妻(フランス国籍)から夫(イギリス国籍)に対する、離婚及び子(イギリス、フランスの二重国籍)の親 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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妻(フランス国籍)から夫(イギリス国籍)に対する、離婚及び子(イギリス、フランスの二重国籍)の親権者指定調停申立事件において、相手方の住所地国を日本として我が国に国際裁判管轄権を認め、離婚については、法例16条、14条により夫婦に最も密接な関係がある地を日本として我が国の民法を適用し、親権者の指定については、法例28条1項、21条により子に最も密接な関係がある国をイギリスとして、同国法を適用した事例


    夫婦関係調整調停申立事件
【事件番号】    水戸家庭裁判所審判/平成2年(家イ)第565号
【判決日付】    平成3年3月4日
【判示事項】    1 妻(フランス国籍)から夫(イギリス国籍)に対する、離婚及び子(イギリス、フランスの二重国籍)の親権者指定調停申立事件において、相手方の住所地国を日本として我が国に国際裁判管轄権を認め、離婚については、法例16条、14条により夫婦に最も密接な関係がある地を日本として我が国の民法を適用し、親権者の指定については、法例28条1項、21条により子に最も密接な関係がある国をイギリスとして、同国法を適用した事例
          2 上記の調停申立事件において、離婚及び親権者を相手方父と指定する旨の合意はあるが、離婚の準拠法である日本民法とは異なり、親権者指定についての準拠法であるイギリス法には協議ないし調停離婚制度がないから、離婚と併せて親権者の指定をなすには調停で行うのは相当でないとして、家事審判法24条により調停に代わる審判をした事例
【参照条文】    法例14
          法例16
          法例21
          法例28-1
          家事審判法24
【掲載誌】     家庭裁判月報45巻12号57頁

平成十八年法律第七十八号
法の適用に関する通則法
(離婚)
第二十七条 第二十五条の規定は、離婚について準用する。ただし、夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは、離婚は、日本法による。

(婚姻の効力)
第二十五条 婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。

(親子間の法律関係)
第三十二条 親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法(父母の一方が死亡し、又は知れない場合にあっては、他の一方の本国法)と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法による。

平成二十三年法律第五十二号
家事事件手続法
(調停に代わる審判の対象及び要件)
第二百八十四条 家庭裁判所は、調停が成立しない場合において相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で、事件の解決のため必要な審判(以下「調停に代わる審判」という。)をすることができる。ただし、第二百七十七条第一項に規定する事項についての家事調停の手続においては、この限りでない。
2 家事調停の手続が調停委員会で行われている場合において、調停に代わる審判をするときは、家庭裁判所は、その調停委員会を組織する家事調停委員の意見を聴かなければならない。
3 家庭裁判所は、調停に代わる審判において、当事者に対し、子の引渡し又は金銭の支払その他の財産上の給付その他の給付を命ずることができる。