映画フィルム・リース事件・映画に投資を行う名目で結成された民法上の組合が購入したとされる映画が同 | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属

映画フィルム・リース事件・映画に投資を行う名目で結成された民法上の組合が購入したとされる映画が同組合の組合員である法人の法人税の計算において法人税法(平成13年改正前)31条1項所定の減価償却資産に当たらないとされた事例

 

 

              法人税更正処分取消等請求事件

【事件番号】      最高裁判所第3小法廷判決/平成12年(行ヒ)第133号

【判決日付】      平成18年1月24日

【判示事項】      映画に投資を行う名目で結成された民法上の組合が購入したとされる映画が同組合の組合員である法人の法人税の計算において法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)31条1項所定の減価償却資産に当たらないとされた事例

【判決要旨】      外国の映画制作会社が制作した映画に投資を行う名目で結成された民法上の組合が,外国銀行からの借入金及び組合員の出資金を原資として,当該映画の所有権等を取得する旨の契約を締結すると同時に,当該映画の配給権を配給会社に付与する旨の配給契約を締結した場合において,当該配給契約により当該映画に関する権利のほとんどが配給会社に移転され,当該組合は実質的には当該映画についての使用収益権限及び処分権限を失っていること,当該組合は当該映画の購入資金の約4分の3を占める借入金の返済について実質的な危険を負担しない地位にあることなど判示の事情の下においては,当該映画は,当該組合の事業において収益を生む源泉であるとみることはできず,当該組合の組合員である法人の法人税の計算において法人税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)31条1項所定の減価償却資産に当たらない。

【参照条文】      法人税法(平13法6号改正前)2

             法人税法(平13法6号改正前)31-1

             法人税法施行令(平12政令145号改正前)13

【掲載誌】        最高裁判所民事判例集60巻1号252頁

 

事案の概要

 1 本件は,いわゆる「フィルム・リース」事件と呼ばれる事案であり,原告が,契約上は所有権を取得したとされる映画につき,その減価償却費を損金算入したところ,課税庁がこれを認めず更正処分をしたことから,当該処分の適否が問題となったものである。

 本件の事実関係の概要は以下のとおりである。まず,法人たる投資家が集まって民法上の組合を結成する。組合は,各組合員の自己資金と,組合が外国の金融機関から借り入れた借入金とを原資として,外国の映画会社が制作した映画を購入する。そして,税法上は,当該映画が,各組合員において固定資産と扱われ,減価償却が2年という短期間で行えることを利用して,各組合員は,多額の黒字が出る事業年度において,減価償却費の損金算入を行う。本件では,原告は,組合結成に当たり自己資金として1億円余を支払い,映画について19分の1の持分を取得したが,その持分に対応する約4億円の減価償却費の損金算入をすることが可能となった。その結果,最初に負担した自己資金を上回る額の税額が圧縮されることとなる。他方,組合は,外国法人である映画配給会社との間で配給契約を締結し,当該映画の興行などに必要な極めて広範な権利を移転したが,当該映画配給会社は当該映画を制作した会社との間で第二次配給契約を締結して上記の権利をさらに移転し,結局は,当該映画制作会社のもとで実際の興行等が行われることとなる。そして,組合や組合員は,映画の興行による収益のあげ方について関与することができないが,組合の借り入れた借入金については,第三者によつてその返済が保証されており,実質的には組合員がその返済の責任を負うことはない。さらに,組合員は,映画の名前や内容も知らずに投資を行っており,映画が興行等によって生むであろう収益については全く関心を有していない。

 2 以上のとおり,本件では,契約上は,組合が映画の所有権を取得するとされており,税法上は,その組合員においてその減価償却費の損金算入ができることとなっているので,一見すると,減価償却費の損金算入は当然可能であるということとなる。そこで,これを否認することができるのか,できるとした場合にその根拠をどこに求めるかという点が問題となった。

 この点,課税庁は,「事実認定ないし法律構成による否認」という考え方を主張した。これは,当事者の契約の内容を合理的に解釈すると,映画を購入する旨の売買契約が存在するにもかかわらず,実質的には,資金を融資したにすぎず,映画の所有権を真に取得したものではないと解釈すベきであるとして,私法上の契約のレベルで解決しようとするものであり,本件の原審の判示もそれに従ったものであった。しかしながら,このような考え方については,例えば同族会社の行為・計算の否認の規定のような明文の法律の根拠がある場合は別として,私法上は有効に成立した契約の内容を法律の根拠なく否認することは,租税法律主義の観点から見て問題があるという批判があった。

