商法違反(特別背任)罪における背任目的の主従と同罪の成否 商法違反(特別背任)被告事件 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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商法違反(特別背任)罪における背任目的の主従と同罪の成否

 

 

              商法違反(特別背任)被告事件

【事件番号】      最高裁判所第2小法廷決定/昭和32年(あ)第2459号

【判決日付】      昭和35年8月12日

【判示事項】      1、商法違反(特別背任)罪における背任目的の主従と同罪の成否

             2、商法違反(特別背任)罪における背任目的の変更と訴因変更手続の要否

【判決要旨】     1、主として第三者に不法に融資して自己の利益を図る目的がある以上、たとえ従として右融資により本人のため事故金を回収してその補填を図る目的があったとしても、なお商法第486条第1項違反(特別背任)罪の成立を免れない。

             2、商法第486条第1項違反(特別背任)罪につき、「第三者の利益を図る目的をもって」という訴因を、判決で「自己の利益を図る目的をもって」と変更して認定するには、訴因変更の手続を必要としない。

【参照条文】      商法486-1

             刑事訴訟法312

【掲載誌】        最高裁判所刑事判例集14巻10号1360頁

 

会社法

(取締役等の特別背任罪)

第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 発起人

二 設立時取締役又は設立時監査役

三 取締役、会計参与、監査役又は執行役

四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者

五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者

六 支配人

七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人

八 検査役

2 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は清算株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該清算株式会社に財産上の損害を加えたときも、前項と同様とする。

一 清算株式会社の清算人

二 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された清算株式会社の清算人の職務を代行する者

三 第四百七十九条第四項において準用する第三百四十六条第二項又は第四百八十三条第六項において準用する第三百五十一条第二項の規定により選任された一時清算人又は代表清算人の職務を行うべき者

四 清算人代理

五 監督委員

六 調査委員

(代表社債権者等の特別背任罪)

第九百六十一条 代表社債権者又は決議執行者(第七百三十七条第二項に規定する決議執行者をいう。以下同じ。)が、自己若しくは第三者の利益を図り又は社債権者に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、社債権者に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

(未遂罪)

第九百六十二条 前二条の罪の未遂は、罰する。

 

刑事訴訟法

第三百十二条 裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、起訴状に記載された訴因又は罰条の追加、撤回又は変更を許さなければならない。

② 裁判所は、審理の経過に鑑み適当と認めるときは、訴因又は罰条を追加又は変更すべきことを命ずることができる。

③ 第一項の請求は、書面を提出してしなければならない。

④ 検察官は、第一項の請求と同時に、被告人に送達するものとして、前項の書面(以下「訴因変更等請求書面」という。)の謄本を裁判所に提出しなければならない。

⑤ 裁判所は、前項の規定による訴因変更等請求書面の謄本の提出があつたときは、遅滞なくこれを被告人に送達しなければならない。

⑥ 第三項の規定にかかわらず、被告人が在廷する公判廷においては、第一項の請求は、口頭ですることができる。この場合においては、第四項の規定は、適用しない。

⑦ 裁判所は、訴因又は罰条の追加又は変更により被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあると認めるときは、被告人又は弁護人の請求により、決定で、被告人に十分な防御の準備をさせるため必要な期間公判手続を停止しなければならない。