1 被告による同時再送信における著作物使用に関する契約に基づき,日脚連,シナリオ作家協会,音楽著 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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1 被告による同時再送信における著作物使用に関する契約に基づき,日脚連,シナリオ作家協会,音楽著作権協会,芸団協の原告らが,契約に定められた使用料の支払を請求した事案であり,被告は,契約自体の錯誤無効または著作権法違反であるなどとして争った。

2 有線放送による同時再送信について,実演家の著作隣接権に基づき対価を徴収することが可能であると誤信して締結したもので無効であり,芸団協を除く使用料等の請求権の一部は消滅時効に係っているとしたが,芸団協を除く原告らの請求を一部認容した。

 

東京地方裁判所判決/平成13年(ワ)第8592号、平成14年(ワ)第4002号、平成15年(ワ)第28981号

平成16年5月21日

著作権使用料請求事件

【判示事項】    1 被告による同時再送信における著作物使用に関する契約に基づき,日脚連,シナリオ作家協会,音楽著作権協会,芸団協の原告らが,契約に定められた使用料の支払を請求した事案であり,被告は,契約自体の錯誤無効または著作権法違反であるなどとして争った。

2 有線放送による同時再送信について,実演家の著作隣接権に基づき対価を徴収することが可能であると誤信して締結したもので無効であり,芸団協を除く使用料等の請求権の一部は消滅時効に係っているとしたが,芸団協を除く原告らの請求を一部認容した。

【掲載誌】     LLI/DB 判例秘書登載

       主   文

  1 被告は,甲事件原告協同組合X1に対し,4万7115円およびこれに対する平成13年5月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  2 被告は,甲事件原告協同組合X1,乙事件原告協同組合X2,乙事件原告社団法人X3および乙事件参加人に対し,101万1081円およびこれに対する平成13年5月15日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  3 被告は,甲事件原告協同組合X1,乙事件原告協同組合X2および乙事件参加人に対し,13万102円およびこれに対する平成13年5月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

  4 甲事件原告,乙事件原告ら(乙事件原告社団法人X4を除く。)および乙事件参加人のその余の請求を棄却する。

  5 乙事件原告社団法人X4の請求を棄却する。

  6 訴訟費用については,乙事件原告社団法人X4と被告の間に生じたものは同原告の負担とし,甲事件原告,その余の乙事件原告ら,乙事件脱退原告および乙事件参加人と被告の間に生じたものは,これを4分し,その3をこれらの原告ら(乙事件脱退原告を除く。)および乙事件参加人の,その余を被告の各負担とする。

  7 この判決の第1項ないし第3項は,仮に執行することができる。

       事実および理由

第1 請求

 1 被告は,甲事件原告協同組合X1,乙事件原告協同組合X2,乙事件原告社団法人X3,乙事件原告社団法人X4および乙事件参加人に対し,485万2224円およびこれに対する平成13年5月15日(甲事件原告協同組合X1の訴え(平成13年(ワ)第8592号)の訴状が被告に送達された日)から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 2 被告は,甲事件原告協同組合X1,乙事件原告協同組合X2,乙事件原告社団法人X4および乙事件参加人に対し,56万6092円およびこれに対する平成13年5月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

   本件は,甲事件原告,乙事件原告らおよび乙事件脱退原告と被告との間で締結された被告による同時再送信における著作物使用に関する契約に基づき,甲事件原告および乙事件原告らおよび乙事件参加人(以下,併せて「原告ら」という。)が,被告に対し,契約に定められた使用料(平成6年度から平成11年度分)の支払いを求めている事案である。

   原告らの主張に対し,被告は,①原告らは,著作権法上,被告によるテレビ番組の同時再送信について何らの権利を有していないのに,著作物使用に関する契約に基づき使用料を請求し得ると主張しているものであって,契約自体錯誤無効であるし,そうでなくとも原告らの請求は著作権法に反するものであるから認められない,②被告による同時再送信は,原告らが放送事業者に対して許諾した著作物の使用の範囲に含まれているものであって,そもそも原告らは被告に対して使用料等の請求をなし得る立場にないので,本件各契約はその要素に錯誤があり無効である,③原告らの請求は判例あるいは信義則に反する,④乙事件原告社団法人X4(以下「原告X4」という。)は,本来被告に対して著作隣接権を行使できる立場にないのに,同時再送信について著作隣接権を有するかのごとく被告を欺罔して契約を締結したものであるから,上記契約は,少なくとも原告X4に関する部分については詐欺により取り消されるべきものであるか,錯誤により無効である,⑤原告らの請求は,契約期間満了または消滅時効により認められない等と主張して争っている。

 1 前提となる事実関係(証拠により認定した事実については,末尾に証拠を掲げた。)

 (1)当事者

   ア 甲事件原告協同組合X1(以下「原告X1」という。原告X1の前身は,協同組合Cであるが,以下においては両者を区別することなく「原告X1」という。),乙事件原告協同組合X2(「以下「原告X2」という。),乙事件原告社団法人X3(以下「原告X3」という。)および乙事件参加人(以下「参加人」という。)は,著作権管理事業法に基づき文化庁長官の登録を受けた著作権等管理団体であり,著作物の管理等を行っている団体である(なお,原告X1,原告X2および原告X3は,平成13年10月1日の著作権等管理事業法施行前においては,著作権ニ関スル仲介業務ニ関スル法律(以下「仲介業務法」という。)に基づき著作権に関する仲介業務をなすことの許可を受けた著作権仲介団体であった。)。

     原告X4は,著作権法第95条,95条の3,104条の3に基づき,文化庁長官により「実演を業とする者の相当数を構成員とする団体」として指定を受けた団体である。

   イ 乙事件脱退原告社団法人X5(以下「脱退原告」という。)は,平成13年10月1日の著作権等管理事業法施行前においては,仲介業務法に基づき著作権に関する仲介業務を行うことの許可を受けた仲介業務団体であり,著作権等管理事業法施行後においては,同法に基づき文化庁長官の登録を受けた著作権管理団体であった。平成15年10月1日,参加人は,脱退原告から著作権管理業務と共に本件A契約および本件B契約(以下,両契約を併せて「本件各契約」という。)に基づき被告に対して有する債権を承継した。

     これに伴い,参加人は,民事訴訟法47条1項に基づき本件訴訟に参加し,脱退原告は,被告の同意を得て本件訴訟から脱退した。

   ウ 被告

     被告は,有線テレビジョン放送法(以下「有テレ法」という。)による放送事業等を目的として,昭和62年4月3日に設立された株式会社であり,平成元年9月8日,有テレ法3条に基づき,有線テレビジョン放送施設の設置について郵政大臣の許可を受け,平成2年10月28日からサービスを開始し,以後現在に至るまで,有線テレビジョン放送を継続して行う有線放送事業者である。

(後略)