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法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

いわゆる有料社宅の使用関係の性質

 

 

              家屋明渡請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/昭和27年(オ)第989号

【判決日付】      昭和29年11月16日

【判示事項】      いわゆる有料社宅の使用関係の性質

【判決要旨】      会社とその従業員との間における有料社宅の使用関係が賃貸借であるかその他の契約関係であるかは、各場合における契約の趣旨いかんによる。

【参照条文】      民法601

             借家法1の2

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集8巻11号2047頁

 

 

民法

(賃貸借)

第六百一条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。

 

 

借地借家法

(建物賃貸借契約の更新等)

第二十六条 建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

2 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

3 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

 

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人高橋銀治の上告理由(後記)について。

 会社とその従業員との間における有料社宅の使用関係が賃貸借であるか、その他の契約関係であるかは、画一的に決定し得るものではなく、各場合における契約の趣旨いかんによつて定まるものと言わねばならない。原判決がその理由に引用した第一審判決の認定によれば、被上告人会社は、その従業員であつた上告人に本件家屋の一室を社宅として給与し、社宅料として一ヶ月金三十六円を徴してきたが、これは従業員の能率の向上を図り厚生施設の一助に資したもので、社宅料は維持費の一部に過ぎず社宅使用の対価ではなく、社宅を使用することができるのは従業員たる身分を保有する期間に限られる趣旨の特殊の契約関係であつて賃貸借関係ではないというのである。論旨は、本件には賃借権の存在を証明し得る証拠があるにかかわらず、原判決はこれを無視してその存在を否定し法律関係の認定を誤つた違法があるというのであつて、帰するところ原審の適法にした証拠の取捨判断、事実の認定を非難するにほかならないので採用することができない。

 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で主文のとおり判決する。

    最高裁判所第三小法廷

 

偽造文書によつて登記がされた場合において登記原因たる法律行為を追認した本人からするその抹消登記手続の請求の許否

 

 

抵当権設定登記抹消手続請求事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷判決/昭和40年(オ)第583号

【判決日付】      昭和42年10月27日

【判示事項】      偽造文書によつて登記がされた場合において登記原因たる法律行為を追認した本人からするその抹消登記手続の請求の許否

【判決要旨】      無権代理人の偽造文書による申請に基づいて登記がされた場合においても、本人が右登記の原因たる法律行為を追認したことによりその登記の記載が実体的法律関係に符号するにいたつたときは、本人は右登記の無効を主張してその抹消登記手続を請求することはできない。

【参照条文】      不動産登記法25

             不動産登記法35

             民法116

             民法177

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集21巻8号2136頁

 

 

民法

(無権代理行為の追認)

第百十六条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

 

(不動産に関する物権の変動の対抗要件)

第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

 

不動産登記法

(申請の却下)

第二十五条 登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。

一 申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。

二 申請が登記事項(他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含む。)以外の事項の登記を目的とするとき。

三 申請に係る登記が既に登記されているとき。

四 申請の権限を有しない者の申請によるとき。

五 申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。

六 申請情報の内容である不動産又は登記の目的である権利が登記記録と合致しないとき。

七 申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。

八 申請情報の内容が第六十一条に規定する登記原因を証する情報の内容と合致しないとき。

九 第二十二条本文若しくは第六十一条の規定又はこの法律に基づく命令若しくはその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないとき。

十 第二十三条第一項に規定する期間内に同項の申出がないとき。

十一 表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき。

十二 登録免許税を納付しないとき。

十三 前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定めるとき。

 

償還不能となったレセプト債の発行会社と業務委託契約を締結していた会計事務所が、条理上の義務としてレセプト債の購入者に対して資金管理義務を負っていたとはいえないとされた事例

 

 

損害賠償請求事件(158号事件、218号事件、461号事件)

【事件番号】      金沢地方裁判所判決/平成28年(ワ)第158号、平成28年(ワ)第218号、平成28年(ワ)第461号

【判決日付】      令和4年5月26日

【判示事項】      1 償還不能となったレセプト債の発行会社と業務委託契約を締結していた会計事務所が、条理上の義務としてレセプト債の購入者に対して資金管理義務を負っていたとはいえないとされた事例

             2 目的外支出により償還不能となったレセプト債の発行会社と業務委託契約を締結していた会計事務所が、レセプト債の購入者に対し発行会社と共謀または共同して不法行為責任を負うとはいえないとされた事例

             3 償還不能となったレセプト債を販売した証券会社が、レセプト債の購入者に対し損害賠償責任を負わないとされた事例

【判決要旨】      1 レセプト債の発行会社と業務委託契約を締結していた会計事務所は、①契約書の記載から発行会社の指示に従って業務を行う立場にあったこと、②契約に基づき実際に行っていた業務内容も、資金管理義務を負うことを前提として行動してはいないこと、③資金管理義務を適切に遂行するために必要な専門的知見等を有するとはいえないこと、④レセプト債のアレンジャーにとって、会計事務所による資金管理に服する動機付けを見出し難いこと、⑤発行会社やその裏付け資産につき、アレンジャーによるレセプト債のスキームの趣旨に反する影響力の行使を防止するという専門的な役割を負っていたとはいえないことなど、契約に基づく担当業務、レセプト債のスキームにおける役割等判示の事実関係の下では、会計事務所において、条理上の義務として、レセプト債の購入者に対して、レセプト債の発行により調達した資金が診療報酬債権等の買取りのみに充てられるように管理すべき資金管理義務を負っていたとはいえない。

             2 目的外支出により償還不能となったレセプト債の発行会社と業務委託契約を締結していた会計事務所は、発行会社の国内口座を管理し、同口座からの出金手続を行い、レセプト債が診療報酬債権等を裏付け資産とするものである旨投資家等に説明されていたことを認識していたものの、上記出金が診療報酬債権等の購入と無関係の目的外支出であることを認識しておらず、これを容易に認識し得たともいえないから、レセプト債の購入者に対し、発行会社と共謀または共同して不法行為責任を負うとはいえない。

