本日、ねこまたの実弟子供部屋おじさんが実家へと帰省なされた。
「横隔膜当たりが苦しい」
「今乗っている車(←最近購入した中古車)と相性が悪い気がする」
と、苦虫を噛み潰したような顔と情緒不安定な面持ちつきのご帰宅、である。
仕事帰りに実家へ寄ってコーヒーを飲んでいたねこまたお姉さんは、
だーれも住んでいないはずの2階の元子供部屋から、ドタドタと足音が降りてくるのを聞いて、ドキッとした。
ポイズン教祖婆様は、根暗な話題を呟く弟おじさんをちらっと見て、「買ったばっかりの車やのにそんな事言うなんてダメな事、だから買わんかったらよかったのに」などとクソバイスを口から吐き出し始めた。
おいおい婆様ストップ!ストップや。
秘技はひふへほ(返事は全てはひふへほで済ます必殺技)使わんかい。
と思った。
黙れない症候群のポイズン教祖婆様には、いらん事言わんでよろしい黙っとりんしゃいと目配せする。
「次にポイズン婆がいらん事を言っておっさんボーイ弟が精神を病んだら、わたしは手を貸さない」
と婆様に宣言しているねこまたなのだ。
ねこまたの眼力に肝を冷やした婆様は、そそくさとキッチンへと消えていった、、、。
「車との相性はあると思うで、おっさん弟の車やから、我慢して乗り続けなくても、何回でも売ったり買ったりしても良いやん😚」
と、ねこまたは返事をする。
実は、ねこまたも現在おっさんボーイ弟が乗っている車は好きでは無い。
ハイクオリティで燃費がめちゃくちゃ良い車である事に間違いはないが、
なんというかこう、あまりにも車内搭載のコンピュータが賢すぎて、いちいち細かい事を指摘してくる過干渉な人を助手席に載せているかのような感覚になるのだ。
車を駐車場に停めてエンジンを切った時に、「スムーズな運転ができています」などという表示が出てくるのも、嬉しさ半分煩わしさ半分の妙な気持ちになる。
「シートの座り心地や安心感や燃費はピカイチやけどな😅わたしは至ってシンプルな機能のみの車が好きやわ〜」
「あー!それわかる!!なんか賢すぎて疲れるというか!!」
否定ではなく肯定してもらえたのが嬉しかったのか、おっさんボーイ弟はおしゃべりを続けた。
今まで乗った車の話。
今乗っている車の話。
つい先日まで続けていた仕事の話。
先ほどまでの重苦しい空気とはうって変わって、おっさんボーイ弟は伸びやかに話はじめた。
言葉の端々で、弟独自のこだわりが見え隠れし、その自分のこだわりによりしんどさを感じているようだ。
、、、その時、実家の玄関ドアが開く。
ゆるキャラカピ子が現れたゆるる〜ん
カピ子は温泉に浸かるカピバラのような雰囲気を漂わせながら、ねこまたとおっさんボーイ弟が喋るコタツにもちもちっと入ってきた。
その姿はまるで、ぽやーんとしたゆるキャラのようである。
平和だ。
「なんか弟も色々大変そうですなぁ。見てみ、目の前のもちもちのカピ子見てみ、のほほほほーんと毎日過ごされてますわ。これくらい気の抜けたゆるキャラみたいになったら、弟も楽やろうなぁ。」
「あはははは😆」
「、、、、、😳」
40代に足をかけた独身でぼっちなおっさんボーイ弟は、どうやら寂しいらしい。
生協の注文が楽しいと言うカピ子に、
「生協なぁ。家族がいたら選ぶのも楽しいんかもしれんなぁ。俺はほらひとりやから、注文したものを食べるのも所詮俺ひとり、、、と思うと、なんややる気失せるねんなぁ」
と呟く。
「あはははは!!それ!弟と同じ年頃で同じ境遇の人が聞いたら、その気持ちめっちゃわかるわ!って共感されまくるで」
ねこまたとおっさんボーイ弟とカピ子は、独身あるあるや〜!!と笑いあった。
そこから、おっさんボーイ弟の過去の恋バナに話が飛び、カピ子は、初めてのリアル彼氏(クリリン)の話
をせきららすぎるくらいにセキララにおっさんボーイ弟にしゃべった。
目をまん丸にして驚く、中年のおっさんボーイ弟。
そりゃそうやろな。
まさか、姪っ子があれもこれも人生を進めていたなんて想像もしなかっただろう。
目をまん丸にして驚くおっさんボーイの遠い後ろで、
同じように目をまん丸にしているポイズン教祖婆様がいた。
、、、さぞかし青天の霹靂であったと思う。
ねこまたは、ゆるキャラのほほんカピ子に言った。
「おいゆるキャラ。なんでもかんでも正直に喋るのは良いが、それはおっさんボーイとカピ子の2人の時にした方がいいぞ??見てみ??婆さんの顔見てみ??」
「めっちゃびっくりしてる」
ちらっと婆様の方を見るカピ子。
あっはっはと笑い飛ばして、セキララな話を続ける。
「、、、、婆様、もう過ぎ去った過去の話で全て解決済みやから大丈夫大丈夫」
と、ねこまたお母さんは補足をしておいた。
「、、、、、、、右から左に受け流しておくわ、、、、、」
と、ポイズン教祖婆様は目を瞑って答えた。
秘技はひふへほできてるで!婆!
