本件は、株式会社である控訴人が、その従業員持株会であるA持株会から、貸付金321億2973万5400円につき控訴人の発行済株式793万3268株により代物弁済を受けたところ、処分行政庁から、当該代物弁済により消滅した債権のうち、取得した株式に対応する資本等の金額を超える部分281億4184万0242円は「みなし配当」(所得税法25条1項柱書及び5号)に該当し、控訴人には所得税法181条1項に基づく源泉徴収義務があるとされて、原判決別表「課税の経緯(源泉所得税)」のとおり、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を受けたので、被控訴人に対し、みなし配当に当たらない等と主張してこれらの処分の取消しを求める事案である。
所得税納税告知処分取消等請求控訴事件
【事件番号】 大阪高等裁判所判決
【判決日付】 平成24年2月16日
【掲載誌】 税務訴訟資料262号順号11882
【評釈論文】 税理56巻14号129頁
税理56巻15号96頁
税理57巻1号100頁
所得税法
(配当等とみなす金額)
第二十五条 法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この項において同じ。)の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(同条第十二号の十五に規定する適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の同条第十六号に規定する資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は金銭の分配とみなす。
一 当該法人の合併(法人課税信託に係る信託の併合を含むものとし、法人税法第二条第十二号の八に規定する適格合併を除く。)
二 当該法人の分割型分割(法人税法第二条第十二号の十二に規定する適格分割型分割を除く。)
三 当該法人の株式分配(法人税法第二条第十二号の十五の三に規定する適格株式分配を除く。)
四 当該法人の資本の払戻し(株式に係る剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち分割型分割によるもの及び株式分配以外のもの並びに出資等減少分配をいう。)又は当該法人の解散による残余財産の分配
五 当該法人の自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第五十七条の四第三項第一号から第三号まで(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)
六 当該法人の出資の消却(取得した出資について行うものを除く。)、当該法人の出資の払戻し、当該法人からの社員その他の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又は当該法人の株式若しくは出資を当該法人が取得することなく消滅させること。
七 当該法人の組織変更(当該組織変更に際して当該組織変更をした当該法人の株式又は出資以外の資産を交付したものに限る。)
2 合併法人(法人税法第二条第十二号に規定する合併法人をいう。以下この項において同じ。)又は分割法人(同条第十二号の二に規定する分割法人をいう。以下この項において同じ。)が被合併法人(同条第十一号に規定する被合併法人をいう。)の株主等又は当該分割法人の株主等に対し合併又は分割型分割により株式(出資を含む。以下この項において同じ。)その他の資産の交付をしなかつた場合においても、当該合併又は分割型分割が合併法人又は分割承継法人(同条第十二号の三に規定する分割承継法人をいう。以下この項において同じ。)の株式の交付が省略されたと認められる合併又は分割型分割として政令で定めるものに該当するときは、政令で定めるところによりこれらの株主等が当該合併法人又は分割承継法人の株式の交付を受けたものとみなして、前項の規定を適用する。
3 第一項に規定する株式又は出資に対応する部分の金額の計算の方法その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(源泉徴収義務)
第百八十三条 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
2 法人の法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から一年を経過した日までにその支払がされない場合には、その一年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 処分行政庁が平成19年2月6日付けでした控訴人の平成16年7月分の源泉徴収にかかる所得税納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分を取り消す。
第2 事案の概要
1 本件は、株式会社である控訴人が、その従業員持株会であるA持株会から、貸付金321億2973万5400円につき控訴人の発行済株式793万3268株により代物弁済を受けたところ、処分行政庁から、当該代物弁済により消滅した債権のうち、取得した株式に対応する資本等の金額を超える部分281億4184万0242円は「みなし配当」(所得税法25条1項柱書及び5号)に該当し、控訴人には所得税法181条1項に基づく源泉徴収義務があるとされて、原判決別表「課税の経緯(源泉所得税)」のとおり、源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分を受けたので、被控訴人に対し、みなし配当に当たらない等と主張してこれらの処分の取消しを求める事案である。
原審は、控訴人の請求をいずれも棄却した。そこで、控訴人は、これを不服として控訴した。