公職選挙法13条等による衆議院議員の定数配分に関する定めは、昭和55年6月22日の衆議院議員選挙 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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公職選挙法13条等による衆議院議員の定数配分に関する定めは、昭和55年6月22日の衆議院議員選挙当時、憲法14条1項、15条1項、3項44条但し書に違反していたものと断定することはできない。

 

選挙無効請求事件

最高裁判所大法廷判決/昭和56年(行ツ)第57号

【判決日付】 昭和58年11月7日

『昭和58年重要判例解説』憲法事件

【判示事項】 公職選挙法13条等による衆議院議員の定数配分に関する定めの合憲性

【判決要旨】 公職選挙法13条等による衆議院議員の定数配分に関する定めは、昭和55年6月22日の衆議院議員選挙当時、憲法14条1項、15条1項、3項44条但し書に違反していたものと断定することはできない。(補足意見及び反対意見がある。)

 横井、安岡両裁判官は、定数配分規定は50年改正の当時から違憲であったと解される(安岡裁判官は、右改正時においても、選挙区間における議員1人当たりの人口又は選挙人数の比率の最大のものは、現実には、1対3を超えていたと。

 判断されている)。

反対意見の立場から、横井裁判官は、右比率の最大値が1対2を超える定数配分は憲法上許されないとされ、中村、安岡両裁判官は、右比率の最大値が1対3を超えるときは、投票価値の不平等が国会の有する裁量権の限界を超えるものと推定すべきであるとされる)。

  団藤、中村、谷口、木戸口の4裁判官は、本件選挙当時、投票価値の不平等につき合理的期間内における是正がされなかったものとして定数配分規定を違憲と断定すべきであるとされる点で、多数意見と見解を異にされる。

【参照条文】 憲法14-1

       憲法15-1

       憲法15-3

       憲法44

       公職選挙法13

       公職選挙法別表1

       公職選挙法附則7

       公職選挙法附則8

       公職選挙法附則9

【掲載誌】  最高裁判所民事判例集37巻9号1243頁

 

公職選挙法

(衆議院議員の選挙区)

第十三条 衆議院(小選挙区選出)議員の選挙区は、別表第一で定め、各選挙区において選挙すべき議員の数は、一人とする。

2 衆議院(比例代表選出)議員の選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数は、別表第二で定める。

3 別表第一に掲げる行政区画その他の区域に変更があつても、衆議院(小選挙区選出)議員の選挙区は、なお従前の区域による。ただし、二以上の選挙区にわたつて市町村の境界変更があつたときは、この限りでない。

4 前項ただし書の場合において、当該市町村の境界変更に係る区域の新たに属することとなつた市町村が二以上の選挙区に分かれているときは、当該区域の選挙区の所属については、政令で定める。

5 衆議院(比例代表選出)議員の二以上の選挙区にわたつて市町村の廃置分合が行われたときは、第二項の規定にかかわらず、別表第一が最初に更正されるまでの間は、衆議院(比例代表選出)議員の選挙区は、なお従前の区域による。

6 地方自治法第六条の二第一項の規定による都道府県の廃置分合があつても、衆議院(比例代表選出)議員の選挙区は、なお従前の区域による。

7 別表第二は、国勢調査(統計法(平成十九年法律第五十三号)第五条第二項本文の規定により十年ごとに行われる国勢調査に限る。以下この項において同じ。)の結果によつて、更正することを例とする。この場合において、各選挙区の議員数は、各選挙区の人口(最近の国勢調査の結果による日本国民の人口をいう。以下この項において同じ。)を比例代表基準除数(その除数で各選挙区の人口を除して得た数(一未満の端数が生じたときは、これを一に切り上げるものとする。)の合計数が第四条第一項に規定する衆議院比例代表選出議員の定数に相当する数と合致することとなる除数をいう。)で除して得た数(一未満の端数が生じたときは、これを一に切り上げるものとする。)とする。

 

憲法

第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

② 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

③ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

② すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

③ 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

④ すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

 

第四十四条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。