交際費の計算上、客から収受した祝金を控除することの可否(消極) 法人税更正処分等取消請求事 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

交際費の計算上、客から収受した祝金を控除することの可否(消極)

 

 

              法人税更正処分等取消請求事件

【事件番号】      東京地方裁判所判決/昭和63年(行ウ)第107号

【判決日付】      平成元年12月18日

【判示事項】      交際費の計算上、客から収受した祝金を控除することの可否(消極)

【参照条文】      租税特別措置法(平元法12号改正前のもの)62

【掲載誌】        行政事件裁判例集40巻11~12号1827頁

             訟務月報36巻9号1759頁

             判例タイムズ733号69頁

             判例時報1338号106頁

【評釈論文】      税務事例22巻7号21頁

             税理35巻3号315頁

             判例評論380号178頁

 

租税特別措置法

(交際費等の損金不算入)

第六十一条の四 法人が平成二十六年四月一日から令和九年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(以下この条において「適用年度」という。)において支出する交際費等の額(当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額(資本又は出資を有しない法人その他政令で定める法人にあつては、政令で定める金額。以下この項及び次項において同じ。)が百億円以下である法人(通算法人の当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人の同日における資本金の額又は出資金の額が百億円を超える場合における当該通算法人を除く。)については、当該交際費等の額のうち接待飲食費の額の百分の五十に相当する金額を超える部分の金額)は、当該適用年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

2 前項の場合において、法人(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人及び資産の流動化に関する法律第二条第三項に規定する特定目的会社を除く。)のうち当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が一億円以下であるもの(次に掲げる法人を除く。)については、前項の交際費等の額のうち定額控除限度額(八百万円に当該適用年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額をいう。)を超える部分の金額をもつて、同項に規定する超える部分の金額とすることができる。

一 普通法人のうち当該適用年度終了の日において法人税法第六十六条第五項第二号又は第三号に掲げる法人に該当するもの

二 通算法人の当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人のうちいずれかの法人が次に掲げる法人である場合における当該通算法人

イ 当該適用年度終了の日における資本金の額又は出資金の額が一億円を超える法人

ロ 前号に掲げる法人

3 通算法人(通算子法人にあつては、当該通算子法人に係る通算親法人の事業年度終了の日において当該通算親法人との間に通算完全支配関係があるものに限る。)に対する前二項の規定の適用については、次に定めるところによる。

一 通算子法人の適用年度は、当該通算子法人に係る通算親法人の適用年度終了の日に終了する当該通算子法人の事業年度とする。

二 前項に規定する定額控除限度額は、八百万円に当該適用年度終了の日に終了する当該通算法人に係る通算親法人の事業年度の月数を乗じてこれを十二で除して計算した金額(第四号イにおいて「通算定額控除限度額」という。)に、イに掲げる金額がロに掲げる金額のうちに占める割合を乗じて計算した金額(第五項において「通算定額控除限度分配額」という。)とする。

イ 当該通算法人が当該適用年度において支出する交際費等の額

ロ 当該通算法人が当該適用年度において支出する交際費等の額及び当該適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人が同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額の合計額

三 前号の規定を適用する場合において、同号イ及びロの交際費等の額が同号の通算法人の同号の適用年度又は同号ロの他の通算法人の同号ロに規定する事業年度(以下この項において「通算事業年度」という。)の確定申告書等(期限後申告書を除く。)に添付された書類に当該通算事業年度において支出する交際費等の額として記載された金額(以下この号及び第五号において「当初申告交際費等の額」という。)と異なるときは、当初申告交際費等の額を前号イ及びロの交際費等の額とみなす。

四 通算事業年度のいずれかについて修正申告書の提出又は国税通則法第二十四条若しくは第二十六条の規定による更正(次号において「更正」という。)がされる場合において、次に掲げる場合のいずれかに該当するときは、第二号の通算法人の同号の適用年度については、前号の規定は、適用しない。

イ 前号の規定を適用しないものとした場合における第二号ロに掲げる金額が通算定額控除限度額以下である場合

ロ 法人税法第六十四条の五第六項の規定の適用がある場合

ハ 法人税法第六十四条の五第八項の規定の適用がある場合

五 通算事業年度について前号(ハに係る部分を除く。)の規定を適用して修正申告書の提出又は更正がされた後における第三号の規定の適用については、当該修正申告書又は当該更正に係る国税通則法第二十八条第二項に規定する更正通知書に添付された書類に当該通算事業年度において支出する交際費等の額として記載された金額を当初申告交際費等の額とみなす。