 本判決は,本件を,上記のような私法上の契約のレベルではなく,法人税法の解釈として解決しようとするものであり,判決要旨記載のとおり判示して,本件組合が本件映画に関する所有権その他の権利を取得したとしても,本件の事情のもとでは,本件映画は,組合の事業において収益を生む源泉であるとみることはできず,組合の事業の用に供しているものではないことから,法人税法31条で償却費の損金算入が認められている減価償却資産には当たらないと判示し,原審の判断を結論において是認できるとしたものである。

 

 

法人税法

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 国内 この法律の施行地をいう。

二 国外 この法律の施行地外の地域をいう。

三 内国法人 国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。

四 外国法人 内国法人以外の法人をいう。

五 公共法人 別表第一に掲げる法人をいう。

六 公益法人等 別表第二に掲げる法人をいう。

七 協同組合等 別表第三に掲げる法人をいう。

八 人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。

九 普通法人 第五号から第七号までに掲げる法人以外の法人をいい、人格のない社団等を含まない。

九の二 非営利型法人 一般社団法人又は一般財団法人(公益社団法人又は公益財団法人を除く。)のうち、次に掲げるものをいう。

イ その行う事業により利益を得ること又はその得た利益を分配することを目的としない法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの

ロ その会員から受け入れる会費により当該会員に共通する利益を図るための事業を行う法人であつてその事業を運営するための組織が適正であるものとして政令で定めるもの

十 同族会社 会社(投資法人を含む。以下この号において同じ。)の株主等(その会社が自己の株式(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第十四項(定義)に規定する投資口を含む。以下同じ。)又は出資を有する場合のその会社を除く。)の三人以下並びにこれらと政令で定める特殊の関係のある個人及び法人がその会社の発行済株式又は出資(その会社が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の百分の五十を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合その他政令で定める場合におけるその会社をいう。

十一 被合併法人 合併によりその有する資産及び負債の移転を行つた法人をいう。

十二 合併法人 合併により被合併法人から資産及び負債の移転を受けた法人をいう。

十二の二 分割法人 分割によりその有する資産又は負債の移転を行つた法人をいう。

十二の三 分割承継法人 分割により分割法人から資産又は負債の移転を受けた法人をいう。

十二の四 現物出資法人 現物出資によりその有する資産の移転を行い、又はこれと併せてその有する負債の移転を行つた法人をいう。

十二の五 被現物出資法人 現物出資により現物出資法人から資産の移転を受け、又はこれと併せて負債の移転を受けた法人をいう。

十二の五の二 現物分配法人 現物分配(法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。)がその株主等に対し当該法人の次に掲げる事由により金銭以外の資産の交付をすることをいう。以下この条において同じ。)によりその有する資産の移転を行つた法人をいう。

イ 剰余金の配当(株式又は出資に係るものに限るものとし、分割型分割によるものを除く。)若しくは利益の配当(分割型分割によるものを除く。)又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。)

ロ 解散による残余財産の分配

ハ 第二十四条第一項第五号から第七号まで(配当等の額とみなす金額)に掲げる事由

十二の五の三 被現物分配法人 現物分配により現物分配法人から資産の移転を受けた法人をいう。

十二の六 株式交換完全子法人 株式交換によりその株主の有する株式を他の法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。

十二の六の二 株式交換等完全子法人 株式交換完全子法人及び株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六に規定する対象法人をいう。

十二の六の三 株式交換完全親法人 株式交換により他の法人の株式を取得したことによつて当該法人の発行済株式の全部を有することとなつた法人をいう。

十二の六の四 株式交換等完全親法人 株式交換完全親法人並びに株式交換等(株式交換を除く。)に係る第十二号の十六イ及びロに規定する最大株主等である法人並びに同号ハの一の株主等である法人をいう。

十二の六の五 株式移転完全子法人 株式移転によりその株主の有する株式を当該株式移転により設立された法人に取得させた当該株式を発行した法人をいう。

十二の六の六 株式移転完全親法人 株式移転により他の法人の発行済株式の全部を取得した当該株式移転により設立された法人をいう。

十二の六の七 通算親法人 第六十四条の九第一項(通算承認)に規定する親法人であつて同項の規定による承認を受けたものをいう。

十二の七 通算子法人 第六十四条の九第二項に規定する他の内国法人であつて同条第一項の規定による承認を受けたものをいう。

十二の七の二 通算法人 通算親法人及び通算子法人をいう。

十二の七の三 投資法人 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十二項に規定する投資法人をいう。

