1、普通財産たる国有財産の管理処分行為の性質 2、国有林野整備臨時措置法1条による国有林野の | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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 1、普通財産たる国有財産の管理処分行為の性質

2、国有林野整備臨時措置法1条による国有林野の売払は行政処分か

 

東京高判昭和30年11月25日高等裁判所民事判例集8巻9号657頁 行政事件裁判例集6巻12号2938頁  訟務月報2巻1号104頁

【判決要旨】 1、現行国有財産法上普通財産の管理処分行為については、国有財産たる特異性に鑑み特別な制限規定を設けているが、この行為の性質は対外的には原則として私法行為に属するものと解すべきである。

2、国有林野整備臨時措置法1条1項は、単に形式上企業用財産(要存置林野、行政財産)になっているものであっても、実質上は「国が経営することを必要としないもの」を処分することを定めているのであって、実質的には普通財産に該当する林野を処分しようとするものであり、なおその処分の相手方、処分の対象たる国有林野、売払または交換の優先順位等につきその要件を法定しているのも、一般普通財産の管理処分に関する特別の制限規定とその趣旨において別異に解すべき根拠なく、その他同法並びにその附属法令中にも右売払、交換を以て行政処分としていると解すべき規定がないのみならず、かえって国有林野の管理処分庁が右売払、交換の相手方と対等の立場に立って双方の意思の合致により成立する私法上の契約によって行わるべきことを前提としていることは明らかである。

【参照条文】 国有財産法20-1(処分等)

       国有林野法2、8

       国有林野整備臨時措置法1、5

       国有林野整備臨時措置法施行規則2、3、4

 

国有財産法

(処分等)

第二十条 普通財産は、第二十一条から第三十一条までの規定により貸し付け、管理を委託し、交換し、売り払い、譲与し、信託し、又は私権を設定することができる。

2 普通財産は、法律で特別の定めをした場合に限り、出資の目的とすることができる。

 

国有林野の管理経営に関する法律

(定義)

第二条 この法律において「国有林野」とは、次に掲げるものをいう。

一 国の所有に属する森林原野であつて、国において森林経営の用に供し、又は供するものと決定したもの

二 国の所有に属する森林原野であつて、国民の福祉のための考慮に基づき森林経営の用に供されなくなり、国有財産法第三条第三項の普通財産となつているもの(同法第四条第二項の所管換又は同条第三項の所属替をされたものを除く。)

2 この法律において「国有林野事業」とは、国有林野の管理経営(国有林野と一体として整備及び保全を行うことが相当と認められる民有林野の整備及び保全であつて、国が行うものを含む。以下同じ。)の事業をいう。

 

第八条 第二条第一項第二号の国有林野を売り払い、貸し付け、又は使用させようとする場合において、次に掲げる者からその買受け、借受け又は使用の申請があつたときは、これを他に優先させなければならない。

一 当該林野を公用、公共用又は公益事業の用に供する者

二 当該林野を基本財産に充てる地方公共団体

三 当該林野に特別の縁故がある者で農林水産省令で定めるもの

四 当該林野をその所在する地方の農山漁村の産業の用に供する者