区分所有建物の専有部分の占有者に対する引渡請求をするための集会決議と当該専有部分の区別所有者に対 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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区分所有建物の専有部分の占有者に対する引渡請求をするための集会決議と当該専有部分の区別所有者に対して弁明の機会を与えることの要否


    建物の区分所有等に関する法律第60条に基づく建物賃貸借契約解除・専有部分引渡請求事件
【事件番号】    最高裁判所第2小法廷判決/昭和62年(オ)第444号
【判決日付】    昭和62年7月17日
【判示事項】    一、区分所有建物の専有部分の占有者に対する引渡請求をするための集会決議と当該専有部分の区別所有者に対して弁明の機会を与えることの要否
          二、区分所有建物の専有部分の占有者に対する引渡し請求が認容された事例
          (「マンション山手ハイム」訴訟上告審判決)
【判決要旨】    一、建物の区分所有等に関する法律60条1項に基づき、占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求する訴えを提起する前提として、集会の決議をするには、予め当該占有者に対して弁明の機会を与えれば足り、当該専有部分の区分所有者に対して弁明を与えることを要しない。
          二、分譲マンションの1室の賃借人である暴力団組長が組員を伴ってマンションに出入りするため、他の入居者は、恐怖感、不快感を覚え、更に暴力団間の対立抗争に巻き込まれる虞があって身体、生命の危険にさらされているなど、原判決説示の事情があるときは、建物の区分所有等に関する法律60条1項に基づく占有者に対する引渡し請求の実体的要件がある。
【参照条文】    建物の区分所有等に関する法律60-2
          建物の区分所有等に関する法律58-3
          建物の区分所有等に関する法律60-1
【掲載誌】     最高裁判所裁判集民事151号583頁
          判例タイムズ644号97頁
          判例時報1243号28頁
          金融法務事情1169号30頁

建物の区分所有等に関する法律
(使用禁止の請求)
第五十八条 前条第一項に規定する場合において、第六条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、前条第一項に規定する請求によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、他の区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、相当の期間の当該行為に係る区分所有者による専有部分の使用の禁止を請求することができる。
2 前項の決議は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数でする。
3 第一項の決議をするには、あらかじめ、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければならない。
4 前条第三項の規定は、第一項の訴えの提起に準用する。

(占有者に対する引渡し請求)
第六十条 第五十七条第四項に規定する場合において、第六条第三項において準用する同条第一項に規定する行為による区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他の方法によつてはその障害を除去して共用部分の利用の確保その他の区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるときは、区分所有者の全員又は管理組合法人は、集会の決議に基づき、訴えをもつて、当該行為に係る占有者が占有する専有部分の使用又は収益を目的とする契約の解除及びその専有部分の引渡しを請求することができる。
2 第五十七条第三項の規定は前項の訴えの提起に、第五十八条第二項及び第三項の規定は前項の決議に準用する。
3 第一項の規定による判決に基づき専有部分の引渡しを受けた者は、遅滞なく、その専有部分を占有する権原を有する者にこれを引き渡さなければならない。