先生は、農作物がたくさん採れてそのうれしさを表わす時にも「君が代」を歌ったのだと、みんなの前で歌ったこともあった。しかし、その節は今歌っている「君が代」とは全然違うものだった。




    「君が代」は、その原歌が「古今和歌集」20巻の中、巻第7(905年)、賀歌(がのうた)の最初に「題しらず」「よみ人しらず」として、次のように詠われています。


    我が君は千代に八千代にさゞれ石の

            いはほとなりてこけのむすまで


  「賀歌(がのうた)」とは、長寿を祝う意味。「題しらず」とは、歌のよまれた事情のわからない場合の断り書きのこと。「よみ人しらず」とは、よみ人が誰であったか全くわからぬもののこと。


   ここで、よみ人の知れない所にこそ「君が代」が国民の間に自然にでき上がり、広がっていった歌であることを示すもの、と言われています。

   それだけ古いにしえより国民に浸透した歌であると言えるのではないでしょうか。


   初め、英国人が曲をつけたましたが、歌詞とマッチしないため、10年後の明治13年(1880年)、宮内省の楽人が雅楽調の曲を付け直し、それがドイツ人の手で編曲され、公式に吹奏されるに至りました。


〈参考文献〉

  「 古代日本史の謎」…加藤大門著・日本文芸社

  「国家君が代の研究」…小田切信夫著・平凡社





    みんな、白い息を吐きながら、大声で歌った。歌うとさっきまでブルブルと震えていた体が、急に暖まったような気がする。だんだんとみんなの頬もピンク色に染まってきた。


    「君が代」が歌い終わると、いよいよ校長先生の話だ。演台に進んだ校長先生は、羽織、袴に身を包んでいた。

   一昨日よりも心なしか元気なようによねには映った。そういえば、他の男の先生は、みんな背広姿だ。


   「みなさん、あけましておめでとうございます!」校長先生の挨拶と同時に、甲高い声、低音の声、やさしい声と色々な声が交じり合って子供たちもお辞儀をした。


  「みなさんの元気な声を聞くことができて、本当に嬉しく思います。今年もこのようにつつがなく新年を迎えられたことに、すべてのものに感謝を致しましょう。久しぶりに会ったので、たくさんみなさんに話したいことがありますが、今日はみなさんが一番聞きたいことを話が長くならないようにお伝えしましょう」


    校長先生がそう言った途端、静まり返っていた体育館の中がざわめき出した。すかさず、山本先生が「静粛に!静粛に!」と大声を張り上げた。


   「昨日行なう筈だった式典が今日にずれてしまった理由は、みなさんも連絡網で知っていると思います。ですから、結論から先に発表します。新しく導入される科目は、……『未確認生物発見史』『霊媒学または霊魂学『演劇学』……以上3科目とします」


    校長先生のその言葉に、生徒全員がやったーっ、という感じで両拳をグッと握る者、口を手で押さえる者、胸に手を当てる者、表現方法は様々だった。


   しかしそれは、何とか科目数を最小限に押さえる事に成功した、校長先生方への子供たちの敬意の現われであったことは言うまでもない。


   よねは河津教頭をチラッと見た。教頭は、少し俯いて唇を噛んでいるようだ。

 (いい気味!)なぜかわからないが、そんな言葉が不思議と湧いてきた。


   「次にこの3科目について、内容を説明しなくてはなりませんが、これらの授業は、従来通り5年生になってからです。いま現在の4年生、5年生は科目が増えるということにガッカリせず、むしろ多くのことが学べるんだという喜びの気持ちでしっかりと聞きなさい」


  「卒業していく6年生は、まさか自分たちの代に増えなくてよかったなどと思っていないでしょうね。むしろ、学ぶことができなかったんだということを悔しがってください。そして、独学で勉強してください」


  「1年生から3年生はまだ先の科目になりますが、だからといって聞かなくてもいい、などと思ってはいけませんよ」


    3年生の列に並んでいる麻美の頭が(はい、わかりました)と言っているように頷いているのがよねの所からもよく見えた。


   「それではまず、『未確認生物発見史』について。これは、6年生からの選択科目です。講師はまだ決まっていません。よって内容についても赴任された講師と打ち合わせを行なってから、発表します」


