業として金融機関から貸付先に対する貸付債権をバルクセールにおいて大量・一括に譲り受けて当該債権の回収を図る場合と弁護士法73条およびサービサー法3条違反の成否(消極)
東京地方裁判所判決/平成20年(ワ)第23846号
平成21年12月25日
譲受債権請求事件
【判示事項】 業として金融機関から貸付先に対する貸付債権をいわゆるバルクセールにおいて大量・一括に譲り受けて当該債権の回収を図る場合と弁護士法73条および債権管理回収に関する特別措置法3条違反の成否(消極)
【判決要旨】 業として金融機関から貸付先に対する貸付債権をいわゆるバルクセールにおいて大量・一括に譲り受けて当該債権の回収を図る場合であっても、金融機関が行う不良債権処理のためのバルクセールは正常な経済取引として認知されているところ、その金融機関がいわゆる政策金融機関として公的な存在であったことに加え、当該バルクセールに係る契約には社会的に不相当な定めはなく、また、債権の譲受人の連絡先として弁護士が表示されていて、これによって訴訟を誘発したり、紛議を助長したりすることにつながるような事情も認められないときは、弁護士法73条に違反するものではなく、そうである以上、債権管理回収に関する特別措置法3条違反が問題となる余地もない。
【参照条文】 民法466
弁護士法73
【掲載誌】 金融・商事判例1333号60頁
弁護士法
(譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止)
第七十三条 何人も、他人の権利を譲り受けて、訴訟、調停、和解その他の手段によつて、その権利の実行をすることを業とすることができない。
債権管理回収業に関する特別措置法
(目的)
第一条 この法律は、特定金銭債権の処理が喫緊の課題となっている状況にかんがみ、許可制度を実施することにより弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)の特例として債権回収会社が業として特定金銭債権の管理及び回収を行うことができるようにするとともに、債権回収会社について必要な規制を行うことによりその業務の適正な運営の確保を図り、もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。