4 前二項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。

5 第三項の通算法人の適用年度終了の日において当該通算法人との間に通算完全支配関係がある他の通算法人(以下この項において「他の通算法人」という。)の同日に終了する事業年度において支出する交際費等の額がある場合における当該適用年度に係る第二項の規定は、第七項の規定にかかわらず、当該交際費等の額を支出する他の通算法人の全てにつき、それぞれ同日に終了する事業年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合で、かつ、当該適用年度の確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に通算定額控除限度分配額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。

6 第一項、第三項及び前項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」という。)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいい、第一項に規定する接待飲食費とは、同項の交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第二条第十五号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。第二号において「飲食費」という。)であつて、その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。

一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用

二 飲食費であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用

三 前二号に掲げる費用のほか政令で定める費用

7 第二項の規定は、確定申告書等、修正申告書又は更正請求書に同項に規定する定額控除限度額の計算に関する明細書の添付がある場合に限り、適用する。

8 第六項第二号の規定は、財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。

 

 

       主   文

 

 原告の請求を棄却する。

 訴訟費用は原告の負担とする。

 

       事   実

 

浄一 当事者の求めた裁判

 一 請求の趣旨

  1 被告が昭和六二年一一月三〇日付けでした原告の昭和六一年五月一日から昭和六二年四月三〇日までの事業年度の法人税の更正のうち所得金額一二七七万八三二一円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定を取り消す。

  2 訴訟費用は被告の負担とする。

 二 請求の趣旨に対する答弁

 主文同旨

第二 当事者の主張

 一 請求原因

  1 原告が昭和六二年六月三〇日付けでした原告の昭和六一年五月一日から昭和六二年四月三〇日までの事業年度一以下「本件事業年度」という。)の法人税の確定申告(以下「本件申告」という。)、被告が同年一一月三〇日付けでした更正(以下「本件更正」という。)及び過少申告加算税賦課決定一以下「本件賦課決定」という。)、これに対し原告が昭和六三年二月一日付けでした審査請求並びに国税不服審判所長が同年五月三〇日付けでした右審査請求に対する審査裁決の経緯は、別紙一のとおりであり、原告は、同年六月六日、裁決書謄本の送達を受けた。

  2 しかし、本件更正は、損金に算入されない交際費等の額を過大に認定し、その結果、所得を過大に認定した違法があるから、本件更正のうち所得金額一二七七万八三二一円を超える部分及び本件賦課決定の取消しを求める。

 二 請求原因に対する認否

 請求原因1の事実は認め、同2は争う。

 三 被告の主張

  1 原告の本件事業年度の所得金額

   (一) 申告所得金額

        一一四一万四六八九円

   (二) 交際費等の損金不算入額の加算額

         九六三万五八九三円

 (1) 争いのない交際費等の損金不算入額の加算額

         一三八万〇八九三円

 (2) 記念行事に係る交際費等の損金不算入額の加算額

         八二五万五〇〇〇円

 (1) 原告は、創業五〇周年記念事業の一環として行った越谷工場及び新本社ビルの建築に関し、昭和六一年一〇月一日、創業五〇周年記念及び越谷工場の竣工を披露する催し一以下「越谷工場竣工記念行事」という。)を行い、別紙二に記載のとおり合計九二七万八〇〇〇円を支出し、次いで、昭和六二年三月二七日、新本社ビルの竣工を披露する催し(以下「本社ビル竣工記念行事」といい、越谷工場竣工記念行事と併せて「本件各記念行事」という。)を行い、別紙三に記載のとおり合計二一五万九三二八円を支出した(以下、右の各支出を併せて「本件各記念行事費」という。)。

 (2) 原告は、越谷工場竣工記念行事に際して五九八万円の祝金を、本社ビル竣工記念行事に際して二二七万五〇〇〇円の祝金(以下、右の各祝金を併せて「本件祝金」という。一を、それぞれ招待客から収受していたところ、本件各記念行事に係る交際費等につき、本件各記念行事費の額一一四三万七三二八円から本件祝金の額八二五万五〇〇〇円を控除した三一八万二三二八円のみを損金不算入額として本件申告をした。

