被控訴人上司が、控訴人および職場の同僚十数名に送信したポイントの大きい赤文字で、「意欲がない、や | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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被控訴人上司が、控訴人および職場の同僚十数名に送信したポイントの大きい赤文字で、「意欲がない、やる気がないなら、会社を辞めるベきだと思います。当SCにとっても、会社にとっても損失そのものです。あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。……これ以上、当SCに迷惑をかけないで下さい」等の本件メールの内容が、侮辱的言辞と受け取られても仕方のない、控訴人の名誉感情をいたずらに毀損するもので、控訴人を指導・叱咤督促しようとの送信目的が相当であったとしても、その表現において許容限度を超え、著しく相当性を欠くもので、不法行為を構成し、慰謝料額5万円が相当とされた。

 

東京高判平成17年4月20日労判914号82頁[三井住友海上保険会社上司(損害賠償)事件]

(1) 被控訴人上司が、控訴人および職場の同僚十数名に送信したポイントの大きい赤文字で、「意欲がない、やる気がないなら、会社を辞めるベきだと思います。当SCにとっても、会社にとっても損失そのものです。あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。……これ以上、当SCに迷惑をかけないで下さい」等の本件メールの内容が、侮辱的言辞と受け取られても仕方のない、控訴人の名誉感情をいたずらに毀損するもので、控訴人を指導・叱咤督促しようとの送信目的が相当であったとしても、その表現において許容限度を超え、著しく相当性を欠くもので、不法行為を構成し、慰謝料額5万円が相当とされた。

(2) 本件メール送信につき、その目的は是認できるとして、パワーハラスメントの意図があったとはいえないとされた例

(3) 控訴人(一審、東京地判平成16年12月1日労判914号86頁)の請求を棄却した一審判断が変更され、本件メールの送信目的、表現方法、送信範囲などを総合すると、名誉毀損による慰謝料額は5万円が相当された例