政府またはその機関が、国家公務員法27条7項に基づいて外国人教師との間で締結した契約は、民法上の | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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政府またはその機関が、国家公務員法27条7項に基づいて外国人教師との間で締結した契約は、民法上の雇用契約であると解されるとされた例

 

東京地方裁判所判決/平成10年(行ウ)第59号

平成11年5月25日

地位確認等請求事件

【判示事項】    1 政府またはその機関が、国家公務員法27条7項に基づいて外国人教師との間で締結した契約は、民法上の雇用契約であると解されるとされた例

2 国家公務員法2条7項に基づいて、政府またはその機関と契約を締結した外国人教師には、労基法が適用されるとされた例

3 国立大学長が外国人教師との間で締結した招へい期間を2年とする合意は、会計法上の制約から1年ごとに締結を繰り返しているものと解され、右合意は労基法14条には反しないとされた例

4 国立大学または国立短期大学の学長が、外国人教師との間で機関を定めない契約を締結することが全く予定されていないことが、労基法3条で禁止された国籍に基づく労働条件の差別に該当するということはできないとされた例

5 国立大学または国立短期大学の学長が、外国人教師との間で締結した雇用契約が1年である限りは、解雇権の濫用法理を類推できないが、招へい期間を2年とする合意をした場合には、招へい期間が経過する前に雇用契約に定められた契約期間満了により新たな雇用契約の締結を拒否しようとしても、終了したはずの雇用契約がなお存続しているといい得る余地があるとされた例

6 筑波大学長が、原告との間で締結した本件4回目の契約で、定められた契約期間満了後の新たな雇用契約の締結を拒否したとしても、解雇権の濫用法理を類推適用することはできず、また雇用契約がなお存続している余地はないとして、雇用契約は失効しているとされた例

【掲載誌】     労働判例776号69頁

 

国家公務員法

(一般職及び特別職)

第二条 国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ。

② 一般職は、特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含する。

③ 特別職は、次に掲げる職員の職とする。

一 内閣総理大臣

二 国務大臣

三 人事官及び検査官

四 内閣法制局長官

五 内閣官房副長官

五の二 内閣危機管理監

五の三 国家安全保障局長

五の四 内閣官房副長官補、内閣広報官及び内閣情報官

六 内閣総理大臣補佐官

七 副大臣

七の二 大臣政務官

七の三 大臣補佐官

七の四 デジタル監

八 内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの

九 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員

十 宮内庁長官、侍従長、東宮大夫、式部官長及び侍従次長並びに法律又は人事院規則で指定する宮内庁のその他の職員

十一 特命全権大使、特命全権公使、特派大使、政府代表、全権委員、政府代表又は全権委員の代理並びに特派大使、政府代表又は全権委員の顧問及び随員

十一の二 日本ユネスコ国内委員会の委員

十二 日本学士院会員

十二の二 日本学術会議会員

十三 裁判官及びその他の裁判所職員

十四 国会職員

十五 国会議員の秘書

十六 防衛省の職員(防衛省に置かれる合議制の機関で防衛省設置法(昭和二十九年法律第百六十四号)第四十一条の政令で定めるものの委員及び同法第四条第一項第二十四号又は第二十五号に掲げる事務に従事する職員で同法第四十一条の政令で定めるもののうち、人事院規則で指定するものを除く。)

十七 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人(以下「行政執行法人」という。)の役員

④ この法律の規定は、一般職に属するすべての職(以下その職を官職といい、その職を占める者を職員という。)に、これを適用する。人事院は、ある職が、国家公務員の職に属するかどうか及び本条に規定する一般職に属するか特別職に属するかを決定する権限を有する。

⑤ この法律の規定は、この法律の改正法律により、別段の定がなされない限り、特別職に属する職には、これを適用しない。

⑥ 政府は、一般職又は特別職以外の勤務者を置いてその勤務に対し俸給、給料その他の給与を支払つてはならない。

⑦ 前項の規定は、政府又はその機関と外国人の間に、個人的基礎においてなされる勤務の契約には適用されない。

 

労働基準法

(契約期間等)

第十四条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、五年)を超える期間について締結してはならない。

一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第四十一条の二第一項第一号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

② 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。

③ 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。