老婆は急によねの顔を覗き込むではないか。
「あんれまぁ、おめぇ小さいわらしのくせしてはぁ、喉に髭なんかはやかして……。まんず見せてみろ」
そう言うが早いか、老婆はあっという間によねの一本の髭を摘んでしまった。
「あっ!」よねは老婆の手が伸びるのを避けることもできなかった。とてもヨボヨボの年寄りとは思えないほど、動作が速かった。
老婆は、たった一本の毛を右手の指先で包むように触っている。よねは何だかくすぐったくなった。
「ほれ、うごくでねぇ。じっとしてれ!」
いきなり老婆にそう言われ、笑うのをこらえてじっとした。老婆は目をつぶりながら、何かブツブツ言っている。その小さなしわがれ声が、よねにはお経のように聞こえた。
しばらくして老婆はよねの髭から指を離し「フーッ」とため息をつきながらこう言った。
「たいしたもん持ってるのぉ。たまげだわ」
「何ですか? 何か悪いことでも……」
よねは不安になってきた。さっき、突然、髭に引っ張られるようにして店に出てきてしまったことが急に思い出されたからだ。
「うんにゃ、悪いことなどねぇ。むしろ、すごい髭じゃわ。……その髭はな、アンテーナのような役割をしとる」
「アンテーナ……?」
「んだぁ。しかしなぁ、アンテーナと言うてもラジオのアンテーナのようなもんではねぇな。その髭は……」
老婆はしわがれ声を一段と低くしてよねに囁くように言った。
「あの世どこの世を結ぶアンテーナじゃ……。つまり※『告死髭』ずごどだ」
「コクシヒゲズ……?」
「ちがうじゃ! 『告死髭』……ずんだぁ!」
よねは、自分の耳を疑った。ポカーンと口を開けたまま老婆を凝視した。
「そんな、おっかねぇ顔してこのババを見んなや。……あの世どこの世ど言うてもお化けの世界とかそういうことではねェよ。もっと想像もできない世界じゃ。まんだ、そったに、長くは生きとらんこのババにもわがね世界じゃ」
(そんなに長くは生きてない……?)
変なこと言うなあ、とよねは少しおかしくなった。老婆も自分が変なことを言ったと思ったのだろう。皺くちゃな顔に刻んだ線を一層多くして苦笑いをした。
よねは丁度良い機会だと思った。
自分に何でこんな髭が生えてくるんだろうと不思議に思っていたが、誰もしっかりとした答えを導き出してくれる者はいなかった。
それだけに、この見ず知らずのお婆さんに聞いてみようと思ったのだ。何者かはわからないが、このお婆さんなら人の知らないことをたくさん知っているような気がしたからだ。
「私には、何でこんな髭が生えてくるんでしょうか?」
「ん……。それはわがねなぁ。しかしこいだけは言えるべ。おまえは、なんが、おっきなもんに守られでる。そして何がを成すためにここにいるんだ。はやぐいっちまえば、それは『命を司(つかさど)る髭』だぁな」
よねには、そう言われても老婆の言っていることが難しくてよくわからない。老婆もそれがわかったのか、黒い歯を見せてニターッと笑いながらこう付け足した。
「その髭はなあ、何がをしてくれると見込んだ人間に生えてくるんじゃろうなぁ。だがら、何が大事なごどを教えでくれるべ。今までもなんがなかったが? そんだなこどが……」
よねにはそんなことありすぎるくらいにあった。
「はい、あります。人が死ぬことや死にそうなことを教えてくれるし、えーと、さっきも……」
そこまで言って、よねは次の言葉を口から出さずに飲み込んだ。
(人が死ぬことを知らせるなんて言ってしまって、さっきは髭に引っ張られてお婆さんの前に出てきました、なんて言ったらまるでお婆さんが死ぬみたいじゃない)そう思ったからだ。
「さっきはどうしたって? 怒らんがら言ってみれ。……なにがこのおらが死ぬとでも言うてたんが、その髭は……?」
そう言われてしまっては、弁解の余地がない。よねは白状した。
「いえ、さっきこの髭にグイグイ引っ張られて……」
よねが申し訳なさそうに言うのを聞いて、老婆は黒い歯を見せて笑い始めた。
「なんじゃ、そんだなことが。それなら安心せい。オラは死なねェ。きっと、その髭はこのババアが自分のことを語ってくれるべぇと思い、嬉しくなってのォ、お前を店先に連れてきたんだべ。……うーん、そう考えると益々すごい髭だんな…」
老婆はえらく感心していた。
「おーっ、つい長居をしてまったのォ」
老婆はそう言ってよねの小さな手の平に10円札1枚をのせた。
✼ 『告死髭』は、ブロ友のマリアさんが命名してくれましたぁ 今回、正式に「謎の老婆」に語ってもらいました
ワカバのよもやま話コーナー
(66)
まずはこのお話をしなくては〜
大切なお友達からワカバ宅に別々に送られて来たのは〜
TOBE 所属のIMP. の初CD…と、CD の下になってしまった(笑)女性セブン
まずこのCD は、デジタルシングル「CRUISIN'」で世界同時配信デビューしたIMP.の4曲をCD化したものなんです。特に「CRUISIN'」は、めっちゃハイテンションで盛り上がる曲なんですよ
「女性セブン」は、平野紫耀くんの魅力大特集 と…なにわ男子の恭平くんと流星くんのピンナップが付いてるじゃない ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪
そして、次の話は…
ついに始まったTOBEのYouTube 配信〜
とべばん
約1時間45分、笑いっ放しの内容でした
朝の7時から、スシロー新宿西口店に行ったのは、IMP. のこの4人
色々なネタのお寿司を食べてもらい、気に入った10貫を選びますぅ。
次にスタジオにいる、12人が味比べをして美味しいと思ったネタを3貫まで絞るゲームをするのです〜
「えっ、これ食べてるだけじゃダメなの」とゲームの意味を忘れていた紫耀くんですが…
もっと凄い人がいたなぁ(笑)
「ねぇ、岸くん まだ口の中に入ってるのに食べるの食べてるだけじゃダメなんだって、さっき言われたよ」と心配する紫耀くん
でも岸くんの箸は止まらない〜
IMP. のこの3人が頑張りましたぁ
頑張った場所はここ
KOSE の綺麗なお姉さんのお出迎えを受け…
KOSE創業77周年を迎えたことを記念して、YouTubeを観ている方の中から抽選で77名の方にKOSE化粧品をプレゼント〜
IMP. のセンター・佐藤 新くんが、彼女にリップをプレゼントするコントに挑戦
これを遠くから見ていた、KOSEの女性スタッフは…
IMP. が選んだ上段10種類のKOSE化粧品の中から…
下段の4種類がスタジオ内のみんなで厳選されましたぁ (抽選は終わりましたぁ)
などなど、いろいろやった約1時間45分…
楽しかったよ〜 と、ここで元キスマイの北山くんが…
なんと、クリスマスイブの日に…
TOBE のみんな、楽しい時間をありがとう
提供は…
第14章「謎の老婆」⑤ へつづく
※ SNS からお借りした画像があります
(ブログは毎週火曜日0時2分に更新予定です)