 (3) ところで、租税特別措置法(以下「措置法」という。)六二条は、その一項で、当該事業年度終了日における資本の金額が五〇〇〇万円を超える法人が支出する交際費等の額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入できないとする交際費損金不算入制度を定め、その三項で、右一項にいう交際費等の意義を、「交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの・・・・・・をいう。」と規定している。

 本件各記念行事は、いずれも原告の得意先、仕入先その他事業に関係のある者を招待して、これを接待、供応をするために原告が催したものであり、いわゆる会費制によるものではないから、これに要した費用は措置法六二条三項に規定する交際費等に該当するものであり、原告は本件事業年度終了日における資本の金額が五〇〇〇万円を超える法人であるから、同条一項により、本件各記念行事の開催費用として支出した本件各記念行事費は、本件事業年度の所得の金額の計算上、その全額が損金不算入となるものである。

 (4) よって、原告が本件各記念行事費のうち損金不算入額から控除した八二五万五〇〇〇円を、所得金額の計算上、申告所得金額に加算する。

   (3) 寄付金の損金不算入額の減算額一二万〇四四九円

 右(二)の交際費等の損金不算入額の増加に伴い寄付金の損金算入限度額の計算の基礎となる所得の金額が増加するので、法人税法三七条二項、同法施行令七三条一項、二項の規定に基づき増加後の所得の金額を基礎とする寄付金の損金算入限度額を計算すると別紙四のとおり二七万八一八七円となるから、本件事業年度における寄付金の額四六〇万円のうち損金不算入となる寄付金の額は四三二万一八一三円となるところ、右金額と原告が本件申告において損金に算入しなかった寄付金の額四四四万二二六二円との差額一二万〇四四九円は損金に算入できるので、これを所得金額から減算する。

   (四) 右(一)の金額に右(二)の金額を加算したものから、右(三)の金額を減算した二〇九三万〇一三三円が原告の本件事業年度の所得金額である。

  2 本件更正の適法性

 原告の本件事業年度の所得金額は右1の(四)のとおり二〇九三万〇一三三円であるところ、これと所得金額が同額の本件更正は適法である。

  3 本件賦課決定の適法性

 原告は、本件事業年度の所得金額を過少に申告しているので、国税通則法(ただし、昭和六二年法律第九六号による改正前のもの。以下同じ。)六五条に基づき、本件更正により原告が新たに納付すべきこととなった本税の額一一三万円(ただし、同法一一八条三項により一万円未満の端数切捨て)に一〇〇分の五を乗じて過少申告加算税の額を算出すると五万六五〇〇円となるところ、これと過少申告加算税の額が同額の本件賦課決定は適法である。

 四 被告の主張に対する認否

  1 被告主張1について

   (一) (一)の事実は認める。

   (二) (二)の(1)、(二)の(2)の(1)、(2)の各事実は認め、同(3)は、本件各記念行事がいずれも原告の得意先、仕入先その他事業に関係のある者を招待して、これを接待、供応するために原告が催したものであること、本件各記念行事が明示的な会費制により行われたものでないこと、原告が本件事業年度終了日において資本の金額が五〇〇〇万円を超える法人であることは認め、措置法六二条一項、三項に関する解釈及び主張は争い、同(4)は争う。

   (三) (三)は、別紙四の番号1、2、6ないし10、13の各金額は認め、主張は争う。

   (四) (四)は争う。

  2 同2、3は争う。

 五 原告の主張

  1 措置法六二条により損金不算入となる交際費等の額とは、以下に述べる理由から、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下「交際行為」という。)において現実に支出した金額の全部をいうのではなく、その行為の相手方から当該法人に支払われることが社会的慣行となっている祝金のような交際行為と不可分一体の関係にある収入がある場合には、その収入分を控除した金額をいうと解すべきである。

   (一) 法人税法は、内国法人の各事業年度の所得金額の計算の基礎数値となる益金及び損金の額の計算方法を定める同法二二条四項において、「第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする。」と規定しているところ、企業会計原則第二の一のBは、「費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部または一部を損益計算書から除去してはならない。」とし、総額主義の原則を掲げている。ところで、企業が支出する交際費等は、商取引を円滑ならしめるために企業の運営上当然必要なものであって、かつ、常にその効果が考慮されて支出されるところの本来的な経費であるから、本来は、全額損金の額に算入されるベきであるところ、措置法六二条は、政策上、交際費等の損金算入を認めないというもので、企業会計原則は、このような本来的な経費を損金に算入しない扱いを予想していないものであるから、交際費等については法人税法二二条四項の適用がないというべきであること、交際費損金不算入制度の下で総額主義の原則が適用される場合には、支出した交際費等は損金に算入されないのに、その交際行為の際に必然的に収受する関係にある祝金収入の方はそのまま雑収入として課税の対象となることによって、不合理な結果が生ずることからすると、措置法六二条によって政策的に損金計上が認められない交際費等の計算については、総額主義によるのは相当ではなく、同条により損金不算入とされる交際費等の額の内容については、税法の見地からみた妥当な解釈によるべきである。