             3 償還不能となった少人数私募債であるレセプト債を販売した証券会社は、①レセプト債が、外国法人である発行会社2社が発行した社債類似の債券であり、金商法上かかる債券を販売する証券会社についてその商品審査義務を定めた規定はないこと、日本証券業協会が自主規制として定める「国内CP等及び私募社債の売買取引等に係る勧誘等に関する規則」でも、私募社債については、顧客に対する発行者情報および証券情報の説明等を行うべき努力義務を定めるにとどまり、証券会社の商品審査義務を定めるものではないこと、証券会社において、レセプト債の発行体であるSPCないしそのアレンジャーの業務および財産の状況に関する調査権限を有する旨を定める法令上の規定も存在しないことなどから、商品審査義務を負うものとはいえないこと、②購入者らが損害を負った原因は、レセプト債のアレンジャーにおいて目的外支出に充てた結果、発行会社が大幅な債務超過に陥ったにもかかわらず、同事実を投資家、販売証券会社等に対して公表せず、上記事実を巧みに隠匿していたことや本件レセプト債の償還や利払いが遅滞したこともなかったことにあり、レセプト債が少人数私募債であること等についての信義則上の説明義務を負うとはいえないこと、③レセプト債に社債管理者が設置されていないことについて説明する義務を負うとはいえないこと、④誠実公正義務(金商法36条1項)違反、虚偽の表示および誤認を生ぜしめる表示による不当勧誘行為(金商法38条8号、内閣府令117条1項2号)、断定的判断の提供等による不当勧誘行為(金商法38条2号)にも当たらないことなど判示の事情の下においては、レセプト債の購入者に対し損害賠償責任を負わない。

【参照条文】      民法709

             民法719

             会社法350

             会社法429-1

             会社法821-1

             金融商品取引法2-3

             金融商品取引法16

             金融商品取引法17

             金融商品取引法36-1

             金融商品取引法38

             金融商品販売法(令和3年法律第50号による改正前の金融サービスの提供に関する法律)5

【掲載誌】        金融・商事判例1653号2頁

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      銀行法務21 893号64頁

 

 

民法

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

 

 

会社法

(代表者の行為についての損害賠償責任)

第三百五十条 株式会社は、代表取締役その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

 

(役員等の第三者に対する損害賠償責任)

第四百二十九条 役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

2 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様とする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。

一 取締役及び執行役 次に掲げる行為

イ 株式、新株予約権、社債若しくは新株予約権付社債を引き受ける者の募集をする際に通知しなければならない重要な事項についての虚偽の通知又は当該募集のための当該株式会社の事業その他の事項に関する説明に用いた資料についての虚偽の記載若しくは記録

ロ 計算書類及び事業報告並びにこれらの附属明細書並びに臨時計算書類に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

ハ 虚偽の登記

ニ 虚偽の公告(第四百四十条第三項に規定する措置を含む。)

二 会計参与 計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに会計参与報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

三 監査役、監査等委員及び監査委員 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

四 会計監査人 会計監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録

 

(擬似外国会社)

第八百二十一条 日本に本店を置き、又は日本において事業を行うことを主たる目的とする外国会社は、日本において取引を継続してすることができない。

2 前項の規定に違反して取引をした者は、相手方に対し、外国会社と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。

 

 

金融商品取引法

(定義)

第二条 この法律において「有価証券」とは、次に掲げるものをいう。

一 国債証券

二 地方債証券

三 特別の法律により法人の発行する債券(次号及び第十一号に掲げるものを除く。)

四 資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)に規定する特定社債券

五 社債券(相互会社の社債券を含む。以下同じ。)

六 特別の法律により設立された法人の発行する出資証券(次号、第八号及び第十一号に掲げるものを除く。)

七 協同組織金融機関の優先出資に関する法律(平成五年法律第四十四号。以下「優先出資法」という。)に規定する優先出資証券

八 資産の流動化に関する法律に規定する優先出資証券又は新優先出資引受権を表示する証券

九 株券又は新株予約権証券

十 投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)に規定する投資信託又は外国投資信託の受益証券

十一 投資信託及び投資法人に関する法律に規定する投資証券、新投資口予約権証券若しくは投資法人債券又は外国投資証券

十二 貸付信託の受益証券

十三 資産の流動化に関する法律に規定する特定目的信託の受益証券

十四 信託法(平成十八年法律第百八号)に規定する受益証券発行信託の受益証券

十五 法人が事業に必要な資金を調達するために発行する約束手形のうち、内閣府令で定めるもの

十六 抵当証券法(昭和六年法律第十五号)に規定する抵当証券

十七 外国又は外国の者の発行する証券又は証書で第一号から第九号まで又は第十二号から前号までに掲げる証券又は証書の性質を有するもの(次号に掲げるものを除く。)

十八 外国の者の発行する証券又は証書で銀行業を営む者その他の金銭の貸付けを業として行う者の貸付債権を信託する信託の受益権又はこれに類する権利を表示するもののうち、内閣府令で定めるもの

十九 金融商品市場において金融商品市場を開設する者の定める基準及び方法に従い行う第二十一項第三号に掲げる取引に係る権利、外国金融商品市場(第八項第三号ロに規定する外国金融商品市場をいう。以下この号において同じ。)において行う取引であつて第二十一項第三号に掲げる取引と類似の取引(金融商品(第二十四項第三号の三に掲げるものに限る。)又は金融指標(当該金融商品の価格及びこれに基づいて算出した数値に限る。)に係るものを除く。)に係る権利又は金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行う第二十二項第三号若しくは第四号に掲げる取引に係る権利(以下「オプション」という。)を表示する証券又は証書

二十 前各号に掲げる証券又は証書の預託を受けた者が当該証券又は証書の発行された国以外の国において発行する証券又は証書で、当該預託を受けた証券又は証書に係る権利を表示するもの

二十一 前各号に掲げるもののほか、流通性その他の事情を勘案し、公益又は投資者の保護を確保することが必要と認められるものとして政令で定める証券又は証書

2 前項第一号から第十五号までに掲げる有価証券、同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものを除く。)及び同項第十八号に掲げる有価証券に表示されるべき権利並びに同項第十六号に掲げる有価証券、同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものに限る。)及び同項第十九号から第二十一号までに掲げる有価証券であつて内閣府令で定めるものに表示されるべき権利(以下この項及び次項において「有価証券表示権利」と総称する。)は、有価証券表示権利について当該権利を表示する当該有価証券が発行されていない場合においても、当該権利を当該有価証券とみなし、電子記録債権(電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子記録債権をいう。以下この項において同じ。)のうち、流通性その他の事情を勘案し、社債券その他の前項各号に掲げる有価証券とみなすことが必要と認められるものとして政令で定めるもの(第七号及び次項において「特定電子記録債権」という。)は、当該電子記録債権を当該有価証券とみなし、次に掲げる権利は、証券又は証書に表示されるべき権利以外の権利であつても有価証券とみなして、この法律の規定を適用する。

一 信託の受益権(前項第十号に規定する投資信託の受益証券に表示されるべきもの及び同項第十二号から第十四号までに掲げる有価証券に表示されるべきものを除く。)

