ゴルフ場の建設は、ゴルフ場開場後も当分の間は債務超過の状態が継続するのが通常であるといえ、本格的 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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ゴルフ場の建設は、ゴルフ場開場後も当分の間は債務超過の状態が継続するのが通常であるといえ、本格的に収益の計上を開始する三年ないし五年後の状況を見なければ、債務超過の状況が相当期間継続し、当該債務の弁済が不可能であるか否か(法人税基本通達九-六-一)及び債務者の資産状況、支払能力等からみて、債権の全額が回収できないものか否か(同通達九-六-二)は明らかにならないというべきであるとされた事例(


法人税更正処分等取消請求控訴事件
【事件番号】    東京高等裁判所判決/平成5年(行コ)第94号
【判決日付】    平成7年5月30日
【判示事項】    (1) ゴルフ場の建設は、ゴルフ場開場後も当分の間は債務超過の状態が継続するのが通常であるといえ、本格的に収益の計上を開始する三年ないし五年後の状況を見なければ、債務超過の状況が相当期間継続し、当該債務の弁済が不可能であるか否か(法人税基本通達九-六-一)及び債務者の資産状況、支払能力等からみて、債権の全額が回収できないものか否か(同通達九-六-二)は明らかにならないというべきであるとされた事例(原審判決引用)
          (2) 法人税基本通達九-四-一(子会社等を整理する場合の損失負担)の趣旨(原審判決引用)
          (3) 青色申告法人にかかる更正に理由附記を要する根拠
          (4) 更正の通知書に記載された更正理由は、法人税法一三〇条(青色申告書に係る更正)二項の要求する更正理由として不備があり、更正に理由付記する趣旨に沿った十分な記載がされていないとの控訴人会社の主張が、更正理由の記載内容は、課税庁の判断を抑制する趣旨からも、処分の相手方たる控訴人会社に不服申立ての便宜を与える趣旨からも法人税法所定の更正理由の記載として十分であるとして排斥された事例
          (5) 法人税基本通達九-六-一(貸金等の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)によれば、債権額が貸倒れとして損金の額に算入されるためには、債務超過の状態が相当期間継続し、その貸金等の弁済を受けることができないと認められることが必要であるから、特定時点の計算書類の数額が債務超過の状態を示していることのみをもって、直ちに同規定に該当するということはできないとされた事例
          (6) 法人税基本通達九-六-二(回収不能の貸金等の貸倒れ)にいう債務者の資産状況の判断にあたっては、特定時点の計算書類の数額はひとつの判断資料になるが、それが決定的な意味を持つものではないと解され、同規定の支払能力を判断するについても、その財産のみならず、信用や労力を考慮すべきであるとされた事例
          (7) 債務超過の状況が相当期間継続し、当該債務の弁済が不能であるとし、あるいは、資産状況、支払能力等からみて、債権金額の回収不能が明らかであるということはできず、また債権放棄に相当な理由があるということもできないから、本件債権放棄にかかる金額を寄付金と認定したことは相当であるとされた事例
【判決要旨】    (1) 省略
          (2) 法人税基本通達九-四-一は、子会社の整理等の場合において、親会社が株主有限責任の原理を理由にその責任を回避することが社会的に許されないという状況が生じる場合があり(例えば、子会社の解散にあたり、その雇用者の退職金の支給できない状態であれば、親会社が退職金の源資を援助しなければならない状況が生じうる。)、その責任を果たすために親会社が損失の負担(右の例でいえば、退職金の源資の援助がこれにあたる。)をしたとすれば、これをもって、任意の、事実上の必要と離れて行われる単純な贈与等とは同視できないから、親会社自らが生き残るために必要不可欠なものとして負担した損失については、それが今後より大きな損失の生ずることを回避するためにやむを得ず行われたものであり、それが社会通念上も妥当なものとして是認されるような事情にあるときは、これを寄付金の額に該当しないものとするのである。
          (3) 法人税法一三〇条二項が青色申告に係る法人税について更正をする場合には更正通知書に更正の理由を附記すべきものとしているのは、同法が、青色申告制度を採用し、青色申告にかかる所得の計算については、それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障した趣旨にかんがみ、更正処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきである(最高裁判所昭和六〇年四月二三日判決、民集三九巻三号八五〇頁)。
          (4)~(7) 省略
【掲載誌】     税務訴訟資料209号940頁


法人税法33,22,37
第二款 各事業年度の所得の金額の計算の通則
第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。
2 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
二 前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
4 第二項に規定する当該事業年度の収益の額及び前項各号に掲げる額は、別段の定めがあるものを除き、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。
5 第二項又は第三項に規定する資本等取引とは、法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引並びに法人が行う利益又は剰余金の分配(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含む。)及び残余財産の分配又は引渡しをいう。

