国家公務員法100条1項にいう「秘密」の意義
国家公務員法違反被告事件
【事件番号】 最高裁判所第2小法廷決定/昭和48年(あ)第2716号
【判決日付】 昭和52年12月19日
【判示事項】 1、国家公務員法100条1項にいう「秘密」の意義
2、国家公務員法100条1項にいう「秘密」にあたるとされた事例
【判決要旨】 1、国家公務員法100条1項にいう「秘密」とは、非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに価すると認められるものをいい、国家機関が単にある事項につき形式的に秘扱の指定をしただけでは足りない。
2、大阪国税局が事業所得者に対する課税事務を行う際の推計等の資料とするため作成した本件「営業庶業等所得標準率表」及び「所得業種目別効率表」(原判文参照)は、国家公務員法100条1項にいう「秘密」にあたる。
【参照条文】 国家公務員法100-1
国家公務員法109
【掲載誌】 最高裁判所刑事判例集31巻7号1053頁
国家公務員法
(秘密を守る義務)
第百条 職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。
② 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長(退職者については、その退職した官職又はこれに相当する官職の所轄庁の長)の許可を要する。
③ 前項の許可は、法律又は政令の定める条件及び手続に係る場合を除いては、これを拒むことができない。
④ 前三項の規定は、人事院で扱われる調査又は審理の際人事院から求められる情報に関しては、これを適用しない。何人も、人事院の権限によつて行われる調査又は審理に際して、秘密の又は公表を制限された情報を陳述し又は証言することを人事院から求められた場合には、何人からも許可を受ける必要がない。人事院が正式に要求した情報について、人事院に対して、陳述及び証言を行わなかつた者は、この法律の罰則の適用を受けなければならない。
⑤ 前項の規定は、第十八条の四の規定により権限の委任を受けた再就職等監視委員会が行う調査について準用する。この場合において、同項中「人事院」とあるのは「再就職等監視委員会」と、「調査又は審理」とあるのは「調査」と読み替えるものとする。
第四章 罰則
第百九条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第七条第三項の規定に違反して任命を受諾した者
二 第八条第三項の規定に違反して故意に人事官を罷免しなかつた閣員
三 人事官の欠員を生じた後六十日以内に人事官を任命しなかつた閣員(此の期間内に両議院の同意を経なかつた場合には此の限りでない。)
四 第十五条の規定に違反して官職を兼ねた者
五 第十六条第二項の規定に違反して故意に人事院規則及びその改廃を官報に掲載することを怠つた者
六 第十九条の規定に違反して故意に人事記録の作成、保管又は改訂をしなかつた者
七 第二十条の規定に違反して故意に報告しなかつた者
八 第二十七条の規定に違反して差別をした者
九 第四十七条第三項の規定に違反して採用試験の公告を怠り又はこれを抑止した職員
十 第八十三条第一項の規定に違反して停職を命じた者
十一 第九十二条の規定によつてなされる人事院の判定、処置又は指示に故意に従わなかつた者
十二 第百条第一項若しくは第二項又は第百六条の十二第一項の規定に違反して秘密を漏らした者
十三 第百三条の規定に違反して営利企業の地位についた者
十四 離職後二年を経過するまでの間に、離職前五年間に在職していた局等組織に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であつて離職前五年間の職務に属するものに関し、職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した再就職者
十五 国家行政組織法第二十一条第一項に規定する部長若しくは課長の職又はこれらに準ずる職であつて政令で定めるものに離職した日の五年前の日より前に就いていた者であつて、離職後二年を経過するまでの間に、当該職に就いていた時に在職していた局等組織に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であつて離職した日の五年前の日より前の職務(当該職に就いていたときの職務に限る。)に属するものに関し、職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した再就職者
十六 国家行政組織法第六条に規定する長官、同法第十八条第一項に規定する事務次官、同法第二十一条第一項に規定する事務局長若しくは局長の職又はこれらに準ずる職であつて政令で定めるものに就いていた者であつて、離職後二年を経過するまでの間に、局長等としての在職機関に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であつて局長等としての在職機関の所掌に属するものに関し、職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した再就職者
十七 在職していた府省その他の政令で定める国の機関、行政執行法人若しくは都道府県警察(以下この号において「行政機関等」という。)に属する役職員又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、国、行政執行法人若しくは都道府県と営利企業等(再就職者が現にその地位に就いているものに限る。)若しくはその子法人との間の契約であつて当該行政機関等においてその締結について自らが決定したもの又は当該行政機関等による当該営利企業等若しくはその子法人に対する行政手続法第二条第二号に規定する処分であつて自らが決定したものに関し、職務上不正な行為をするように、又は相当の行為をしないように要求し、又は依頼した再就職者
十八 第十四号から前号までに掲げる再就職者から要求又は依頼(独立行政法人通則法第五十四条第一項において準用する第十四号から前号までに掲げる要求又は依頼を含む。)を受けた職員であつて、当該要求又は依頼を受けたことを理由として、職務上不正な行為をし、又は相当の行為をしなかつた者