(735) 海賊と呼ばれた男 上
出光の創業者をモデルとし、戦前・戦後を舞台に石油を巡る企業や国家の戦いを描いた小説。(著者は百田尚樹。本作で本屋大賞を受賞。)上巻では主に戦前の創業期、そして戦時中のエピソードが描かれている。主人公の鋳造は石炭が当時の社会では主要熱源であった時代から、石油の時代が来るとの確信の下、国岡商店を旗揚げする。国岡商店の軍資金を支援したのは、鋳造の気概に惚れ、将来性を見抜いた資産家の日田であった。石油は国の戦略物資であり、そこには日本政府や財閥系の大手企業がそれぞれの思惑、正義により石油事業に携わる。また、アメリカやイギリスの資本である国際石油資本(メジャー)との戦いも不可避となる。国岡商店は民族資本を貫くというポリシーから、メジャーやメジャーと提携する日系企業から圧力をかけられる。常に不利な立場から、戦略的で泥臭い戦いを繰り広げ、現状を打開していく。