1個の企業グループを構成する同族会社数社が、「拠出金還元金規約」を約定し、これに基づいて、特定の | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属

1個の企業グループを構成する同族会社数社が、「拠出金還元金規約」を約定し、これに基づいて、特定の仕入先からの各月ごとの購買金額が所定の額を超えるときは、その超過額に所定の係数を乗じた額の金員を拠出し、仕入先を右の仕入先から新たな仕入先に転換したときは、その購買金額の各社別の合計額で案分して右拠出金を各社に還元している場合について、右企業グループの全体から見ればこれによって仕入先の開発が促進されるという利点があるとしても、拠出する額が還元を受ける額より多い会社については、他社による仕入先の開発が自社の支出したその差額分と対価性のある役務の提供であるとはいえないから、右差額分の支出は法人税法37条に規定する寄附金の支出に当たるとした事例

 

 

法人税更正決定等取消請求控訴事件

【事件番号】      大阪高等裁判所判決/昭和58年(行コ)第61号

【判決日付】      昭和60年7月30日

【判示事項】      1、1個の企業グループを構成する同族会社数社が、「拠出金還元金規約」を約定し、これに基づいて、特定の仕入先からの各月ごとの購買金額が所定の額を超えるときは、その超過額に所定の係数を乗じた額の金員を拠出し、仕入先を右の仕入先から新たな仕入先に転換したときは、その購買金額の各社別の合計額で案分して右拠出金を各社に還元している場合について、右企業グループの全体から見ればこれによって仕入先の開発が促進されるという利点があるとしても、拠出する額が還元を受ける額より多い会社については、他社による仕入先の開発が自社の支出したその差額分と対価性のある役務の提供であるとはいえないから、右差額分の支出は法人税法37条に規定する寄附金の支出に当たるとした事例

             2、青色申告に係る法人税の更正の通知書に「雑損失勘定に仕入拡張費として計上したグループ各社による拠出金の支出は、金銭の贈与であり、寄付金と認める。」と記載するにとどめ、右認定の理由及び資料を摘示しないでした理由付記が、右更正は、帳簿書類の記載を否認してされたものではなく、法的評価を申告者と異にしたことによるものであるから、どの事項についてどのような法的判断をしたかを明らかにし得る程度に記載すれば足りるとして、適法とされた事例

【掲載誌】        行政事件裁判例集36巻7~8号1191頁

 

法人税法37

(寄附金の損金不算入)

第三十七条 内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

2 内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(第二十五条の二(受贈益)の規定の適用がないものとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される同条第二項に規定する受贈益の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

3 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。

一 国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額

二 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額

イ 広く一般に募集されること。

ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。

4 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等(別表第二に掲げる一般社団法人、一般財団法人及び労働者協同組合を除く。以下この項及び次項において同じ。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(出資に関する業務に充てられることが明らかなもの及び前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える場合には、当該計算した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。

5 公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額(公益社団法人又は公益財団法人にあつては、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業で公益に関する事業として政令で定める事業に該当するもののために支出した金額)は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして、第一項の規定を適用する。ただし、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることにより支出した金額については、この限りでない。

6 内国法人が特定公益信託(公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条(公益信託)に規定する公益信託で信託の終了の時における信託財産がその信託財産に係る信託の委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき政令で定める要件を満たすものであることについて政令で定めるところにより証明がされたものをいう。)の信託財産とするために支出した金銭の額は、寄附金の額とみなして第一項、第四項、第九項及び第十項の規定を適用する。この場合において、第四項中「)の額」とあるのは、「)の額(第六項に規定する特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭の額を含む。)」とするほか、この項の規定の適用を受けるための手続に関し必要な事項は、政令で定める。

7 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。

8 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。

9 第三項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第三項各号に掲げる寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付がある場合に限り、第四項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第四項に規定する寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付があり、かつ、当該書類に記載された寄附金が同項に規定する寄附金に該当することを証する書類として財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、第三項又は第四項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。

10 税務署長は、第四項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されないこととなる金額の全部又は一部につき前項に規定する財務省令で定める書類の保存がない場合においても、その書類の保存がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その書類の保存がなかつた金額につき第四項の規定を適用することができる。

11 財務大臣は、第三項第二号の指定をしたときは、これを告示する。

12 第五項から前項までに定めるもののほか、第一項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

 

 

法人税法施行令73

(一般寄附金の損金算入限度額)

第七十三条 法第三十七条第一項(寄附金の損金不算入)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる内国法人の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一 普通法人、法別表第二に掲げる労働者協同組合、協同組合等及び人格のない社団等(次号に掲げるものを除く。) 次に掲げる金額の合計額の四分の一に相当する金額

イ 当該事業年度終了の時における資本金の額及び資本準備金の額の合計額又は出資金の額を十二で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額の千分の二・五に相当する金額

ロ 当該事業年度の所得の金額の百分の二・五に相当する金額

二 普通法人、協同組合等及び人格のない社団等のうち資本又は出資を有しないもの、法別表第二に掲げる一般社団法人及び一般財団法人並びに財務省令で定める法人 当該事業年度の所得の金額の百分の一・二五に相当する金額