二 外国の者に対する権利で前号に掲げる権利の性質を有するもの(前項第十号に規定する外国投資信託の受益証券に表示されるべきもの並びに同項第十七号及び第十八号に掲げる有価証券に表示されるべきものに該当するものを除く。)

三 合名会社若しくは合資会社の社員権(政令で定めるものに限る。)又は合同会社の社員権

四 外国法人の社員権で前号に掲げる権利の性質を有するもの

五 民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百六十七条第一項に規定する組合契約、商法(明治三十二年法律第四十八号)第五百三十五条に規定する匿名組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律(平成十年法律第九十号)第三条第一項に規定する投資事業有限責任組合契約又は有限責任事業組合契約に関する法律(平成十七年法律第四十号)第三条第一項に規定する有限責任事業組合契約に基づく権利、社団法人の社員権その他の権利(外国の法令に基づくものを除く。)のうち、当該権利を有する者(以下この号において「出資者」という。)が出資又は拠出をした金銭(これに類するものとして政令で定めるものを含む。)を充てて行う事業(以下この号において「出資対象事業」という。)から生ずる収益の配当又は当該出資対象事業に係る財産の分配を受けることができる権利であつて、次のいずれにも該当しないもの(前項各号に掲げる有価証券に表示される権利及びこの項(この号を除く。)の規定により有価証券とみなされる権利を除く。)

イ 出資者の全員が出資対象事業に関与する場合として政令で定める場合における当該出資者の権利

ロ 出資者がその出資又は拠出の額を超えて収益の配当又は出資対象事業に係る財産の分配を受けることがないことを内容とする当該出資者の権利(イに掲げる権利を除く。)

ハ 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第一項に規定する保険業を行う者が保険者となる保険契約、農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第十号に規定する事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、消費生活協同組合法(昭和二十三年法律第二百号)第十条第二項に規定する共済事業を行う同法第四条に規定する組合と締結した共済契約、水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第十一条第一項第十二号、第九十三条第一項第六号の二若しくは第百条の二第一項第一号に規定する事業を行う同法第二条に規定する組合と締結した共済契約、中小企業等協同組合法(昭和二十四年法律第百八十一号)第九条の二第七項に規定する共済事業を行う同法第三条に規定する組合と締結した共済契約又は不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第二条第三項に規定する不動産特定共同事業契約(同条第九項に規定する特例事業者と締結したものを除く。)に基づく権利(イ及びロに掲げる権利を除く。)

ニ イからハまでに掲げるもののほか、当該権利を有価証券とみなさなくても公益又は出資者の保護のため支障を生ずることがないと認められるものとして政令で定める権利

六 外国の法令に基づく権利であつて、前号に掲げる権利に類するもの

七 特定電子記録債権及び前各号に掲げるもののほか、前項に規定する有価証券及び前各号に掲げる権利と同様の経済的性質を有することその他の事情を勘案し、有価証券とみなすことにより公益又は投資者の保護を確保することが必要かつ適当と認められるものとして政令で定める権利

3 この法律において、「有価証券の募集」とは、新たに発行される有価証券の取得の申込みの勧誘(これに類するものとして内閣府令で定めるもの(次項において「取得勧誘類似行為」という。)を含む。以下「取得勧誘」という。)のうち、当該取得勧誘が第一項各号に掲げる有価証券又は前項の規定により有価証券とみなされる有価証券表示権利、特定電子記録債権若しくは同項各号に掲げる権利(電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されるものに限る。)に表示される場合(流通性その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合を除く。)に限る。以下「電子記録移転権利」という。)(次項及び第六項、第二条の三第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第一項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第一号及び第二号に掲げる場合、当該取得勧誘が前項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利(電子記録移転権利を除く。次項、第二条の三第四項及び第五項並びに第二十三条の十三第四項において「第二項有価証券」という。)に係るものである場合にあつては第三号に掲げる場合に該当するものをいい、「有価証券の私募」とは、取得勧誘であつて有価証券の募集に該当しないものをいう。

一 多数の者(適格機関投資家(有価証券に対する投資に係る専門的知識及び経験を有する者として内閣府令で定める者をいう。以下同じ。)が含まれる場合であつて、当該有価証券がその取得者である適格機関投資家から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当するときは、当該適格機関投資家を除く。)を相手方として行う場合として政令で定める場合(特定投資家のみを相手方とする場合を除く。)

二 前号に掲げる場合のほか、次に掲げる場合のいずれにも該当しない場合

イ 適格機関投資家のみを相手方として行う場合であつて、当該有価証券がその取得者から適格機関投資家以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合

ロ 特定投資家のみを相手方として行う場合であつて、次に掲げる要件の全てに該当するとき(イに掲げる場合を除く。)。

(1) 当該取得勧誘の相手方が国、日本銀行及び適格機関投資家以外の者である場合にあつては、金融商品取引業者等(第三十四条に規定する金融商品取引業者等をいう。次項、第四条第一項第四号及び第三項、第二十七条の三十二の二並びに第二十七条の三十四の二において同じ。)が顧客からの委託により又は自己のために当該取得勧誘を行うこと。

(2) 当該有価証券がその取得者から特定投資家等(特定投資家又は非居住者(外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第六号に規定する非居住者をいい、政令で定める者に限る。)をいう。以下同じ。)以外の者に譲渡されるおそれが少ないものとして政令で定める場合に該当すること。

ハ 前号に掲げる場合並びにイ及びロに掲げる場合以外の場合(当該有価証券と種類を同じくする有価証券の発行及び勧誘の状況等を勘案して政令で定める要件に該当する場合を除く。)であつて、当該有価証券が多数の者に所有されるおそれが少ないものとして政令で定める場合

三 その取得勧誘に応じることにより相当程度多数の者が当該取得勧誘に係る有価証券を所有することとなる場合として政令で定める場合

 

(違反行為者の賠償責任)

第十六条 前条の規定に違反して有価証券を取得させた者は、これを取得した者に対し当該違反行為に因り生じた損害を賠償する責に任ずる。

 

(虚偽記載のある目論見書等を使用した者の賠償責任)