   (二) 措置法六二条一項で定める交際費損金不算入制度は、冗費、濫費を節減して企業所得の内部留保による資本蓄積の促進を図るために政策的に設けられたものであるが、右の冗費及び濫費とは、必要の度を超えた過剰な支出の部分をいうのであって、交際費等の支出の全部が冗費、濫費となるものではないところ、本件各記念行事のような交際行為を行った場合、その相手方は当該交際行為に関して祝金を支出するのが一般的であり、右祝金の支出は社会的慣行となっているといえるものであること、右祝金は、当該交際行為のために支出されるもので、その支出目的は特定されていることからすると、当該交際行為と祝金収入とは原因と結果の関係にある密接不可分なものであり、費用・収益とが対応するのと同様の対価的な関係があるといえるから、当該交際行為に係る交際費等のうち祝金収入相当額部分は冗費、濫費に当たらず、損金不算入となる交際費等にならないというべきである。しかるに、冗費、濫費ではない本来的な経費である部分についても損金算入を認めないで課税の対象とするのは、かえって資本が流出することになって、資本蓄積を害する結果になり、右立法趣旨に反するものである。税負担の点からも、祝金を支出した者につき、その支出した祝金が同条一項の交際費等の額として課税の対象とされるのであるから、祝い金収入分を控除することは合理性を有する。

 また、本件各記念行事においては、招待客は本件各記念行事費の一部を負担する意思を持って本件祝金を支出し、原告も招待客が有していた右意思を容認して本件祝金を収受したものであり、祝金を支出したが行事に欠席した者に対しても記念品が送られているように、いわば黙示の費用負担の合意があり、本件各記念行事の開催と本件祝金収入との間には対価的な関係があるといえるから、本件各記念行事費から本件祝金収入分を控除した額が、原告が本件各記念行事において支出した交際費等の額となる。

  (三) 措置法六二条は、その一項で.「・・・・・・支出する交際費等の額・・・・・・は、・・・・・・損金に算入しない。」、と規定しているが、これを受けた同条三項は、「第一項に規定する支出する交際費等とは・・・・・・」としないで、「第一項に規定する交際費等とは・・・・・・」と規定していることからすると、同条三項は、同条一項により損金に算入できないとされる交際費等の内容を定義した規定ではなく、損金に算入できない交際費等の金額の範囲を定めた規定であるというべきである。そして、同条三項は、「第一項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用をいう。」とか「第一項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他法人の得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のための費用をいう。」のようにしないで、「第一項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、・・・・・・支出するもの」と規定し、損金に算入されない交際費等の額について「支出するもの」という限定をしている。右「支出」の用語は、単に金銭や物品を支払うという意味しかないのではなく、例えば、法人税法三七条一項、二項の寄付金の「支出」を、同条六項が実質的な意味に用いているように、措置法六二条三項の「支出」についても、これを実質的な出損を意味するものとし、負担した交際費等のうち祝金収入によって補填される部分は同項の支出に当たらないと解することに支障はないはずである。そうすると、同条一項でいうところの損金に算入されない交際費等の額とは、費用として計上した金額そのものではなく、当該費用の支出をする交際行爲と密接不可分の関係にある祝金収入分を控除した後の実質的な出損額とする趣旨であると解されるのである。

 なお、右の控除をすることについては、これを明示的に定める規定はないが、措置法六二条が右のように解釈されることからすると、実質的出損額を算出するための控除計算をするのは当然のことであり、これについて別段規定を設ける必要がないこと、また、交際費、接待費、機密費その他の費用のすべてについて控除の対象となる収入が予想されるものではないことによるのである。

   (四) したがって、本件各記念行事費のうち損金不算入となる交際費等の額は、本件各記念行事費から本件祝金収入分を控除した三一八万二三二八円となる。