第二目 資産の評価損
第三十三条 内国法人がその有する資産の評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 内国法人の有する資産につき、災害による著しい損傷により当該資産の価額がその帳簿価額を下回ることとなつたことその他の政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人が当該資産の評価換えをして損金経理によりその帳簿価額を減額したときは、その減額した部分の金額のうち、その評価換えの直前の当該資産の帳簿価額とその評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額との差額に達するまでの金額は、前項の規定にかかわらず、その評価換えをした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
3 内国法人がその有する資産につき更生計画認可の決定があつたことにより会社更生法又は金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定に従つて行う評価換えをしてその帳簿価額を減額した場合には、その減額した部分の金額は、第一項の規定にかかわらず、その評価換えをした日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
4 内国法人について再生計画認可の決定があつたことその他これに準ずる政令で定める事実が生じた場合において、その内国法人がその有する資産の価額につき政令で定める評定を行つているときは、その資産(評価損の計上に適しないものとして政令で定めるものを除く。)の評価損の額として政令で定める金額は、第一項の規定にかかわらず、これらの事実が生じた日の属する事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
5 前三項の内国法人がこれらの内国法人との間に完全支配関係がある他の内国法人で政令で定めるものの株式又は出資を有する場合における当該株式又は出資及びこれらの規定の内国法人が通算法人である場合におけるこれらの内国法人が有する他の通算法人(第六十四条の五(損益通算)の規定の適用を受けない法人として政令で定める法人及び通算親法人を除く。)の株式又は出資については、前三項の規定は、適用しない。
6 第一項の規定の適用があつた場合において、同項の評価換えにより減額された金額を損金の額に算入されなかつた資産については、その評価換えをした日の属する事業年度以後の各事業年度の所得の金額の計算上、当該資産の帳簿価額は、その減額がされなかつたものとみなす。
7 第四項の規定は、確定申告書に同項に規定する評価損の額として政令で定める金額の損金算入に関する明細(次項において「評価損明細」という。)の記載があり、かつ、財務省令で定める書類(次項において「評価損関係書類」という。)の添付がある場合(第二十五条第三項(資産の評価益)に規定する資産につき同項に規定する評価益の額として政令で定める金額がある場合(次項において「評価益がある場合」という。)には、同条第六項に規定する評価益明細(次項において「評価益明細」という。)の記載及び同条第六項に規定する評価益関係書類(次項において「評価益関係書類」という。)の添付がある場合に限る。)に限り、適用する。
8 税務署長は、評価損明細(評価益がある場合には、評価損明細又は評価益明細)の記載又は評価損関係書類(評価益がある場合には、評価損関係書類又は評価益関係書類)の添付がない確定申告書の提出があつた場合においても、当該記載又は当該添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第四項の規定を適用することができる。
9 前三項に定めるもののほか、第一項から第五項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(寄附金の損金不算入)
第三十七条 内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2 内国法人が各事業年度において当該内国法人との間に完全支配関係(法人による完全支配関係に限る。)がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額(第二十五条の二(受贈益)の規定の適用がないものとした場合に当該他の内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入される同条第二項に規定する受贈益の額に対応するものに限る。)は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
3 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。
一 国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額
二 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額
イ 広く一般に募集されること。
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
4 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等(別表第二に掲げる一般社団法人、一般財団法人及び労働者協同組合を除く。以下この項及び次項において同じ。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(出資に関する業務に充てられることが明らかなもの及び前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える場合には、当該計算した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。
5 公益法人等がその収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業のために支出した金額(公益社団法人又は公益財団法人にあつては、その収益事業に属する資産のうちからその収益事業以外の事業で公益に関する事業として政令で定める事業に該当するもののために支出した金額)は、その収益事業に係る寄附金の額とみなして、第一項の規定を適用する。ただし、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることにより支出した金額については、この限りでない。
6 内国法人が特定公益信託(公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条(公益信託)に規定する公益信託で信託の終了の時における信託財産がその信託財産に係る信託の委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき政令で定める要件を満たすものであることについて政令で定めるところにより証明がされたものをいう。)の信託財産とするために支出した金銭の額は、寄附金の額とみなして第一項、第四項、第九項及び第十項の規定を適用する。この場合において、第四項中「)の額」とあるのは、「)の額(第六項に規定する特定公益信託のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭の額を含む。)」とするほか、この項の規定の適用を受けるための手続に関し必要な事項は、政令で定める。
7 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
8 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
9 第三項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第三項各号に掲げる寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付がある場合に限り、第四項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない第四項に規定する寄附金の額及び当該寄附金の明細を記載した書類の添付があり、かつ、当該書類に記載された寄附金が同項に規定する寄附金に該当することを証する書類として財務省令で定める書類を保存している場合に限り、適用する。この場合において、第三項又は第四項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されない金額は、当該金額として記載された金額を限度とする。
10 税務署長は、第四項の規定により第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入されないこととなる金額の全部又は一部につき前項に規定する財務省令で定める書類の保存がない場合においても、その書類の保存がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、その書類の保存がなかつた金額につき第四項の規定を適用することができる。
11 財務大臣は、第三項第二号の指定をしたときは、これを告示する。
12 第五項から前項までに定めるもののほか、第一項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。