特定商取引法の令和3年改正その3 第4章 クーリングオフの対象となる6つの取引類型と書面の交付義 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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第4章 クーリングオフの対象となる6つの取引類型と書面の交付義務

特定商取引法上、クーリングオフが適用される取引類型としては、以下の6つのパターンが定められています。これらの6類型に該当する契約をする際には、事業者は法律で定められた一定の事項を明記した書類を消費者に対して交付することが義務付けられています(特定商取引法第4条ほか)。

 

各取引類型で必要な書類

①概要書面…連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘因販売取引の場合に交付が必要

②申込書面…訪問販売・電話勧誘販売・訪問購入の場合に交付が必要

③契約書面…下記6類型すべての場合で交付が必要

 

これまで、これらの書面は紙媒体によるものの交付しか認められていませんでした。しかし、2023年6月1日からは一定の条件を満たすことで、紙の書面ではなく電子ファイルなどによって提供することが可能になります。

 

取引類型              説明       概要書面              申込書面              契約書面

①    訪問販売       

②    事業者が消費者の自宅等を訪問し、商品などの販売やサービスの提供を行う契約をする取引のこと。

キャッチセールス、アポイントメントセールスも該当する。

【参考】訪問販売(消費者庁 特定商取引法ガイド)                                        

②電話勧誘販売  

事業者が消費者に対して電話をかける等して勧誘し、申込みを受ける形態の取引のこと。

一度電話を切った後に、消費者が郵便・電話などによって申込みを行う場合も該当する。                                         

③    訪問購入       

④    骨とう品や貴金属、ピアノ、バイクなどを買い取るため消費者の自宅まで事業者が訪問し、買取り契約を締結する取引のこと                           

④特定継続的役務提供     

長期・継続的なサービスの提供と、これに対する高額の対価を約する取引のこと。

現在、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7つが対象となっている。

⑤    連鎖販売取引

個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせるという形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品(権利)・サービスの取引のこと。「マルチ商法」ともいいます。

【参考】連鎖販売取引(消費者庁 特定商取引法ガイド)                                 

⑥業務提供誘因販売取引  

「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で消費者を誘引し、仕事に必要であるとして、商品等を売って金銭負担を負わせる取引のこと。

いわゆる「内職商法」、あるいは「サイドビジネス商法」といわれる販売形態のことで、副業や在宅での仕事をあっせんする代わりに、仕事上必要だからという名目で何かを販売したりサービスに加入させたりするパターンがこれに該当します。

【参考】業務提供誘因販売取引(消費者庁 特定商取引法ガイド)