損益通算の可否の判断にあたり、リゾート地に所在するホテルのオーナーズルームが、所得税法施行令178条1項2号に定める「保養の用に供する目的で所有するもの」に該当するか否かについて、納税者の利用回数は少ないものの、本件物件の立地条件、本件物件よりオーナーが受ける特典や本件物件の利用実績からすれば、納税者に保養の目的があったと認めざるを得ないとされた事例
課税処分取消請求控訴事件
【事件番号】 仙台高等裁判所判決/平成12年(行コ)第1号
【判決日付】 平成13年4月24日
【判示事項】 (1) 損益通算の可否の判断にあたり、リゾート地に所在するホテルのオーナーズルームが、所得税法施行令178条1項2号に定める「保養の用に供する目的で所有するもの」に該当するか否かについて、納税者の利用回数は少ないものの、本件物件の立地条件、本件物件よりオーナーが受ける特典や本件物件の利用実績からすれば、納税者に保養の目的があったと認めざるを得ないとされた事例
(2) 損益通算の可否の判断にあたり、リゾート地に所在するホテルのオーナーズルームについて、不動産投資の事業目的で所有していたものであり、損益通算の対象となるとの納税者の主張が、本件物件は、賃料額が不確定で廉価に押さえられている一方、オーナーには高額な一定額の管理費負担を余儀なくされており、オーナーは賃料収入による利益を目当てに当該客室を購入することは考え難く、本件物件に係る管理費その他の支出ないし負担は、賃料収入獲得に供される性質のものではなく、所得獲得とは無縁の家事費的ないし余剰所得の処分的性質のものと解するのが相当であり、損益通算の対象とすべきではないとして排斥された事例
(3) 損益通算の可否の判断にあたり、納税者が所有する市街地のマンション等の賃貸収入については損益通算の対象となるのに、リゾート地に所在するホテルのオーナーズルームについて、対象とならないのは不合理であるとの納税者の主張が、市街地のマンション等については、納税者において使用の余地がなく、賃貸借の内容も一般的なものであって、オーナーズルームとの相違は明らかであるとして、排斥された事例
(4) 所得税施行令178条1項2号に定める「保養の用に供する目的で所有するもの」の判断基準
【判決要旨】 (1)~(3) 省略
(4) 所得税施行令178条1項2号に定める「保養の用に供する目的で所有するもの」に該当するか否かについて判断するにあたり、保養が主たる目的ではなく、将来の値上がり利益や節税目的(損益通算をする目的)が主たる目的となるかを検討するに、近い将来確実に転売して利益を得ることを目的としているという場合(不動産販売の事業目的の場合)以外は、転売利益は将来転売した時点で現実化する不確定的な収入ないし利益であるにすぎず、これが本件物件に係る支出ないし負担の経済的性質を決定するものとはいえないから、本件物件の主たる所有目的を左右するものではない(いわば、主たる所有目的に付随する目的にすぎないといえる。)。損益通算する目的についても、「生活に通常必要でない不動産」か否かを判断するためその資産の所有目的を客観的に認定しようとする際に、その所有目的如何によって決せられる節税効果を得ることを判断要素とすることは本末転倒というべきであって相当でないから、節税効果に注目して取得したかどうかという点は、納税者の本件物件の所有目的を認定する際に考慮に入れることはできないというべきである。
【掲載誌】 税務訴訟資料250号順号8884
所得税法施行令
(生活に通常必要でない資産の災害による損失額の計算等)
第百七十八条 法第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する政令で定めるものは、次に掲げる資産とする。
一 競走馬(その規模、収益の状況その他の事情に照らし事業と認められるものの用に供されるものを除く。)その他射こう的行為の手段となる動産
二 通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽又は保養の用に供する目的で所有するものその他主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する資産(前号又は次号に掲げる動産を除く。)
三 生活の用に供する動産で第二十五条(譲渡所得について非課税とされる生活用動産の範囲)の規定に該当しないもの
2 法第六十二条第一項の規定により、同項に規定する生活に通常必要でない資産について受けた同項に規定する損失の金額をその生じた日の属する年分及びその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす場合には、次に定めるところによる。
一 まず、当該損失の金額をその生じた日の属する年分の法第三十三条第三項第一号(譲渡所得)に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とし、当該所得の金額の計算上控除しきれない損失の金額があるときは、これを当該年分の同項第二号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とする。
二 前号の規定によりなお控除しきれない損失の金額があるときは、これをその生じた日の属する年の翌年分の法第三十三条第三項第一号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とし、なお控除しきれない損失の金額があるときは、これを当該翌年分の同項第二号に掲げる所得の金額の計算上控除すべき金額とする。
3 法第六十二条第一項に規定する生活に通常必要でない資産について受けた損失の金額の計算の基礎となるその資産の価額は、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に掲げる金額とする。
一 法第三十八条第一項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)に規定する資産(次号に掲げるものを除く。) 当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして同項の規定(その資産が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していたものである場合には、法第六十一条第二項(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の取得費)の規定)を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額
二 法第三十八条第二項に規定する資産 当該損失の生じた日にその資産の譲渡があつたものとみなして同項の規定(その資産が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していたものである場合には、法第六十一条第三項の規定)を適用した場合にその資産の取得費とされる金額に相当する金額