カピ子の爆弾発言により、話題は一気に各々の恋バナへと進化した。
ゆるキャラカピ子のゆるゆるビームを受けてしまった堅物婆さんまで、自らの初体験などを喋る始末。
10代から20代にかけてモテにモテまくったおっさんボーイ弟も、自分の過去の恋バナや反省点などを語り出した。
どうやらおっさんボーイ弟は、17年ほど前の自分に彼女を大切にしろと伝えたいらしい。笑
猿息子が帰宅し、腹が減ったと電話があったので、ねこまたお姉さんは摩訶不思議なメンバーでの恋バナおしゃべり会から離脱した。
そこから3時間。
40歳目前のおっさんボーイ後々と、16歳のカピ子は様々な話で盛り上がったらしい。
意気揚々と自宅へ戻ってきたカピ子いわく、
「わたしとおっさんボーイは気が合うわ〜」
だそうだ。
見栄を張る必要もなく、ダメ出しをされるわけでもなく、ただ楽しいおしゃべりをするだけの3時間を過ごしたおっさんボーイ弟は、カピ子が帰る時に
「なんか気が楽になった〜」
と喜んでいたらしい。
ゆるキャラカピ子のやらかしまくりの話と、どんな話でも「ええやんええやん」と聞いてくれるカピ子との会話は、体調不良(精神不良ともいう)で横隔膜が苦しかったおっさんボーイ弟を癒してくれたようだ。
にこやかに朗らかに、笑いながらカピ子と話すおっさんボーイ弟を見て、ポイズン教祖婆様は自らの会話方法を振り返って反省したらしい。
おっさんボーイの話はムカつく
わけわからん
変な人間や
常識がない
すぐに怒るから怖い
と、節々で思っていたけれど、私やちょんまげ爺でなければ、あんなに楽しそうに話すんだわ。
とおもったらしい。
らしいらしい。
平均IQが71のポンコツガールカピ子は、すごい特殊能力を持っていると思う。
自分なんて生きる価値がない、もう人生詰んだ。
という思いに囚われている人間の気持ちのネジを緩められる能力だ。
通信制高校を休学中で、学歴も学力もなく、自慢できるような勲章もなく、仲良しの友達もおらず、人生の確たる目標もなければ努力すべき事柄もないカピ子は、
なんも持ってないのになぜか幸せなヒト
なのだ。
こうあるべき、こうせねばならない。こうでなければ価値がない。
という思いに囚われがちな性質を持つおっさんボーイ弟からすれば、
ただのゆるキャラな暇人なのに、特に悩まずゆるるんと生きておるカピ子は、苦難の冒険勇者から見る野良スライムくらいに無害な生き物であろう。
ありとあらゆる事を悪い方に考えてしまいがちなおっさんになってしまったおっさんボーイ弟。
20年前は、前向きで明るい青年だった弟。
「俺の人生の色々なやらかしが積み重なって、今の俺ができてしまったというわけよ。」
とおっしゃる。
弟よ、そう過去を悔やむで無い。
カピ子が興味深々に君の話を聞くくらいに、君のやらかしエピソード人生は、とても面白いものなのだ。
弟よ、今更何をしても遅いわ、、、と思うこともない。
正規ルートを進んでいるヒト以外は、君が思っている以上に多種多様な人生を歩んでいる。
オールオッケー
オールオッケーなのだ。
カクカク四角な考え方に囚われていたポイズン教祖婆様が、目をまん丸にしながらもカピ子の恋バナを聞き流せるようになったように、
おっさんボーイ弟もゆるキャラもちもちカピ子の存在を心の隅に置くと良い。
たとえポンコツな人生だろうとも、
本人が楽しいな〜と思えばそれはとても素敵な人生なのだ。
さあ、おっさんボーイ弟もご一緒に、
ゆるゆる〜ん
幸せ
おっさんボーイ弟が笑っている
もちもちカピ子のおぱんちゅ