第十七条 第四条第一項本文、第二項本文若しくは第三項本文の規定の適用を受ける有価証券又は既に開示された有価証券の募集又は売出しについて、重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは記載すべき重要な事項若しくは誤解を生じさせないために必要な事実の記載が欠けている第十三条第一項の目論見書又は重要な事項について虚偽の表示若しくは誤解を生ずるような表示があり、若しくは誤解を生じさせないために必要な事実の表示が欠けている資料を使用して有価証券を取得させた者は、記載が虚偽であり、若しくは欠けていること又は表示が虚偽であり、若しくは誤解を生ずるような表示であり、若しくは表示が欠けていることを知らないで当該有価証券を取得した者が受けた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、賠償の責めに任ずべき者が、記載が虚偽であり、若しくは欠けていること又は表示が虚偽であり、若しくは誤解を生ずるような表示であることを知らず、かつ、相当な注意を用いたにもかかわらず知ることができなかつたことを証明したときは、この限りでない。

 

(顧客に対する誠実義務)

第三十六条 金融商品取引業者等並びにその役員及び使用人は、顧客に対して誠実かつ公正に、その業務を遂行しなければならない。

2 特定金融商品取引業者等は、当該特定金融商品取引業者等又はその親金融機関等若しくは子金融機関等が行う取引に伴い、当該特定金融商品取引業者等又はその子金融機関等が行う金融商品関連業務(金融商品取引行為に係る業務その他の内閣府令で定める業務をいう。)に係る顧客の利益が不当に害されることのないよう、内閣府令で定めるところにより、当該金融商品関連業務に関する情報を適正に管理し、かつ、当該金融商品関連業務の実施状況を適切に監視するための体制の整備その他必要な措置を講じなければならない。

3 この条において「特定金融商品取引業者等」とは、金融商品取引業者等のうち、有価証券関連業を行う金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行うことにつき第二十九条の登録を受けた者に限る。)その他の政令で定める者をいう。

4 第二項の「親金融機関等」とは、特定金融商品取引業者等の総株主等の議決権の過半数を保有している者その他の当該特定金融商品取引業者等と密接な関係を有する者として政令で定める者のうち、金融商品取引業者、銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融業を行う者をいう。

5 第二項の「子金融機関等」とは、特定金融商品取引業者等が総株主等の議決権の過半数を保有している者その他の当該特定金融商品取引業者等と密接な関係を有する者として政令で定める者のうち、金融商品取引業者、銀行、協同組織金融機関その他政令で定める金融業を行う者をいう。

 

(禁止行為)

第三十八条 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、第四号から第六号までに掲げる行為にあつては、投資者の保護に欠け、取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるおそれのないものとして内閣府令で定めるものを除く。

一 金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為

二 顧客に対し、不確実な事項について断定的判断を提供し、又は確実であると誤解させるおそれのあることを告げて金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為

三 顧客に対し、信用格付業者以外の信用格付業を行う者の付与した信用格付(投資者の保護に欠けるおそれが少ないと認められるものとして内閣府令で定めるものを除く。)について、当該信用格付を付与した者が第六十六条の二十七の登録を受けていない者である旨及び当該登録の意義その他の事項として内閣府令で定める事項を告げることなく提供して、金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為

四 金融商品取引契約(当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが特に必要なものとして政令で定めるものに限る。)の締結の勧誘の要請をしていない顧客に対し、訪問し又は電話をかけて、金融商品取引契約の締結の勧誘をする行為

五 金融商品取引契約(当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが必要なものとして政令で定めるものに限る。)の締結につき、その勧誘に先立つて、顧客に対し、その勧誘を受ける意思の有無を確認することをしないで勧誘をする行為

六 金融商品取引契約(当該金融商品取引契約の内容その他の事情を勘案し、投資者の保護を図ることが必要なものとして政令で定めるものに限る。)の締結の勧誘を受けた顧客が当該金融商品取引契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続する行為

七 自己又は第三者の利益を図る目的をもつて、特定金融指標算出者(第百五十六条の八十五第一項に規定する特定金融指標算出者をいう。以下この号において同じ。)に対し、特定金融指標の算出に関し、正当な根拠を有しない算出基礎情報(特定金融指標の算出の基礎として特定金融指標算出者に対して提供される価格、指標、数値その他の情報をいう。)を提供する行為

八 高速取引行為者(金融商品取引業者等及び取引所取引許可業者(金融商品取引業若しくは登録金融機関業務又は取引所取引業務として高速取引行為を行う者として政令で定める者に限る。)を含む。)以外の者が行う高速取引行為に係る有価証券の売買又は市場デリバティブ取引の委託を受ける行為その他これに準ずるものとして内閣府令で定める行為

九 前各号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為

 

 

 

 

東京機械製作所事件・債務者である株式会社が同社の取締役会決議に基づいて現に手続中の新株予約権無償割当てについて同社の株主である債権者がこれを仮に差し止める旨の仮処分を求める申立てを被保全権利の疎明を欠くとして却下した保全裁判所の決定が即時抗告審において是認された事例

 

 

新株予約権無償割当差止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件

【事件番号】      東京高等裁判所決定/令和3年(ラ)第2391号

【判決日付】      令和3年11月9日

【判示事項】      債務者である株式会社が同社の取締役会決議に基づいて現に手続中の新株予約権無償割当てについて同社の株主である債権者がこれを仮に差し止める旨の仮処分を求める申立てを被保全権利の疎明を欠くとして却下した保全裁判所の決定が即時抗告審において是認された事例

【判決要旨】      債務者である株式会社が同社の取締役会決議に基づいて現に手続中の新株予約権無償割当てについて同社の株主である債権者がこれを仮に差し止める旨の仮処分を求める申立てを被保全権利の疎明を欠くとして却下した保全裁判所の決定は、原判示および本判示の事実関係の下においては、本件申立てには被保全権利の疎明を欠くといわざるを得ない以上、これを是認することができる。

【参照条文】      会社法109

             会社法247

             会社法278

             民事保全法23

             民事保全法24

【掲載誌】        金融・商事判例1641号10頁

             LLI/DB 判例秘書登載

【評釈論文】      ジュリスト1566号2頁

             法学セミナー67巻7号112頁

 

 

会社法

(株主の平等)

第百九条 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。

3 前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、この編及び第五編の規定を適用する。

 

第二百四十七条 次に掲げる場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、株式会社に対し、第二百三十八条第一項の募集に係る新株予約権の発行をやめることを請求することができる。

一 当該新株予約権の発行が法令又は定款に違反する場合

二 当該新株予約権の発行が著しく不公正な方法により行われる場合

 

(新株予約権無償割当てに関する事項の決定)

第二百七十八条 株式会社は、新株予約権無償割当てをしようとするときは、その都度、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 株主に割り当てる新株予約権の内容及び数又はその算定方法