十二の七の四 特定目的会社 資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第三項(定義)に規定する特定目的会社をいう。

十二の七の五 支配関係 一の者が法人の発行済株式若しくは出資(当該法人が有する自己の株式又は出資を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の総数若しくは総額の百分の五十を超える数若しくは金額の株式若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいう。

十二の七の六 完全支配関係 一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の完全支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係をいう。

十二の七の七 通算完全支配関係 通算親法人と通算子法人との間の完全支配関係(第六十四条の九第一項に規定する政令で定める関係に限る。以下この号において同じ。)又は通算親法人との間に完全支配関係がある通算子法人相互の関係をいう。

十二の八 適格合併 次のいずれかに該当する合併で被合併法人の株主等に合併法人又は合併親法人(合併法人との間に当該合併法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式又は出資以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当等(株式又は出資に係る剰余金の配当、利益の配当又は剰余金の分配をいう。)として交付される金銭その他の資産、合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産及び合併の直前において合併法人が被合併法人の発行済株式等の総数又は総額の三分の二以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する場合における当該合併法人以外の株主等に交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。

イ その合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が法人を設立する合併(以下この号において「新設合併」という。)である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併

ロ その合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該合併のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの

(1) 当該合併に係る被合併法人の当該合併の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該合併後に当該合併に係る合併法人の業務(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該合併後に行われる適格合併により当該被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。

(2) 当該合併に係る被合併法人の当該合併前に行う主要な事業が当該合併後に当該合併に係る合併法人(当該合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該合併後に行われる適格合併により当該主要な事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該適格合併に係る合併法人及び当該適格合併に係る合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。

ハ その合併に係る被合併法人と合併法人(当該合併が新設合併である場合にあつては、当該被合併法人と他の被合併法人)とが共同で事業を行うための合併として政令で定めるもの

十二の九 分割型分割 次に掲げる分割をいう。

イ 分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産(分割により分割承継法人によつて交付される当該分割承継法人の株式(出資を含む。以下第十二号の十七までにおいて同じ。)その他の資産をいう。以下第十二号の十一までにおいて同じ。)の全てが当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付される場合又は分割により分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される場合のこれらの分割

ロ 分割対価資産がない分割(以下この号及び次号において「無対価分割」という。)で、その分割の直前において、分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合又は分割法人が分割承継法人の株式を保有していない場合の当該無対価分割

十二の十 分社型分割 次に掲げる分割をいう。

イ 分割により分割法人が交付を受ける分割対価資産が当該分割の日において当該分割法人の株主等に交付されない場合の当該分割(無対価分割を除く。)

ロ 無対価分割で、その分割の直前において分割法人が分割承継法人の株式を保有している場合(分割承継法人が分割法人の発行済株式等の全部を保有している場合を除く。)の当該無対価分割

十二の十一 適格分割 次のいずれかに該当する分割で分割対価資産として分割承継法人又は分割承継親法人(分割承継法人との間に当該分割承継法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産が交付されないもの(当該株式が交付される分割型分割にあつては、当該株式が分割法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該分割法人の各株主等の有する当該分割法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。

イ その分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割

ロ その分割に係る分割法人と分割承継法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該分割のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの

(1) 当該分割により分割事業(分割法人の分割前に行う事業のうち、当該分割により分割承継法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該分割承継法人に移転していること。

(2) 当該分割の直前の分割事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該分割後に当該分割承継法人の業務(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。

(3) 当該分割に係る分割事業が当該分割後に当該分割承継法人(当該分割承継法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該分割後に行われる適格合併により当該分割事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。

ハ その分割に係る分割法人と分割承継法人(当該分割が法人を設立する分割である場合にあつては、当該分割法人と他の分割法人)とが共同で事業を行うための分割として政令で定めるもの

ニ その分割(一の法人のみが分割法人となる分割型分割に限る。)に係る分割法人の当該分割前に行う事業を当該分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割として政令で定めるもの

