協同組合の専務理事につき、定款で、「専務理事は理事長を補佐して本組合の業務を執行し、理事長に事故 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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協同組合の専務理事につき、定款で、「専務理事は理事長を補佐して本組合の業務を執行し、理事長に事故のあったときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。」旨定めている場合において、右専務理事の地位にある者は、本来、法人の目的である事業の遂行に専念すべき者であって、使用人としての立場と両立し得ない職制上の地位にあるといえるから、実際の職務内容いかんにかかわらず、法人税法35条5項、同法施行令71条1項1号にいう専務理事に該当し、同人に支給された賞与を損金に算入することは許されないとした事例

 

 

              法人税更正処分等取消請求事件

【事件番号】      岡山地方裁判所判決/昭和62年(行ウ)第9号

【判決日付】      昭和63年12月20日

【判示事項】      協同組合の専務理事につき、定款で、「専務理事は理事長を補佐して本組合の業務を執行し、理事長に事故のあったときはその職務を代理し、理事長が欠員のときはその職務を行う。」旨定めている場合において、右専務理事の地位にある者は、本来、法人の目的である事業の遂行に専念すべき者であって、使用人としての立場と両立し得ない職制上の地位にあるといえるから、実際の職務内容いかんにかかわらず、法人税法35条5項、同法施行令71条1項1号にいう専務理事に該当し、同人に支給された賞与を損金に算入することは許されないとした事例

【掲載誌】        行政事件裁判例集39巻12号1555頁

 

法人税法

第三目 役員の給与等

(役員給与の損金不算入)

第三十四条 内国法人がその役員に対して支給する給与(退職給与で業績連動給与に該当しないもの、使用人としての職務を有する役員に対して支給する当該職務に対するもの及び第三項の規定の適用があるものを除く。以下この項において同じ。)のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

一 その支給時期が一月以下の一定の期間ごとである給与(次号イにおいて「定期給与」という。)で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるものその他これに準ずるものとして政令で定める給与(同号において「定期同額給与」という。)

二 その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭又は確定した数の株式(出資を含む。以下この項及び第五項において同じ。)若しくは新株予約権若しくは確定した額の金銭債権に係る第五十四条第一項(譲渡制限付株式を対価とする費用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式若しくは第五十四条の二第一項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないもの(当該株式若しくは当該特定譲渡制限付株式に係る第五十四条第一項に規定する承継譲渡制限付株式又は当該新株予約権若しくは当該特定新株予約権に係る第五十四条の二第一項に規定する承継新株予約権による給与を含むものとし、次に掲げる場合に該当する場合にはそれぞれ次に定める要件を満たすものに限る。)

イ その給与が定期給与を支給しない役員に対して支給する給与(同族会社に該当しない内国法人が支給する給与で金銭によるものに限る。)以外の給与(株式又は新株予約権による給与で、将来の役務の提供に係るものとして政令で定めるものを除く。)である場合 政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関する届出をしていること。

ロ 株式を交付する場合 当該株式が市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格株式」という。)であること。

ハ 新株予約権を交付する場合 当該新株予約権がその行使により市場価格のある株式が交付される新株予約権(当該内国法人又は関係法人が発行したものに限る。次号において「適格新株予約権」という。)であること。

三 内国法人(同族会社にあつては、同族会社以外の法人との間に当該法人による完全支配関係があるものに限る。)がその業務執行役員(業務を執行する役員として政令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)に対して支給する業績連動給与(金銭以外の資産が交付されるものにあつては、適格株式又は適格新株予約権が交付されるものに限る。)で、次に掲げる要件を満たすもの(他の業務執行役員の全てに対して次に掲げる要件を満たす業績連動給与を支給する場合に限る。)

イ 交付される金銭の額若しくは株式若しくは新株予約権の数又は交付される新株予約権の数のうち無償で取得され、若しくは消滅する数の算定方法が、その給与に係る職務を執行する期間の開始の日(イにおいて「職務執行期間開始日」という。)以後に終了する事業年度の利益の状況を示す指標(利益の額、利益の額に有価証券報告書(金融商品取引法第二十四条第一項(有価証券報告書の提出)に規定する有価証券報告書をいう。イにおいて同じ。)に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の利益に関する指標として政令で定めるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。イにおいて同じ。)、職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以後の所定の期間若しくは職務執行期間開始日以後の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標(当該内国法人又は当該内国法人との間に完全支配関係がある法人の株式の市場価格又はその平均値その他の株式の市場価格に関する指標として政令で定めるものに限る。イにおいて同じ。)又は職務執行期間開始日以後に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標(売上高、売上高に有価証券報告書に記載されるべき事項による調整を加えた指標その他の売上高に関する指標として政令で定めるもののうち、利益の状況を示す指標又は株式の市場価格の状況を示す指標と同時に用いられるもので、有価証券報告書に記載されるものに限る。)を基礎とした客観的なもの(次に掲げる要件を満たすものに限る。)であること。