二 前号の新株予約権が新株予約権付社債に付されたものであるときは、当該新株予約権付社債についての社債の種類及び各社債の金額の合計額又はその算定方法

三 当該新株予約権無償割当てがその効力を生ずる日

四 株式会社が種類株式発行会社である場合には、当該新株予約権無償割当てを受ける株主の有する株式の種類

2 前項第一号及び第二号に掲げる事項についての定めは、当該株式会社以外の株主(種類株式発行会社にあっては、同項第四号の種類の種類株主)の有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第四号の種類の株式)の数に応じて同項第一号の新株予約権及び同項第二号の社債を割り当てることを内容とするものでなければならない。

3 第一項各号に掲げる事項の決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 

 

民事保全法

(仮処分命令の必要性等)

第二十三条 係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。

2 仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。

3 第二十条第二項の規定は、仮処分命令について準用する。

4 第二項の仮処分命令は、口頭弁論又は債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ、これを発することができない。ただし、その期日を経ることにより仮処分命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは、この限りでない。

(仮処分の方法)

第二十四条 裁判所は、仮処分命令の申立ての目的を達するため、債務者に対し一定の行為を命じ、若しくは禁止し、若しくは給付を命じ、又は保管人に目的物を保管させる処分その他の必要な処分をすることができる。

 

 

 

 

外国籍公務員管理職試験受験拒否事件

 

 

              管理職選考受験資格確認等請求事件

【事件番号】      最高裁判所大法廷判決/平成10年(行ツ)第93号

【判決日付】      平成17年1月26日

【判示事項】      1 地方公共団体が日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることと労働基準法3条,憲法14条1項

             2 東京都が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた措置が労働基準法3条,憲法14条1項に違反しないとされた事例

【判決要旨】      1 地方公共団体が,公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。

             2 東京都が管理職に昇任すれば公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員に就任することがあることを当然の前提として任用管理を行う管理職の任用制度を設けていたなど判示の事情の下では,職員が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた東京都の措置は,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。

             (1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)

【参照条文】      憲法14-1

             労働基準法

             労働基準法112

             地方公務員法(平10法112号改正前)58-3

             地方公務員法13

             地方公務員法17

             地方公務員法19

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集59巻1号128頁

 

 

憲法

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

 

労働基準法

(均等待遇)

第三条 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。

 

(国及び公共団体についての適用)

第百十二条 この法律及びこの法律に基いて発する命令は、国、都道府県、市町村その他これに準ずべきものについても適用あるものとする。

 

 

地方公務員法

(平等取扱いの原則)

第十三条 全て国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われなければならず、人種、信条、性別、社会的身分若しくは門地によつて、又は第十六条第四号に該当する場合を除くほか、政治的意見若しくは政治的所属関係によつて、差別されてはならない。

 

(任命の方法)

第十七条 職員の職に欠員を生じた場合においては、任命権者は、採用、昇任、降任又は転任のいずれかの方法により、職員を任命することができる。

2 人事委員会(競争試験等を行う公平委員会を含む。以下この節において同じ。)を置く地方公共団体においては、人事委員会は、前項の任命の方法のうちのいずれによるべきかについての一般的基準を定めることができる。

 

(採用試験の公開平等)

第十八条の二 採用試験は、人事委員会等の定める受験の資格を有する全ての国民に対して平等の条件で公開されなければならない。

 

(受験の資格要件)

第十九条 人事委員会等は、受験者に必要な資格として職務の遂行上必要であつて最少かつ適当な限度の客観的かつ画一的な要件を定めるものとする。

 

(他の法律の適用除外等)

第五十八条 労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)、労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)及び最低賃金法(昭和三十四年法律第百三十七号)並びにこれらに基く命令の規定は、職員に関して適用しない。

2 労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)第二章の規定並びに船員災害防止活動の促進に関する法律(昭和四十二年法律第六十一号)第二章及び第五章の規定並びに同章に基づく命令の規定は、地方公共団体の行う労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)別表第一第一号から第十号まで及び第十三号から第十五号までに掲げる事業に従事する職員以外の職員に関して適用しない。

3 労働基準法第二条、第十四条第二項及び第三項、第二十四条第一項、第三十二条の三から第三十二条の五まで、第三十八条の二第二項及び第三項、第三十八条の三、第三十八条の四、第三十九条第六項から第八項まで、第四十一条の二、第七十五条から第九十三条まで並びに第百二条の規定、労働安全衛生法第六十六条の八の四及び第九十二条の規定、船員法(昭和二十二年法律第百号)第六条中労働基準法第二条に関する部分、第三十条、第三十七条中勤務条件に関する部分、第五十三条第一項、第八十九条から第百条まで、第百二条及び第百八条中勤務条件に関する部分の規定並びに船員災害防止活動の促進に関する法律第六十二条の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定は、職員に関して適用しない。ただし、労働基準法第百二条の規定、労働安全衛生法第九十二条の規定、船員法第三十七条及び第百八条中勤務条件に関する部分の規定並びに船員災害防止活動の促進に関する法律第六十二条の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定は、地方公共団体の行う労働基準法別表第一第一号から第十号まで及び第十三号から第十五号までに掲げる事業に従事する職員に、同法第七十五条から第八十八条まで及び船員法第八十九条から第九十六条までの規定は、地方公務員災害補償法(昭和四十二年法律第百二十一号)第二条第一項に規定する者以外の職員に関しては適用する。

4 職員に関しては、労働基準法第三十二条の二第一項中「使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、又は」とあるのは「使用者は、」と、同法第三十四条第二項ただし書中「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは」とあるのは「条例に特別の定めがある場合は」と、同法第三十七条第三項中「使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により」とあるのは「使用者が」と、同法第三十九条第四項中「当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより」とあるのは「前三項の規定にかかわらず、特に必要があると認められるときは、」とする。

5 労働基準法、労働安全衛生法、船員法及び船員災害防止活動の促進に関する法律の規定並びにこれらの規定に基づく命令の規定中第三項の規定により職員に関して適用されるものを適用する場合における職員の勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は、地方公共団体の行う労働基準法別表第一第一号から第十号まで及び第十三号から第十五号までに掲げる事業に従事する職員の場合を除き、人事委員会又はその委任を受けた人事委員会の委員(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の長)が行うものとする。

 

 

4歳3か月の男児を厳寒期に薄着のままベランダに放置して凍死させた母親に対し保護者遺棄致死死罪の成立を認めた事例

 

 

              保護者遺棄致死被告事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/昭和52年(う)第1274号

【判決日付】      昭和53年3月14日

【判示事項】      4歳3か月の男児を厳寒期に薄着のままベランダに放置して凍死させた母親に対し保護者遺棄致死死罪の成立を認めた事例

【参照条文】      刑法218-1

【掲載誌】        判例タイムズ396号150頁

 