十二の十二 適格分割型分割 分割型分割のうち適格分割に該当するものをいう。

十二の十三 適格分社型分割 分社型分割のうち適格分割に該当するものをいう。

十二の十四 適格現物出資 次のいずれかに該当する現物出資(外国法人に国内にある資産又は負債として政令で定める資産又は負債(以下この号において「国内資産等」という。)の移転を行うもの(当該国内資産等の全部が当該外国法人の恒久的施設に属するものとして政令で定めるものを除く。)、外国法人が内国法人又は他の外国法人に国外にある資産又は負債として政令で定める資産又は負債(以下この号において「国外資産等」という。)の移転を行うもの(当該他の外国法人に国外資産等の移転を行うものにあつては、当該国外資産等が当該他の外国法人の恒久的施設に属するものとして政令で定めるものに限る。)及び内国法人が外国法人に国外資産等の移転を行うもので当該国外資産等の全部又は一部が当該外国法人の恒久的施設に属しないもの(国内資産等の移転を行うものに準ずるものとして政令で定めるものに限る。)並びに新株予約権付社債に付された新株予約権の行使に伴う当該新株予約権付社債についての社債の給付を除き、現物出資法人に被現物出資法人の株式のみが交付されるものに限る。)をいう。

イ その現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資

ロ その現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該現物出資のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの

(1) 当該現物出資により現物出資事業(現物出資法人の現物出資前に行う事業のうち、当該現物出資により被現物出資法人において行われることとなるものをいう。ロにおいて同じ。)に係る主要な資産及び負債が当該被現物出資法人に移転していること。

(2) 当該現物出資の直前の現物出資事業に係る従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該現物出資後に当該被現物出資法人の業務(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に従事することが見込まれていること。

(3) 当該現物出資に係る現物出資事業が当該現物出資後に当該被現物出資法人(当該被現物出資法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該現物出資後に行われる適格合併により当該現物出資事業が当該適格合併に係る合併法人に移転することが見込まれている場合における当該合併法人及び当該合併法人との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。

ハ その現物出資に係る現物出資法人と被現物出資法人(当該現物出資が法人を設立する現物出資である場合にあつては、当該現物出資法人と他の現物出資法人)とが共同で事業を行うための現物出資として政令で定めるもの

十二の十五 適格現物分配 内国法人を現物分配法人とする現物分配のうち、その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう。

十二の十五の二 株式分配 現物分配(剰余金の配当又は利益の配当に限る。)のうち、その現物分配の直前において現物分配法人により発行済株式等の全部を保有されていた法人(次号において「完全子法人」という。)の当該発行済株式等の全部が移転するもの(その現物分配により当該発行済株式等の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該現物分配法人との間に完全支配関係がある者のみである場合における当該現物分配を除く。)をいう。

十二の十五の三 適格株式分配 完全子法人の株式のみが移転する株式分配のうち、完全子法人と現物分配法人とが独立して事業を行うための株式分配として政令で定めるもの(当該株式が現物分配法人の発行済株式等の総数又は総額のうちに占める当該現物分配法人の各株主等の有する当該現物分配法人の株式の数(出資にあつては、金額)の割合に応じて交付されるものに限る。)をいう。

十二の十六 株式交換等 株式交換及びイからハまでに掲げる行為により対象法人(それぞれイからハまでに規定する法人をいう。)がそれぞれイ若しくはロに規定する最大株主等である法人又はハの一の株主等である法人との間にこれらの法人による完全支配関係を有することとなることをいう。

イ 全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(イにおいて「取得決議」という。)によつてその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。)に係る取得決議によりその取得の対価として当該法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)に一に満たない端数の株式以外の当該法人の株式が交付されないこととなる場合の当該取得決議

ロ 株式の併合で、その併合をした法人の最大株主等(当該法人以外の当該法人の株主等のうちその有する当該法人の株式の数が最も多い者をいう。)以外の全ての株主等(当該法人及び当該最大株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の有することとなる当該法人の株式の数が一に満たない端数となるもの

ハ 株式売渡請求(法人の一の株主等が当該法人の承認を得て当該法人の他の株主等(当該法人及び当該一の株主等との間に完全支配関係がある者を除く。)の全てに対して法令(外国の法令を含む。ハにおいて同じ。)の規定に基づいて行う当該法人の株式の全部を売り渡すことの請求をいう。)に係る当該承認により法令の規定に基づき当該法人の発行済株式等(当該一の株主等又は当該一の株主等との間に完全支配関係がある者が有するものを除く。)の全部が当該一の株主等に取得されることとなる場合の当該承認

