ALS(筋萎縮性側索硬化症)について
そもそもどんな病気なのか
ALSのフレームワーク(枠組み)についての議論があります。
今回、米国マイアミで討議され、その概要が公開されたのでちょっとみてみました(文献1)。
新薬トフェルセンはこの枠組みのお薬ですね
診断、治療が大きく変わりそう
会議を主催したのは米国マイアミ大学の
マイケル先生
Michael Benatar教授(おなじみですね)
会議のメンバーは世界の学者さんと患者さん。
マイアミビーチでおこなわれたようです。
論文はNat Rev Neurol誌の最新版です(文献1)。
Nat Rev Neurol誌は世界トップの神経学雑誌です。
要約
ALSおよびその関連疾患には共通した特徴があります。無症状期から前駆症状期、さらに発症へ至る経路を明らかにすることで、早期に対応することが可能です。
つまり以下の5つが主なポイントです。
1)ALS、前頭側頭型認知症、およびパーキンソン病の一部などは、全体として相互に関連しており、TDP43 やタウなどの基質を共有しています。
2)それぞれ無症状から前駆症状、そして臨床的な病気へ連続的に移行します。したがって各診断基準は改定される必要があります。
3)根底にある変化はバイオマーカー(検査値)によって検出可能となってきましたが、臨床症状との時間的関係はいまだ不解明です。
4)マイアミフレームワークは、これら多彩な臨床症状と、バイオマーカーの時間的経過を統一的に扱うアプローチです。
5)それぞれ複数の病態、さまざまな遺伝形態がありますが、マイアミフレームワークは疾患すべてに共通するものだと考えられます。
感想
ALSという病気の不思議な点。
いろいろ誤解を招いてきた部分もありましたね。
新しいALSの枠組み、マイケル先生がリーダーになって世界の先生方、患者さんの代表、哲学者などが集まって討論されたようです。
患者参加の時代ですね
運命を自ら切り開く可能性があると思いました。
続報などがあれば、また後日。
ここまでご覧いただきありがとうございました
文献
1 Michael Benatar , Joanne Wuu, Edward D Huey, Corey T McMillan, Ronald C Petersen, Ronald Postuma , Caroline McHutchison , Laynie Dratch, Jalayne J Arias , Anita Crawley , Henry Houlden, Michael P McDermott 12 , Xueya Cai , Neil Thakur , Adam Boxer , Howard Rosen , Bradley F Boeve, Penny Dacks Stephanie Cosentino, Sharon Abrahams, Neil Shneider, Paul Lingor, Jeremy Shefner, Peter M Andersen, Ammar Al-Chalabi, Martin R Turner ; Attendees of the Second International Pre-Symptomatic ALS Workshop. The Miami Framework for ALS and related neurodegenerative disorders: an integrated view of phenotype and biology Nat Rev Neurol 2024 May 20. doi: 10.1038/s41582-024-00961-z.