(1) 金銭による給与にあつては確定した額を、株式又は新株予約権による給与にあつては確定した数を、それぞれ限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業績連動給与に係る算定方法と同様のものであること。

(2) 政令で定める日までに、会社法第四百四条第三項(指名委員会等の権限等)の報酬委員会(その委員の過半数が当該内国法人の同法第二条第十五号(定義)に規定する社外取締役のうち職務の独立性が確保された者として政令で定める者((2)において「独立社外取締役」という。)であるものに限るものとし、当該内国法人の業務執行役員と政令で定める特殊の関係のある者がその委員であるものを除く。)が決定(当該報酬委員会の委員である独立社外取締役の全員が当該決定に係る当該報酬委員会の決議に賛成している場合における当該決定に限る。)をしていることその他の政令で定める適正な手続を経ていること。

(3) その内容が、(2)の政令で定める適正な手続の終了の日以後遅滞なく、有価証券報告書に記載されていることその他財務省令で定める方法により開示されていること。

ロ その他政令で定める要件

2 内国法人がその役員に対して支給する給与(前項又は次項の規定の適用があるものを除く。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

3 内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

4 前三項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。

5 第一項に規定する業績連動給与とは、利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の同項の内国法人又は当該内国法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与及び第五十四条第一項に規定する特定譲渡制限付株式若しくは承継譲渡制限付株式又は第五十四条の二第一項に規定する特定新株予約権若しくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、又は消滅する株式又は新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動するものをいう。

6 第一項に規定する使用人としての職務を有する役員とは、役員(社長、理事長その他政令で定めるものを除く。)のうち、部長、課長その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事するものをいう。

7 第一項第二号ロ及びハに規定する関係法人とは、同項の内国法人との間に支配関係がある法人として政令で定める法人をいう。

8 第四項から前項までに定めるもののほか、第一項から第三項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第三十五条 削除

(過大な使用人給与の損金不算入)

第三十六条 内国法人がその役員と政令で定める特殊の関係のある使用人に対して支給する給与(債務の免除による利益その他の経済的な利益を含む。)の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。

 

法人税法35条は、批判があり、産駒所されましたが、法人税法施行令71条は実質的に残っています。

 

法人税法施行令

(使用人兼務役員とされない役員)

第七十一条 法第三十四条第六項(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める役員は、次に掲げる役員とする。

一 代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人

二 副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員

三 合名会社、合資会社及び合同会社の業務を執行する社員

四 取締役(指名委員会等設置会社の取締役及び監査等委員である取締役に限る。)、会計参与及び監査役並びに監事

五 前各号に掲げるもののほか、同族会社の役員のうち次に掲げる要件の全てを満たしている者

イ 当該会社の株主グループにつきその所有割合が最も大きいものから順次その順位を付し、その第一順位の株主グループ(同順位の株主グループが二以上ある場合には、その全ての株主グループ。イにおいて同じ。)の所有割合を算定し、又はこれに順次第二順位及び第三順位の株主グループの所有割合を加算した場合において、当該役員が次に掲げる株主グループのいずれかに属していること。

(1) 第一順位の株主グループの所有割合が百分の五十を超える場合における当該株主グループ

(2) 第一順位及び第二順位の株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて百分の五十を超えるときにおけるこれらの株主グループ

(3) 第一順位から第三順位までの株主グループの所有割合を合計した場合にその所有割合がはじめて百分の五十を超えるときにおけるこれらの株主グループ

ロ 当該役員の属する株主グループの当該会社に係る所有割合が百分の十を超えていること。

ハ 当該役員(その配偶者及びこれらの者の所有割合が百分の五十を超える場合における他の会社を含む。)の当該会社に係る所有割合が百分の五を超えていること。

2 前項第五号に規定する株主グループとは、その会社の一の株主等(その会社が自己の株式又は出資を有する場合のその会社を除く。)並びに当該株主等と法第二条第十号(定義)に規定する特殊の関係のある個人及び法人をいう。

3 第一項第五号に規定する所有割合とは、その会社がその株主等の有する株式又は出資の数又は金額による判定により同族会社に該当する場合にはその株主グループ(前項に規定する株主グループをいう。以下この項において同じ。)の有する株式の数又は出資の金額の合計額がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額のうちに占める割合をいい、その会社が第四条第三項第二号イからニまで(同族関係者の範囲)に掲げる議決権による判定により同族会社に該当することとなる場合にはその株主グループの有する当該議決権の数がその会社の当該議決権の総数(当該議決権を行使することができない株主等が有する当該議決権の数を除く。)のうちに占める割合をいい、その会社が社員又は業務を執行する社員の数による判定により同族会社に該当する場合にはその株主グループに属する社員又は業務を執行する社員の数がその会社の社員又は業務を執行する社員の総数のうちに占める割合をいう。

4 第四条第六項の規定は、前項の規定を適用する場合について準用する。