十二の十七 適格株式交換等 次のいずれかに該当する株式交換等で株式交換等完全子法人の株主等に株式交換等完全親法人又は株式交換完全支配親法人(株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を直接又は間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人をいう。)のうちいずれか一の法人の株式以外の資産(当該株主等に対する剰余金の配当として交付される金銭その他の資産、株式交換等に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産、株式交換の直前において株式交換完全親法人が株式交換完全子法人の発行済株式(当該株式交換完全子法人が有する自己の株式を除く。)の総数の三分の二以上に相当する数の株式を有する場合における当該株式交換完全親法人以外の株主に交付される金銭その他の資産、前号イの取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産、同号イに掲げる行為に係る同号イの一に満たない端数の株式又は同号ロに掲げる行為により生ずる同号ロに規定する法人の一に満たない端数の株式の取得の対価として交付される金銭その他の資産及び同号ハの取得の対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。

イ その株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換

ロ その株式交換等に係る株式交換等完全子法人と株式交換等完全親法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式交換等のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの

(1) 当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式交換等完全子法人の業務(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式交換等後に行われる適格合併又は当該株式交換等完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。

(2) 当該株式交換等完全子法人の当該株式交換等前に行う主要な事業が当該株式交換等完全子法人(当該株式交換等完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式交換等後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。

ハ その株式交換に係る株式交換完全子法人と株式交換完全親法人とが共同で事業を行うための株式交換として政令で定めるもの

十二の十八 適格株式移転 次のいずれかに該当する株式移転で株式移転完全子法人の株主に株式移転完全親法人の株式以外の資産(株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されないものをいう。

イ その株式移転に係る株式移転完全子法人と当該株式移転に係る他の株式移転完全子法人(以下この号において「他の株式移転完全子法人」という。)との間に同一の者による完全支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転又は一の法人のみがその株式移転完全子法人となる株式移転で政令で定めるもの

ロ その株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人との間にいずれか一方の法人による支配関係その他の政令で定める関係がある場合の当該株式移転のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの

(1) 当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転の直前の従業者のうち、その総数のおおむね百分の八十以上に相当する数の者が当該株式移転完全子法人の業務(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人の業務並びに当該株式移転後に行われる適格合併又は当該株式移転完全子法人を分割法人若しくは現物出資法人とする適格分割若しくは適格現物出資(ロにおいて「適格合併等」という。)により当該株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人、分割承継法人又は被現物出資法人(ロにおいて「合併法人等」という。)に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人の業務を含む。)に引き続き従事することが見込まれていること。

(2) 当該株式移転に係る各株式移転完全子法人の当該株式移転前に行う主要な事業が当該株式移転完全子法人(当該株式移転完全子法人との間に完全支配関係がある法人並びに当該株式移転後に行われる適格合併等により当該主要な事業が当該適格合併等に係る合併法人等に移転することが見込まれている場合における当該合併法人等及び当該合併法人等との間に完全支配関係がある法人を含む。)において引き続き行われることが見込まれていること。

ハ その株式移転に係る株式移転完全子法人と他の株式移転完全子法人とが共同で事業を行うための株式移転として政令で定めるもの

十二の十九 恒久的施設 次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。

イ 外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの

ロ 外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの

ハ 外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの

十三 収益事業 販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいう。

十四 株主等 株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。

十五 役員 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者のうち政令で定めるものをいう。

十六 資本金等の額 法人が株主等から出資を受けた金額として政令で定める金額をいう。

十七 削除

十八 利益積立金額 法人の所得の金額で留保している金額として政令で定める金額をいう。

十九 欠損金額 各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額が当該事業年度の益金の額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。

二十 棚卸資産 商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産で棚卸しをすべきものとして政令で定めるもの(有価証券及び第六十一条第一項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する短期売買商品等を除く。)をいう。

二十一 有価証券 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項(定義)に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるもの(自己が有する自己の株式又は出資及び第六十一条の五第一項(デリバティブ取引に係る利益相当額又は損失相当額の益金又は損金算入等)に規定するデリバティブ取引に係るものを除く。)をいう。

二十二 固定資産 土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産で政令で定めるものをいう。

二十三 減価償却資産 建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。

二十四 繰延資産 法人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。

二十五 損金経理 法人がその確定した決算において費用又は損失として経理することをいう。

二十六 合同運用信託 信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二項に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十四項に規定する外国投資信託をいう。次号及び第二十九号ロにおいて同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。

