1、政治資金規正法第23条第2項の罰則の解釈 2、同法第3条第8条にいわゆる「候補者」 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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1、政治資金規正法第23条第2項の罰則の解釈

2、同法第3条第8条にいわゆる「候補者」

3、同法第18条の解釈

 

札幌高判昭和29年4月17日 高等裁判所刑事判例集7巻3号391頁

政治資金規正法違反被告事件

【判示事項】 1、政治資金規正法第23条第2項の罰則の解釈

       2、同法第3条第8条にいわゆる「候補者」

       3、同法第18条の解釈

【判決要旨】 1、政治資金規正法第23条第2項の罰則は、代表者等を処罰するには必ずその前提要件として団体等が現実に処罰されることを要するものではなく、団体等に違反があつた場合には、その代表者等の責任者をも罰することができるものとしたものと解するのを相当とする。

2、同法第3条、第8条にいわゆる「候補者」とは、すべて届出後の候補者を指称するものであって、未だ立候補の届出を完了していない者、すなわち、「候補者たらんとする者」は右の候補者の中には含まない。

3、同法第18条は、団体の組織として支部独自の代表者または主斡者および会計責任者の定めがあり現実にある程度本部とは別に独自の意思決定に基いて政治活動をなす能力を有するものは、その団体としての実体に着目して本法の取締をなすべきものとしたのである。

【参照条文】 政治資金規正法23 、3 、8 、18

 

政治資金規正法

(定義等)

第三条 この法律において「政治団体」とは、次に掲げる団体をいう。

一 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体

二 特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対することを本来の目的とする団体

三 前二号に掲げるもののほか、次に掲げる活動をその主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体

イ 政治上の主義若しくは施策を推進し、支持し、又はこれに反対すること。

ロ 特定の公職の候補者を推薦し、支持し、又はこれに反対すること。

2 この法律において「政党」とは、政治団体のうち次の各号のいずれかに該当するものをいう。

一 当該政治団体に所属する衆議院議員又は参議院議員を五人以上有するもの

二 直近において行われた衆議院議員の総選挙における小選挙区選出議員の選挙若しくは比例代表選出議員の選挙又は直近において行われた参議院議員の通常選挙若しくは当該参議院議員の通常選挙の直近において行われた参議院議員の通常選挙における比例代表選出議員の選挙若しくは選挙区選出議員の選挙における当該政治団体の得票総数が当該選挙における有効投票の総数の百分の二以上であるもの

3 前項各号の規定は、他の政党(第六条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により政党である旨の届出をしたものに限る。)に所属している衆議院議員又は参議院議員が所属している政治団体については、適用しない。

4 この法律において「公職の候補者」とは、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)第八十六条の規定により候補者として届出があつた者、同法第八十六条の二若しくは第八十六条の三の規定による届出により候補者となつた者又は同法第八十六条の四の規定により候補者として届出があつた者(当該候補者となろうとする者及び同法第三条に規定する公職にある者を含む。)をいう。

5 第二項第一号に規定する衆議院議員又は参議院議員の数の算定、同項第二号に規定する政治団体の得票総数の算定その他同項の規定の適用について必要な事項は、政令で定める。

 

(届出前の寄附又は支出の禁止)

第八条 政治団体は、第六条第一項の規定による届出がされた後でなければ、政治活動(選挙運動を含む。)のために、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附を受け、又は支出をすることができない。

 

(政治団体の支部)

第十八条 政治団体(政治資金団体を除く。)が支部を有する場合には、当該政治団体の本部及び支部は、それぞれ一の政治団体とみなしてこの章の規定(これに係る罰則を含む。)を適用する。この場合において、第六条第五項、第六条の二、第七条の二第三項、第十四条(前条第四項において準用する場合を含む。)及び次条の規定は、当該政治団体の支部については適用がないものとし、第九条第一項第一号リ中「その他の収入」とあるのは「その他の収入(寄附並びにイ、ホ及びチの収入並びに第十八条第三項に規定する交付金以外の収入をいう。)」と、第十二条第一項第一号ヌ中「リの収入」とあるのは「リの収入並びに第十八条第四項に規定する交付金」とし、その他のこの章の規定の当該政治団体の本部及び支部についての適用に関し必要な技術的読替えその他必要な事項は、政令で定める。

2 前項の場合において、政治団体の支部が第十九条の七第二項に規定する政党の支部であるときは、当該政治団体の支部は、第六条及び第六条の三から第七条の二までの規定の適用については、それぞれ一の第十九条の七第一項第一号に係る国会議員関係政治団体とみなす。

3 第一項の場合において、政治団体の会計責任者は、第九条第一項の規定による会計帳簿の記載をするときは、当該政治団体の本部又は支部から供与された交付金に係る収入について、その本部又は支部の名称及び主たる事務所の所在地並びに当該交付金の金額及び年月日を併せて記載しなければならない。

4 第一項の場合において、政治団体の会計責任者は、第十二条第一項又は前条第一項の規定による報告書の記載をするときは、当該政治団体の本部若しくは支部から供与された交付金に係る収入又は当該政治団体の本部若しくは支部に対して供与した交付金に係る支出について、その総額及び次に掲げる事項を併せて記載しなければならない。

一 当該政治団体の本部又は支部から供与された交付金に係る収入については、その本部又は支部の名称及び主たる事務所の所在地並びに当該交付金の金額及び年月日

二 当該政治団体の本部又は支部に対して供与した交付金に係る支出については、その本部又は支部の名称及び主たる事務所の所在地、総務省令で定める項目の別並びに当該交付金の金額及び年月日

5 第一項の場合において、政治団体の本部は、当該政治団体の支部が解散したときは、当該支部の代表者及び会計責任者であつた者に代わつて、前条第一項の規定による届出をすることができる。この場合においては、当該政治団体の本部は、当該支部の代表者及び会計責任者であつた者に対し、当該届出をした旨を通知しなければならない。

 

第二十三条 政治団体が第八条の規定に違反して寄附を受け又は支出をしたときは、当該政治団体の役職員又は構成員として当該違反行為をした者は、五年以下の禁錮こ又は百万円以下の罰金に処する。