土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報が旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報が旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの)10条2号所定の非開示情報に当たらないとされた事例

2 土地開発公社が土地を買収した際に個人に対して支払った建物、工作物、動産、植栽等に係る補償金の額に関する情報が旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの)10条2号所定の非開示情報に当たるとされた事例

 

 

最3小判平成17年10月11日裁判集民事218号1頁 判タ1195号104頁 判時1913号45頁 

【判決要旨】 1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報は、公有地の拡大の推進に関する法律(平成16年法律第66号による改正前のもの)7条の適用により、同価格が地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条の規定による公示価格を規準として算定されたなど判示の事実関係の下においては、旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの)10条2号イの「公表することを目的として実施機関が作成し、または取得した情報」に当たり、同号所定の非開示情報に当たらない。

2 土地開発公社が土地を買収した際に個人に対して支払った建物、工作物、動産、植栽等に係る補償金の額に関する情報は、建物の内部の構造、使用資材、施工態様、損耗の状況等の詳細および上記個人がどのような工作物、動産、植栽等を有するかが一般人に明らかになっているものではないなど判示の事情の下においては、旧奈良県情報公開条例(平成8年奈良県条例第28号。平成13年奈良県条例第38号による全部改正前のもの)10条2号所定の非開示情報に当たる。

【参照条文】 奈良県情報公開条例(平8奈良県条例28号。平13奈良県条例38号全部改正前)10

       公有地の拡大の推進に関する法律(平16法66号改正前)7

       地価公示法(平11法160号改正前)2-1 、6

       地価公示法2-2(標準地の価格の判定等) 

 

公有地の拡大の推進に関する法律

(土地の買取価格)

第七条 地方公共団体等は、届出等に係る土地を買い取る場合には、地価公示法(昭和四十四年法律第四十九号)第六条の規定による公示価格を規準として算定した価格(当該土地が同法第二条第一項の公示区域以外の区域内に所在するときは、近傍類地の取引価格等を考慮して算定した当該土地の相当な価格)をもつてその価格としなければならない。

 

地価公示法

(標準地の価格の判定等)

第二条 土地鑑定委員会は、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第四条第二項に規定する都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域(国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号)第十二条第一項の規定により指定された規制区域を除く。以下「公示区域」という。)内の標準地について、毎年一回、国土交通省令で定めるところにより、二人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行つて、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示するものとする。

2 前項の「正常な価格」とは、土地について、自由な取引が行なわれるとした場合におけるその取引(農地、採草放牧地又は森林の取引(農地、採草放牧地及び森林以外のものとするための取引を除く。)を除く。)において通常成立すると認められる価格(当該土地に建物その他の定着物がある場合又は当該土地に関して地上権その他当該土地の使用若しくは収益を制限する権利が存する場合には、これらの定着物又は権利が存しないものとして通常成立すると認められる価格)をいう。

 

(標準地の価格等の公示)

第六条 土地鑑定委員会は、第二条第一項の規定により標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは、すみやかに、次に掲げる事項を官報で公示しなければならない。

一 標準地の所在の郡、市、区、町村及び字並びに地番

二 標準地の単位面積当たりの価格及び価格判定の基準日

三 標準地の地積及び形状

四 標準地及びその周辺の土地の利用の現況

五 その他国土交通省令で定める事項