二十七 証券投資信託 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。

二十八 公社債投資信託 証券投資信託のうち、その信託財産を公債又は社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)に対する投資として運用することを目的とするもので、株式又は出資に対する投資として運用しないものをいう。

二十九 集団投資信託 次に掲げる信託をいう。

イ 合同運用信託

ロ 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託(次に掲げるものに限る。)及び外国投資信託

(1) 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託

(2) その受託者(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第一項に規定する委託者指図型投資信託にあつては、委託者)による受益権の募集が、同条第八項に規定する公募により行われ、かつ、主として国内において行われるものとして政令で定めるもの

ハ 特定受益証券発行信託(信託法(平成十八年法律第百八号)第百八十五条第三項(受益証券の発行に関する信託行為の定め)に規定する受益証券発行信託のうち、次に掲げる要件の全てに該当するもの(イに掲げる信託及び次号ハに掲げる信託を除く。)をいう。)

(1) 信託事務の実施につき政令で定める要件に該当するものであることについて政令で定めるところにより税務署長の承認を受けた法人((1)において「承認受託者」という。)が引き受けたものであること(その計算期間開始の日の前日までに、当該承認受託者(当該受益証券発行信託の受託者に就任したことによりその信託事務の引継ぎを受けた承認受託者を含む。)がその承認を取り消された場合及び当該受益証券発行信託の受託者に承認受託者以外の者が就任した場合を除く。)。

(2) 各計算期間終了の時における未分配利益の額として政令で定めるところにより計算した金額のその時における元本の総額に対する割合((3)において「利益留保割合」という。)が政令で定める割合を超えない旨の信託行為における定めがあること。

(3) 各計算期間開始の時において、その時までに到来した利益留保割合の算定の時期として政令で定めるもののいずれにおいてもその算定された利益留保割合が(2)に規定する政令で定める割合を超えていないこと。

(4) その計算期間が一年を超えないこと。

(5) 受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)が存しない信託に該当したことがないこと。

二十九の二 法人課税信託 次に掲げる信託(集団投資信託並びに第十二条第四項第一号(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する退職年金等信託及び同項第二号に規定する特定公益信託等を除く。)をいう。

イ 受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託

ロ 第十二条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)が存しない信託

ハ 法人(公共法人及び公益法人等を除く。)が委託者となる信託(信託財産に属する資産のみを信託するものを除く。)で、次に掲げる要件のいずれかに該当するもの

(1) 当該法人の事業の全部又は重要な一部(その譲渡につき当該法人の会社法(平成十七年法律第八十六号)第四百六十七条第一項(第一号又は第二号に係る部分に限る。)(事業譲渡等の承認等)の株主総会の決議(これに準ずるものを含む。)を要するものに限る。)を信託し、かつ、その信託の効力が生じた時において、当該法人の株主等が取得する受益権のその信託に係る全ての受益権に対する割合が百分の五十を超えるものとして政令で定めるものに該当することが見込まれていたこと(その信託財産に属する金銭以外の資産の種類がおおむね同一である場合として政令で定める場合を除く。)。

(2) その信託の効力が生じた時又はその存続期間(その信託行為において定められた存続期間をいう。(2)において同じ。)の定めの変更の効力が生じた時((2)において「効力発生時等」という。)において当該法人又は当該法人との間に政令で定める特殊の関係のある者((2)及び(3)において「特殊関係者」という。)が受託者であり、かつ、当該効力発生時等において当該効力発生時等以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたこと(当該法人又は当該法人の特殊関係者のいずれもがその受託者でなかつた場合において当該法人又は当該法人の特殊関係者がその受託者に就任することとなり、かつ、その就任の時においてその時以後のその存続期間が二十年を超えるものとされていたときを含むものとし、その信託財産の性質上その信託財産の管理又は処分に長期間を要する場合として政令で定める場合を除く。)。

(3) その信託の効力が生じた時において当該法人又は当該法人の特殊関係者をその受託者と、当該法人の特殊関係者をその受益者とし、かつ、その時において当該特殊関係者に対する収益の分配の割合の変更が可能である場合として政令で定める場合に該当したこと。

ニ 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託

ホ 資産の流動化に関する法律第二条第十三項に規定する特定目的信託

三十 中間申告書 第七十一条第一項(中間申告)又は第百四十四条の三第一項若しくは第二項(中間申告)の規定による申告書をいう。

三十一 確定申告書 第七十四条第一項(確定申告)又は第百四十四条の六第一項若しくは第二項(確定申告)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。