 

刑法

(保護責任者遺棄等)

第二百十八条 老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。

(遺棄等致死傷)

第二百十九条 前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

 

 

<判旨>

 控訴趣意第一(事実誤認の主張)について

 論旨は、要するに、原判決は、被告人が原判示の日の午後四時四四分頃原判示雅深を自宅のベランダに出したまま放置して遺棄した旨認定したが、右午後四時四四分頃の段階ではいまだに雅深の生命、身体に対する抽象的危険の発生はなく、被告人にもその認識はなかつたのであるから、被告人は遺棄の実行行為も故意もなく、この点原判決は事実を誤認したものである、というのである。

 しかしながら、原判決挙示の証拠によれば、原判示の認定ないし判断は大綱において正当として是認され、記録を精査検討しても所論の違法は認められない。

 即ち、遺棄罪は生命、身体を保護法益とする抽象的危険犯であると解すべきところ、抽象的危険犯においては一般的に法益侵害の危険が存在すると認められれば足りるのであるから、遺棄罪における被遺棄者の生命、身体に対する危険も右の程度のもので足りるというべきである。原判決挙示の証拠によれは、被告人は、気温が摂氏五度を下回り北風が吹き霙が降つたりにわか雨が降つていた厳寒期(二月一九日)の午後四時三〇分頃、ひ弱で動作も鈍重な満四年三箇月の雅深を室内着のままの薄着(毛糸の長袖セーターと長ズボン、メリヤスの長袖シャツとパンツ)で、しかも素足で室外のベランダに締め出したばかりでなく、右ベランダで動き回ることもなく、ただじつと蹲つているだけの同児を約一四分経過した午後四時四四分頃になつても入室させず、以後原判示のように放置したことが認められ、これによると、右四時三○分頃に同児をベランダに出した時点で同児の生命、身体に対する抽象的な危険が発生したと認め得る余地さえないではなく、それから一〇数分経過した右四時四四分の時点以降において右危険の発生が動かし難いものとなつたものと考えられ、更に前掲証拠、特に被告人の司法警察員及び検察官に対する各供述調書によると、被告人には以上の点の事実認識に欠けるところがなかったことが認められるから、被告人の遺棄の犯意及び行為は、これを首肯するに十分である。

 所論は、被告人は午後四時四四分以降も雅深の動静を見守つていたのであり、放置していたわけではないと主張するが、関係証拠によると、被告人は右時点以降雅深の様態を看守していたことはないと認められるから、所論は理由がない。

 その他所論にかんがみ記録を検討しても、原判決には判決に影響を及ぼすような事実の誤認はなく、論旨は理由がない。

 控訴趣意第二(法令適用の誤りの主張その一)について

 論旨は、要するに、原判決は、本件当日午後四時四四分の段階において被告人に直ちに雅深を入室させるべき義務があつたとするが、被告人は親権者として子に対する懲戒権を適法に行使していたのであるから、右の段階で右のような義務はなく、この点原判決は刑法二一九条、二一八条一項、三五条の適用を誤つたものである、というのである。

 しかしながら、被告人は雅深の親権者(母)であるから、同児の保護責任者として、その生命、身体が抽象的にも危険にさらされることのないようこれを保護すべき義務を負うものであるところ、前記認定の具体的事情のもとでは、午後四時四四分の段階で雅深を入室させず放置すればその生命、身体に抽象的危険が発生する状態にあつたことは明らかであるから、原判決が右の時点で直ちに雅深を入室させるべき義務があつた旨判断したのは相当である。そして、親権音の子に対する懲戒行為として違法性が阻却されるためには、単に動機、目的が懲戒にあるというだけでは足りず、その手段、方法が懲戒権の行使として相当なものでなければならないのであり、本件の如き場合あえて雅深をベランダに出し厳寒期の外気にさらすとすれば、あらかじめ同児の心身の状態や気象条件などに応じ、服装や滞留時間にまず細心の配慮をすべきは勿論、同児がベランダにいる間は(時間が長引くにつれて一層)同児の顔色その他心身の徴候や状態を適確に把握できるようたえず注意深く観察するなど必要に応じ臨機の処置をとりうる態勢と方法をとることが必要と解せられるところ、被告人はことここに出でず原判示のように前示の時点以降、漫然厳しい寒気のもとに雅深をベランダに放置し遂には凍死するに致らせたのであるから、これを正当な懲戒権の行使であるとは、到底認めることはできない。論旨は理由がない。

 控訴趣意第三(法令適用の誤りの主張その二)について

 論旨は、要するに、被告人には雅深の生命、身体に対する抽象的危険の認識も保護義務懈怠の意識もなかつたのに、原判決が被告人に保護者遺棄致死罪の故意ありとしたのは、刑法三八条一項、三項、二一九条、二一八条一項の解釈、適用を誤つたものであるというのである。

 しかしながら、遺棄罪の故意としては、抽象的危険の発生を基礎づける事実を認識する以上、更に右の危険自体を認識することは必要でなく、右のような事実を認識しながら右危険を認識しないのは正しく違法性の錯誤であり、それがため故意が阻却されることはないというべきである。又、右錯誤についての過失の有無も犯罪の成否に影響せず、せいぜい量刑の事情となりうるにすぎない。本件においては、被告人は、当時の気象条件、ベランダの場所的条件、雅深の心身の状態、服装など同児の生命、身体に対する抽象的危険を基礎づける事実を十分認識していたのであるから、その故意に欠けるところはないといわなければならない。のみならず、被告人の認識していた右各事実に徴すると、被告人は右の危険自体をも認識していたものとみるのが相当である。

 又、保護義務懈怠の意識も前記抽象的危険の認識と表裏一体をなすものであつて、それと同様違法性の認識の問題であり、故意の要件ではないと解すべきである。

  (西村哲夫 青木暢茂 笹本忠男)

共同相続人を相手方とする契約に基づく土地所有権移転登記手続請求訴訟と必要的共同訴訟の成否

 

 

              土地所有権移転登記手続請求事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷判決/昭和41年(オ)第488号

【判決日付】      昭和44年4月17日

【判示事項】      共同相続人を相手方とする契約に基づく土地所有権移転登記手続請求訴訟と必要的共同訴訟の成否

【判決要旨】      不動産について被相続人との契約上の義務の履行を主張して、所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではない。

【参照条文】      民事訴訟法62

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集23巻4号785頁

 

 

民事訴訟法

(必要的共同訴訟)

第四十条 訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。

2 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。

3 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。

4 第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。

 

 