   「何だ、5年からじゃないのか、つまんねーの」よねの隣の手塚がつぶやいた。

  「次に、『霊媒学または霊魂学』


   校長先生がそう言った途端、体育館の中がどよめいた。

   「霊魂だってさ、何だか薄気味わりい~!」後ろの方から、聡の声がした。


  「この科目は、5年生からの必修科目となります」

   「げーっ、俺達が習うことになっちゃうのかよ~!」また聡の声がした。

  花門前先生が、シーッと唇に人差し指を当てて聡を睨むし、聡の言い方もおかしかったし、みんな思わずクスクスと笑ってしまった。


    校長先生は「コホンッ!」と軽く咳払いをして、話を続けた。

 霊媒学の講師は、もう品川にいらしてますが、4月の新学期が始まってから紹介して欲しいということで、内容もその折に説明をしましょう」


    2階の窓から陽射しがサーっと流れた。きっと外を鳶とんびが飛んだのだろう。

 「最後は『演劇学』。これは、5年生の必修科目です。なおこの『演劇学』には、とても素晴らしい方が……」


   校長は少し話すトーンを上げて「みなさんがビックリするような方が講師を務めて下さることになりました。今日はみなさんに是非会いたいということでその講師の先生がお見えです」


   校長はそう言って体育館の後ろの2階に目をやった。

   「みなさんにとって素晴らしいお年玉になるでしょう!さあ、音羽時次郎先生、壇上にどうぞ」





ワカバよもやまコーナー


    2週間ぶりの物置物語ですぅ!

ついに茶箱があと1つとなりました"٩(ꈨຶᗨꈨຶ )۶"バンザーイ


   しか〜し、その奥には大小二棹のタンスがあるの〜ガーン

茶箱は重いし、ちょっと引き摺って小さなタンスから片付けることにしました。


    さぁ、何が出てくるか!?

ヘビの抜け殻とかイヤ〜よガーン

では、そ〜っと一番上の引き出しを開けると…


  わぁーひらめき レコードがある〜ラブラブ

キレイに整頓されて並んでましたぁセキセイインコ青セキセイインコ黄オカメインコ


   これは…すべて父のものに違いない!!

父が大好きな松田聖子さんのシングルですぅラブラブ


   ネットで調べて発売順に並べてみましたよ愛

みなさんご存知と思いますが…

右下がデビュー曲の 裸足の季節

左上が 青い珊瑚礁



左上が 風は秋色

右が 赤いスイートピー

左下が 渚のバルコニー



左上が 小麦色のマーメイド

真ん中が 野ばらのエチュード

下が 秘密の花園



左が 天国のキッス

右上が ガラスの林檎

右下が Rock'n Rouge



   シングルはこの11枚しかありませんでした。

抜けている作品、このあとの作品はどうしたのかな?


   父は聖子さんの凄いファンだったらしく、私に悲しい話をしてくれたことがあります悲しい


   「赤いスイートピー」がヒットして、やっとで取れたコンサートチケット!

   でも父のお母さん…私の祖母に「いま大事な時にこんなのを聞きに行っている場合じゃないだろドンッドンッドンッ」と言われ、口論の末、頭にきた父は祖母の目の前で聖子さんのコンサートチケットを破いてゴミ箱に捨てて「これでいいだろ!!」と啖呵を切ったそうですアセアセ


   当時を思い出した父が「ホントは行きたかったなぁ…」とボソッと話してくれました悲しい


    この2人のDNAを受け継いだワカバは…

おかげさまでどういうわけかおとなしい性格で育ちました(笑) …でも…いつ豹変するかわからないわぁ‎٩(๑>؂<๑)テヘペロ


   そんな父がきっと涙しながら「アントニオ猪木さんのテーマ」を聴きながらパワーをもらっていたのかも…下矢印


   上矢印 猪木さんのレコードは聖子さんのレコードに挟まっていましたキラキラキラキラキラキラ

   まだいろいろ出てくると思うので、またご紹介しますねぇ音譜音譜音譜


     



第5章「予知夢」⑤   へつづく






「およねさん」


 今回の主な登場人物…


土志田(どしだ)よね…この物語の主人公。土志田家次女。朝美台(あさみだい)尋常小学校4年生。まだ自分にもわからない未知の能力を秘めている切れ長の目を持つ10歳の女の子。


玉秀(たまひで)校長先生…よねの通う朝美台尋常小学校の校長先生。


岩田 聡(そう)…よねの同級生。図体がでかく勉強は大の苦手だが、人情に厚い魚屋の息子。