宅地建物取引業者の説明義務4 第4章 他人物 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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第4章 他人物

 

宮崎地判昭和58年12月21日判タ528号248頁

不動産仲介契約は準委任契約と解すべきところ、宅地建物取引業者(不動産仲介業者)が客の委託を受けた不動産売買の仲介をする場合には、民法644条に従い、仲介契約の趣旨に則り、善管注意をもって媒介すべき義務を負い、売買契約が支障なく履行されて当事者双方がその売買の目的物につき所有権の移転、登記の完了と代金の完済により契約の目的を達し得るように配慮すべき業務上の注意義務があると解すべきである。とくに、不動産仲介業者が他人の物の売買に関与するに当っては、通常の売買に比してより高度の注意を用いることを要し、事前に不動産登記簿を調査し所有者を確認するのはもとより売主の職業、信用度、所有者本人の売渡意思の有無、抵当権設定登記がある場合はその抹消の可否等を問合わせて確認するとともに、同人の委任状、印鑑証明書、権利証等を売主に提示させてその真偽を確認する等の措置をとり、売買物件の移転にいかんのないよう注意すべき業務上の義務があると考える。