参照;羽状縄文系土器について

 

  • 標識遺跡;二ツ木向台貝塚@松戸市。
  • 同貝塚出土土器群を、前期初頭花積下層式から前期関山式への過渡的な様相を示す中間形式として位置づけ、二ツ木式の設定を提唱(篠遠 1955)。その後、長らく幻の形式とされたが、さいたま市深作東部遺跡群(黒坂 1984)、群馬県赤城山麓諸遺跡、柏市駒形遺跡などから、遺構に伴う良好な試料がt蓄積され、二ツ木式の形式内容が整った。

 

型式内容(編年);

  • 二ツ木式を古段階新段階2編年に細分。

  1. 花積下層式より続く頸部文様帯の撚糸側面圧痕文(新田野段階)は二ツ木式古段階まで継続。新段階に入るとこの撚糸側面圧痕文は梯子状沈線(または棒状工具や半裁竹管による沈線)に置換される。
  2. 花積下層 III式から続く撚糸圧痕文円形竹管文の関係が二ツ木式古段階に確立する(山形 1982)。
  3. 二ツ木式では、幅狭等間隔縄文文様帯区画法(ループ文/環付末端縄紋が多い)専ら用いる。※花積下層式を『複合口縁部文様帯を擁するとともに、等間隔縄文帯区画法も一部採用』とし、新田野段階を二ツ木式に入れた根拠を「単段口縁部文様帯および、主幹文様と点状文様による文様構成法の大枠が整った」とした(黒坂 1984)。
  4. 新段階の波状口縁は、双頭が多く認められる。
  5. 主幹文様と点状文様による構成の口縁部単段文様帯を擁する(※古段階には花積下層 III式からの多段化した頸部文様帯が残るものもある。
  6. 新段階には、貼瘤(はりこぶ)が頸部文様帯に貼付される。

 

 

 

 

 

 

 

 

二ツ木式古段階 (堀越中道遺跡 @伊勢崎市 前橋粕川歴史資料館) 平底、平縁の深鉢。頸部で若干窄まり、口縁に向けて緩やかに外反する。頸部文様帯に蕨手状の撚糸側面圧痕文とその中心に円形竹管刺突文が2段施文される。口唇部および胴部との境に2条の紐線をそれぞれ巡らせ、それらの上に縦の集合沈線を施している。胴部に3条の横帯羽状縄文が施文される。

 

 

 

二ツ木式古段階 (駒形遺跡 @松戸市 柏市歴史資料館) 蕨手状の撚糸側面圧痕文の後頸部資料。

 

 

 

二ツ木式古段階 (見立峯遺跡 @渋川市 渋川赤城歴史資料館) 外面全体に横帯羽状縄文が施文される。 中央の頸部に2条の横位蛇行線が刻まれる。底部は上げ底で爪形文が施文される。

 

 

 

二ツ木式古段階 (見立峯遺跡 @渋川市 渋川赤城歴史資料館) 後頸部文様帯に蕨手状の撚糸側面圧痕文。胴部に横位羽状縄文。

 

 

 

二ツ木式古段階 (見立峯遺跡 @渋川市 渋川赤城歴史資料館) 後頸部文様帯に蕨手状の撚糸側面圧痕文。胴部に横位羽状縄文。

 

 

 

 

二ツ木式新段階(二ツ木向台貝塚 @松戸市 松戸博物館) 平底の底部から胴部に向かい直線的に開き、胴部中央付近で緩やかに膨らみ、そのまま口縁に向けて緩やかに外反する器形。4単位の双頭波状口縁。頸部文様帯に棒状工具による沈線、貼瘤が施文される。頸部から胴部中央付近にかけて幅狭のループ文が9段施文される。

 

 

 

二ツ木式新段階(打越遺跡 @ふじみ野市 水子貝塚資料館) 底部から頸部まで垂直に立ち上がり、そこから4単位の波状口縁に向けて内彎しながら緩やかに開く器形。口頸部文様帯に梯子状沈線と貼瘤が施文される。胴部は短いループ文が全面に施文される。

 

 

 

二ツ木式新段階(深作東部遺跡@さいたま市 さいたま市博物館)2023/12/10 追記

 

 

 

二ツ木式新段階(駒形遺跡 @松戸市 柏市郷土資料館) 梯子状沈線とループ文。

 

 

 

二ツ木式新段階(駒形遺跡 @松戸市 柏市郷土資料館) 後頸部の梯子状沈線。

 

 

 

二ツ木式新段階 深鉢(二ツ木貝塚/松戸市 南山大学人類学博物館) 

 

 

 

二ツ木式新段階 深鉢(二ツ木貝塚/松戸市 南山大学人類学博物館)