土地売買契約の当事者双方から所有権移転登記手続についての代理を嘱託された司法書士が嘱託を拒んだこ | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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土地売買契約の当事者双方から所有権移転登記手続についての代理を嘱託された司法書士が嘱託を拒んだことに正当な事由がないとされた事例

 

最高裁判所第3小法廷判決/平成15年(受)第709号

平成16年6月8日

損害賠償請求事件

【判示事項】    土地売買契約の当事者双方から所有権移転登記手続についての代理を嘱託された司法書士が嘱託を拒んだことに正当な事由がないとされた事例

【判決要旨】    土地売買契約の当事者双方から所有権移転登記手続についての代理を嘱託された司法書士が,当該土地につき払下げを登記原因として所有権移転登記を受けた会社から売主に対して真正な登記名義の回復を登記原因として所有権移転登記がされていること並びに上記会社と商号及び本店所在地を同じくする株式会社が時期を異にして2社存在した事実がうかがわれることのみを理由に,上記売買契約の決済日の当日になって,突然,当事者双方に対し,当該土地についての実体的所有関係を確定することができず,上記売買契約によって当該土地の所有権が買主に移転するとは限らない旨を述べ,上記嘱託を拒んだことには,正当な事由があるとはいえない。

【参照条文】    司法書士法(平成14年法律第33号による改正前のもの)8

          民法709

【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事214号363頁

          裁判所時報1365号279頁

          判例タイムズ1159号130頁

          金融・商事判例1204号18頁

          判例時報1867号50頁

          金融法務事情1721号44頁

 

司法書士法

(依頼に応ずる義務)

第二十一条 司法書士は、正当な事由がある場合でなければ依頼(簡裁訴訟代理等関係業務に関するものを除く。)を拒むことができない。