三 公益法人等(前二号に掲げるものを除く。以下この号において同じ。) 次に掲げる法人の区分に応じそれぞれ次に定める金額

イ 公益社団法人又は公益財団法人 当該事業年度の所得の金額の百分の五十に相当する金額

ロ 私立学校法第三条(定義)に規定する学校法人(同法第六十四条第四項(私立専修学校等)の規定により設立された法人で学校教育法第百二十四条(専修学校)に規定する専修学校を設置しているものを含む。)、社会福祉法第二十二条(定義)に規定する社会福祉法人、更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二条第六項(定義)に規定する更生保護法人又は医療法第四十二条の二第一項(社会医療法人)に規定する社会医療法人 当該事業年度の所得の金額の百分の五十に相当する金額(当該金額が年二百万円に満たない場合には、年二百万円)

ハ イ又はロに掲げる法人以外の公益法人等 当該事業年度の所得の金額の百分の二十に相当する金額

2 前項各号に規定する所得の金額は、次に掲げる規定を適用しないで計算した場合における所得の金額とする。

一 法第二十七条(中間申告における繰戻しによる還付に係る災害損失欠損金額の益金算入)

二 法第四十条(法人税額から控除する所得税額の損金不算入)

三 法第四十一条(法人税額から控除する外国税額の損金不算入)

四 法第四十一条の二(分配時調整外国税相当額の損金不算入)

五 法第五十七条第一項(欠損金の繰越し)

六 法第五十九条(会社更生等による債務免除等があつた場合の欠損金の損金算入)

七 法第六十一条の十一第一項(完全支配関係がある法人の間の取引の損益)(適格合併に該当しない合併による合併法人への資産の移転に係る部分に限る。)

八 法第六十二条第二項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)

九 法第六十二条の五第二項及び第五項(現物分配による資産の譲渡)

十 法第六十四条の五第一項及び第三項(損益通算)

十一 法第六十四条の七第六項(欠損金の通算)

十二 租税特別措置法第五十七条の七第一項(関西国際空港用地整備準備金)

十三 租税特別措置法第五十七条の七の二第一項(中部国際空港整備準備金)

十四 租税特別措置法第五十九条第一項及び第二項(新鉱床探鉱費又は海外新鉱床探鉱費の特別控除)

十五 租税特別措置法第五十九条の二第一項及び第四項(対外船舶運航事業を営む法人の日本船舶による収入金額の課税の特例)

十六 租税特別措置法第六十条第一項、第二項及び第六項(沖縄の認定法人の課税の特例)

十七 租税特別措置法第六十一条第一項及び第五項(国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例)

十八 租税特別措置法第六十一条の二第一項(農業経営基盤強化準備金)及び第六十一条の三第一項(農用地等を取得した場合の課税の特例)

十九 租税特別措置法第六十六条の七第二項及び第六項(内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例)

二十 租税特別措置法第六十六条の九の三第二項及び第五項(特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例)

二十一 租税特別措置法第六十六条の十三第一項、第五項から第十一項まで及び第十五項(特定事業活動として特別新事業開拓事業者の株式の取得をした場合の課税の特例)

二十二 租税特別措置法第六十七条の十二第一項及び第二項並びに第六十七条の十三第一項及び第二項(組合事業等による損失がある場合の課税の特例)

二十三 租税特別措置法第六十七条の十四第一項(特定目的会社に係る課税の特例)

二十四 租税特別措置法第六十七条の十五第一項(投資法人に係る課税の特例)

二十五 租税特別措置法第六十八条の三の二第一項(特定目的信託に係る受託法人の課税の特例)

二十六 租税特別措置法第六十八条の三の三第一項(特定投資信託に係る受託法人の課税の特例)

3 第一項各号に規定する所得の金額は、内国法人が当該事業年度において支出した法第三十七条第七項に規定する寄附金の額の全額は損金の額に算入しないものとして計算するものとする。

4 事業年度が一年に満たない法人に対する第一項第三号ロの規定の適用については、同号ロ中「年二百万円」とあるのは、「二百万円を十二で除し、これに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額」とする。

5 第一項及び前項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを切り捨てる。

6 内国法人が第一項各号に掲げる法人のいずれに該当するかの判定は、各事業年度終了の時の現況による。

(公益社団法人又は公益財団法人の寄附金の損金算入限度額の特例)

第七十三条の二 公益社団法人又は公益財団法人の各事業年度において法第三十七条第五項(寄附金の損金不算入)の規定によりその収益事業に係る同項に規定する寄附金の額とみなされる金額(以下この項において「みなし寄附金額」という。)がある場合において、当該事業年度のその公益目的事業(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第二条第四号(定義)に規定する公益目的事業をいう。)の実施のために必要な金額として財務省令で定める金額(当該金額が当該みなし寄附金額を超える場合には、当該みなし寄附金額に相当する金額。以下この項において「公益法人特別限度額」という。)が前条第一項第三号イに定める金額を超えるときは、当該事業年度の同号イに定める金額は、同号イの規定にかかわらず、当該公益法人特別限度額に相当する金額とする。

2 前項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項に規定する財務省令で定める金額及びその計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。

3 第一項の場合において、法人が公益社団法人又は公益財団法人に該当するかどうかの判定は、各事業年度終了の時の現況による。