       主   文

 

 本件上告を棄却する。

 上告費用は上告人の負担とする。

 

       理   由

 

 上告代理人美村貞夫の昭和三八年九月一八日付上告理由書記載の上告理由第一点について。

 終結した口頭弁論を再開するかどうかは、事実審の専権に属するから、たとい、口頭弁論を再開しないため、当事者が所論のような攻撃防禦方法を提出することができないとしても、なんら違法でない。

 所論は、採用しがたい。

 同第二点ないし第四点について。

 原判決挙示の証拠によれば、原判決の認定した事実を肯定しえないわけではない。

 原判決には、所論のような違法はなく、所論は、結局、原審の専権に属する証拠の取捨・判断、事実の認定を非難するに帰し、採用しがたい。

 上告代理人太田真佐夫、同美村貞夫の昭和三八年一〇月一〇日付上告理由書記載の上告理由第一点について。

 第一、二審判決および本件記録によれば、被上告人の請求は、要するに、訴外Aは昭和一一年三月二八日訴外B・同C夫婦と養子縁組の届出をし、そのさい同年四月一日実父の訴外Dから本件土地の贈与を受けて所有権を取得したが、その所有権移転登記を経由しないまま右Dは同二五年一月八日死亡し、本件選定者らが同人の相続人となつた。これより先、右Aは、同一一年四月二日養父Bの死亡により女戸主となり、さらに、被上告人は、同一三年一〇月三〇日右Aのもとに入夫婚姻をして戸主となり、同日その届出をしたので、前戸主Aの有した一切の権利義務を承継した。したがつて、被上告人は、右Aが亡Dの相続人である本件選定者らに対して有する本件土地の贈与による所有権移転登記手続請求権を承継したとして、本件選定者らに対し、本件宅地について昭和一一年四月一日贈与による所有権移転登記手続を求めるものであることが認められる。それゆえ、本件訴訟は、被上告人がDからAに対する贈与を理由として本件選定者らに対し契約上の義務の履行を求めていることは明らかである。

 ところで、不動産について被相続人との間に締結された契約上の義務の履行を主張して、所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではないと解するのが、当裁判所の判例(昭和三三年(オ)第五一七号・同三六年一二月一五日第二小法廷判決・民集一五巻一一号二八六五頁、昭和三九年(オ)第一四〇号・同三九年七月一六日第一小法廷判決・裁判集七四号六五九頁、昭和三七年(オ)第一四三七号・同三九年七月二八日第三小法廷判決・裁判集七四号七五五頁)とするところであり、これを今なお変更する必要がないと思料するから、本件のように、贈与を理由として、贈与者の相続人に対し所有権移転登記手続を求める訴訟は、その相続人が数人いるときでも、必要的共同訴訟ではないと解せられ、したがつて論旨の失当なことは前記説述したところから明らかであり、所論は採用できない。

 同第二点について。

 前記第一点について判断したとおり、本件選定者らの負担する所有権移転登記手続義務は不可分債務と解すべきであるから、本件選定者らがその債務の履行について各自が全部の責任を負うことは明らかである。

 所論は、採用できない。

 同第三点について。

 本件記録によれば、本件選定者らは、選定当事者を確定的な意思に基づいて選定したことが認められるから、その行為を有効としてした訴訟手続にはなんら違法はない(所論のような記載をもつて所論のように条件と解することはできない)。所論は採用できない。

 (なお、付言するに、本件記録によれば、上告をしたのは上告人(選定当事者)Eのみであるのに、原審および上告審たる東京高等裁判所においては、(選定当事者)F、(選定当事者)GおよびHをも、上告人として、所要の手続をしていることが認められるが、前記に判断したとおり、本訴請求は、通常の共同訴訟にすぎないから、上告人(選定当事者)E以外の者は、上告をしていないので、上告人となるものではない。)

 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

     最高裁判所第一小法廷

 

幼児をこたつの天板に叩きつけた母親に確定的殺意を認めると共に、その意図を知りながらこれを制止しなかった夫との間に共謀共同正犯が認められた事例

 

 

殺人・詐欺被告事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/平成12年(う)第1227号

【判決日付】      平成13年6月21日

【判示事項】      一 幼児に対し、長期間にわたり十分な飲食物を与えず餓死させた母親に、確定的殺意が認められた事例

             二 幼児をこたつの天板に叩きつけた母親に確定的殺意を認めると共に、その意図を知りながらこれを制止しなかった夫との間に共謀共同正犯が認められた事例

【参照条文】      刑法60

             刑法199

【掲載誌】        判例タイムズ1085号292頁

 

 

刑法

(共同正犯)

第六十条 二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

 

(殺人)

第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 

 

 

       主   文

 

 原判決を破棄する。

 被告人を懲役一五年に処する。

 原審における未決勾留日数中五五〇日を上記の刑に算入する。

少数株主の締め出しを目的とする株式の併合と株主平等原則

 

 

              株主総会決議無効確認等請求事件

【事件番号】      札幌地方裁判所判決/令和2年(ワ)第876号

【判決日付】      令和3年6月11日

【判示事項】      1 株式の併合に伴う手続と株主総会決議無効事由

             2 少数株主の締め出しを目的とする株式の併合と株主平等原則

             3 少数株主の締め出しを目的とする株式の併合と「著しく不公正な決議」該当性

             4 株式の併合により株式の買取りと引換えに株主に交付される予定の金員の価格と「著しく不公正な決議」該当性

【判決要旨】      1 株式の併合に伴う事前開示書面の備置の手続およびその閲覧(会社法182条の2)等の手続の不履行や端数処理の不設定(同法235条、234条)は、株式併合に係る株主総会決議の内容の法令違反(同法830条2項)に当たらない株式の併合が少数株主の締め出しを目的としているからといって、直ちに会社法の趣旨に反するということはできず、当該事実関係の下では、株式の併合に係る株主総会決議に株主平等原則違反の違法があるということはできない。

             2 当該事実関係の下で、株式の併合は、会社経営の転換期を迎えた会社において、その意思決定を円滑かつ迅速に進めるため、原告を株主から排除し、安定株主による会社支配権を確立することを目的として行われたものと認めるのが相当であって、これ自体、正当な事業目的ではないとまではいえず、単に被告代表者の個人的感情に基づいて行われたということはできないから、本件決議が「著しく不当な決議」に該当するものではない。

             3 株式の併合においては、株式の併合に係る株主総会決議とは別途の手続によって株式の価格を定めるものとされているのであり、株式の併合により株式の買取りと引換えに株主に交付される予定の金員が著しく低廉であることをもって株式の併合に係る株主総会決議が「著しく不当な決議」に該当するということはできない。

