものってあるの?  家庭環境はどうかしら?」


「いえ、私の知る限りでは家庭内に問題はないはずよ。土志田さんのお父さんは、風紀委員だし、兄弟もみんな仲が良いし……。でも、困ったわぁ。もし、先生が言う病気だったとしたら、例の件……、無理かもね」


   目をつぶっているよねにも、花門前先生が肩を落としてガッカリしている様子が感じられた。

「例の件?……あぁ、そうねぇ。しばらく様子を見たほうがいいかもしれないわよ。まだ時間はあるんでしょう?」


   花門前先生の返事が聞こえない。きっと、頷いているのだろう。と、同時に先生は私に何をやらせる気なんだろう?  と病気の話よりもそっちが気になってきた。


   これに関する予知夢は見てないし……。よねは目を閉じたまま、しばらく考え込んでいた。




ワカバよもやまコーナー 

(83)


   鳥山明さんを偲んで、今回もドラゴンボールのよもやま話ですよ〜✨


   今回は悟空の初期の頃のフィギュア〜💞

でもね、またしても父からの箱から出してはイケナイ宣言を受けてるものがほとんど〜💦


   これらは、コンビニの一番くじで購入したものですが、決して大人買いしてませんよ〜笑


   父は、くじ運の良いワカバを連れて行き、くじを2回引かせてました

   だから、ハズレることもある〜❣️


    👆🏻 この亀仙人が、かめはめ波を撃つ時に、こうなってまう〜 👇🏻



   懐かしい✨カリン様とヤジロベー‼️


   カリン様に会うために、カリン塔を登る悟空(右)とワカバの部屋に置いてあるカリン塔(左)

  👆🏻  ディズニー大好きワカバは、カリン塔の上にミッキーの仲間を飾ってますぅ🌟

   ドラゴンボールZ のポスターがあるから、ミッキーたちが、宙に浮いているように見える〜✨


   ワカバがフィギュアを探していることを知った父から過酷な指令が…

   この戸棚の右にある赤い箱を出すのじゃ❗️

(えっ⁉️戸棚のヘリに邪魔されて、左のおもちゃを全部退けないと出せないんだけど…)


「全部出すのだ‼️ワシのおもちゃを相続するものは、ワカバしかおらんのだから…」と言って、姿を消す亀仙人になり切った父…🫠


   どうする、ワタシ…      (つづく)



第17章「ちょっと不安なそれぞれの新学期」⑥  へつづく

※ 一部 SNS よりお借りした画像があります。





「およねさん」


 今回の主な登場人物…


土志田(どしだ)よね…この物語の主人公。土志田家次女。朝美台(あさみだい)尋常小学校5年生。まだ自分にもわからない未知の能力を秘めている切れ長の目を持つ10歳の女の子。


花門前(はなもんぜん)麗香(れいか)…よねの学級担任。24歳。容姿端麗でスポーツ、ピアノが得意。アルドボールの顧問となり、朝美台小を勝利へと導いていく。


太田 先生 …花門前先生と仲良しの養護の先生。


(ブログは毎週火曜日0時2分に更新予定です)