労働者と会社との間に黙示の雇用契約が成立したといえるためには、単に事実上の使用従属関係があるというだけでなく、諸般の事情に照らして、労働者が会社の指揮命令のもとに会社に労務を供給する意思を有し、これに対し、会社がその対価として労働者に賃金を支払う意思を推認され、社会通念上、両者間で雇用契約を締結する意思表示の合致があったと評価できるに足りる事情が必要であるとされた例
東京高判平成5年12月22日労働判例664号81頁
二 有料職業紹介業を営む会社の会員として、テレビ番組、コマーシャル映画等に出演した労働者と、テレビ番組、コマーシャル映画の企画制作等を業とする会社との間に、雇用契約が成立したとは認められないとした原判決が維持された例
本件は、テレビ番組、コマーシャル映画等の制作会社である被控訴人ら八社に、エキストラとして出演した、有料職業紹介業者の会員である労働者(原告、控訴人)が、右有料職業紹介業者がエキストラ出演料を控訴人に支払う前に倒産したため、右エキストラ出演が控訴人と被控訴人らとの雇用契約によるものであると主張して出演料を請求したものである。