【参照条文】      会社法109

             会社法180

             会社法182の2

             会社法234

             会社法235

             会社法830

             会社法831

【掲載誌】        金融・商事判例1624号24頁

【評釈論文】      法学教室496号127頁

             ジュリスト1570号86頁

 

 

会社法

(株主の平等)

第百九条 株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。

2 前項の規定にかかわらず、公開会社でない株式会社は、第百五条第一項各号に掲げる権利に関する事項について、株主ごとに異なる取扱いを行う旨を定款で定めることができる。

3 前項の規定による定款の定めがある場合には、同項の株主が有する株式を同項の権利に関する事項について内容の異なる種類の株式とみなして、この編及び第五編の規定を適用する。

 

(株式の併合)

第百八十条 株式会社は、株式の併合をすることができる。

2 株式会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 併合の割合

二 株式の併合がその効力を生ずる日(以下この款において「効力発生日」という。)

三 株式会社が種類株式発行会社である場合には、併合する株式の種類

四 効力発生日における発行可能株式総数

3 前項第四号の発行可能株式総数は、効力発生日における発行済株式の総数の四倍を超えることができない。ただし、株式会社が公開会社でない場合は、この限りでない。

4 取締役は、第二項の株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければならない。

 

(株式の併合に関する事項に関する書面等の備置き及び閲覧等)

第百八十二条の二 株式の併合(単元株式数(種類株式発行会社にあっては、第百八十条第二項第三号の種類の株式の単元株式数。以下この項において同じ。)を定款で定めている場合にあっては、当該単元株式数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数に一に満たない端数が生ずるものに限る。以下この款において同じ。)をする株式会社は、次に掲げる日のいずれか早い日から効力発生日後六箇月を経過する日までの間、同項各号に掲げる事項その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。

一 第百八十条第二項の株主総会(株式の併合をするために種類株主総会の決議を要する場合にあっては、当該種類株主総会を含む。第百八十二条の四第二項において同じ。)の日の二週間前の日(第三百十九条第一項の場合にあっては、同項の提案があった日)

二 第百八十二条の四第三項の規定により読み替えて適用する第百八十一条第一項の規定による株主に対する通知の日又は第百八十一条第二項の公告の日のいずれか早い日

2 株式の併合をする株式会社の株主は、当該株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号に掲げる請求をするには、当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 前項の書面の閲覧の請求

二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

 

(一に満たない端数の処理)

第二百三十四条 次の各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の株式を交付する場合において、その者に対し交付しなければならない当該株式会社の株式の数に一株に満たない端数があるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を当該者に交付しなければならない。

一 第百七十条第一項の規定による株式の取得 当該株式会社の株主

二 第百七十三条第一項の規定による株式の取得 当該株式会社の株主

三 第百八十五条に規定する株式無償割当て 当該株式会社の株主

四 第二百七十五条第一項の規定による新株予約権の取得 第二百三十六条第一項第七号イの新株予約権の新株予約権者

五 合併(合併により当該株式会社が存続する場合に限る。) 合併後消滅する会社の株主又は社員

六 合併契約に基づく設立時発行株式の発行 合併後消滅する会社の株主又は社員

七 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得 株式交換をする株式会社の株主

八 株式移転計画に基づく設立時発行株式の発行 株式移転をする株式会社の株主

九 株式交付 株式交付親会社(第七百七十四条の三第一項第一号に規定する株式交付親会社をいう。)に株式交付に際して株式交付子会社(同号に規定する株式交付子会社をいう。)の株式又は新株予約権等(同項第七号に規定する新株予約権等をいう。)を譲り渡した者

2 株式会社は、前項の規定による競売に代えて、市場価格のある同項の株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって、市場価格のない同項の株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により、これを売却することができる。この場合において、当該許可の申立ては、取締役が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。

3 前項の規定により第一項の株式を売却した場合における同項の規定の適用については、同項中「競売により」とあるのは、「売却により」とする。

4 株式会社は、第二項の規定により売却する株式の全部又は一部を買い取ることができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 買い取る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)

二 前号の株式の買取りをするのと引換えに交付する金銭の総額

5 取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。

6 第一項から第四項までの規定は、第一項各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の社債又は新株予約権を交付するときについて準用する。

第二百三十五条 株式会社が株式の分割又は株式の併合をすることにより株式の数に一株に満たない端数が生ずるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数が生ずる場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を株主に交付しなければならない。

2 前条第二項から第五項までの規定は、前項の場合について準用する。

 

(株主総会等の決議の不存在又は無効の確認の訴え)

第八百三十条 株主総会若しくは種類株主総会又は創立総会若しくは種類創立総会(以下この節及び第九百三十七条第一項第一号トにおいて「株主総会等」という。)の決議については、決議が存在しないことの確認を、訴えをもって請求することができる。

2 株主総会等の決議については、決議の内容が法令に違反することを理由として、決議が無効であることの確認を、訴えをもって請求することができる。

(株主総会等の決議の取消しの訴え)

第八百三十一条 次の各号に掲げる場合には、株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより株主(当該決議が創立総会の決議である場合にあっては、設立時株主)又は取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。以下この項において同じ。)、監査役若しくは清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。

一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。

二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。

三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。

2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。

 

 

 

財産の分与に関する処分の審判の申立てを却下する審判に対し相手方が即時抗告をすることの許否

 

 

財産分与申立て却下審判に対する抗告一部却下等決定に対する許可抗告事件

【事件番号】      最高裁判所第1小法廷決定/令和2年(許)第44号

【判決日付】      令和3年10月28日

【判示事項】      財産の分与に関する処分の審判の申立てを却下する審判に対し相手方が即時抗告をすることの許否

【判決要旨】      財産の分与に関する処分の審判の申立てを却下する審判に対し,夫又は妻であった者である相手方は,即時抗告をすることができる。

【参照条文】      家事事件手続法156

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集75巻8号3583頁

 

 

家事事件手続法

(即時抗告)

第百五十六条 次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。

一 夫婦間の協力扶助に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻

二 夫婦財産契約による財産の管理者の変更等の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻

三 婚姻費用の分担に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫及び妻

四 子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 子の父母及び子の監護者

五 財産の分与に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判 夫又は妻であった者

六 離婚等の場合における祭具等の所有権の承継者の指定の審判及びその申立てを却下する審判 婚姻の当事者(民法第七百五十一条第二項において準用する同法第七百六十九条第二項の規定による場合にあっては、生存配偶者)その他の利害関係人