三十二 退職年金等積立金中間申告書 第八十八条(退職年金等積立金に係る中間申告)(第百四十五条の五(申告及び納付)において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。

三十三 退職年金等積立金確定申告書 第八十九条(退職年金等積立金に係る確定申告)(第百四十五条の五において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。

三十四 期限後申告書 国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書をいう。

三十五 修正申告書 国税通則法第十九条第三項(修正申告)に規定する修正申告書をいう。

三十六 青色申告書 第百二十一条(青色申告)(第百四十六条第一項(青色申告)において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する第三十号から第三十三号までに掲げる申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書をいう。

三十七 更正請求書 国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書をいう。

三十八 中間納付額 第七十六条(中間申告による納付)又は第百四十四条の九(中間申告による納付)の規定により納付すべき法人税の額(その額につき修正申告書の提出又は更正があつた場合には、その申告又は更正後の法人税の額)をいう。

三十九 更正 国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。

四十 決定 この編、次編第一章第一節(課税標準及びその計算)、第八十条第四項(欠損金の繰戻しによる還付)、第百三十三条(更正等による所得税額等の還付)、第百三十四条(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)、第百三十五条第三項第三号及び第四項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の還付の特例)、第百四十七条の三(更正等による所得税額等の還付)並びに第百四十七条の四(確定申告に係る更正等又は決定による中間納付額の還付)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。

四十一 附帯税 国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。

四十二 充当 国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。

四十三 還付加算金 国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。

四十四 地方税 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号(用語)に規定する地方団体の徴収金(都及び特別区のこれに相当する徴収金を含む。)をいう。

 

(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)

第三十一条 内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその償却費として第二十二条第三項(各事業年度の所得の金額の計算の通則)の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)に達するまでの金額とする。

2 内国法人が、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配(適格現物分配にあつては、残余財産の全部の分配を除く。以下第四項までにおいて「適格分割等」という。)により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に減価償却資産を移転する場合において、当該減価償却資産について損金経理額に相当する金額を費用の額としたときは、当該費用の額とした金額(次項及び第四項において「期中損金経理額」という。)のうち、当該減価償却資産につき当該適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合に前項の規定により計算される償却限度額に相当する金額に達するまでの金額は、当該適格分割等の日の属する事業年度(第四項において「分割等事業年度」という。)の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

3 前項の規定は、同項の内国法人が適格分割等の日以後二月以内に期中損金経理額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。

4 損金経理額には、第一項の減価償却資産につき同項の内国法人が償却費として損金経理をした事業年度(以下この項において「償却事業年度」という。)前の各事業年度における当該減価償却資産に係る損金経理額(当該減価償却資産が適格合併又は適格現物分配(残余財産の全部の分配に限る。)により被合併法人又は現物分配法人(以下この項において「被合併法人等」という。)から移転を受けたものである場合にあつては当該被合併法人等の当該適格合併の日の前日又は当該残余財産の確定の日の属する事業年度以前の各事業年度の損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を、当該減価償却資産が適格分割等により分割法人、現物出資法人又は現物分配法人(以下この項において「分割法人等」という。)から移転を受けたものである場合にあつては当該分割法人等の分割等事業年度の期中損金経理額として帳簿に記載した金額及び分割等事業年度前の各事業年度の損金経理額のうち分割等事業年度以前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含む。以下この項において同じ。)のうち当該償却事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとし、期中損金経理額には、第二項の内国法人の分割等事業年度前の各事業年度における同項の減価償却資産に係る損金経理額のうち当該各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されなかつた金額を含むものとする。

5 前項の場合において、内国法人の有する減価償却資産(適格合併により被合併法人から移転を受けた減価償却資産、第六十二条の九第一項(非適格株式交換等に係る株式交換完全子法人等の有する資産の時価評価損益)の規定の適用を受けた同項に規定する時価評価資産に該当する減価償却資産その他の政令で定める減価償却資産に限る。)につきその価額として帳簿に記載されていた金額として政令で定める金額が当該移転の直前に当該被合併法人の帳簿に記載されていた金額、同条第一項の規定の適用を受けた直後の帳簿価額その他の政令で定める金額に満たない場合には、当該満たない部分の金額は、政令で定める事業年度前の各事業年度の損金経理額とみなす。

6 第一項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額、減価償却資産について支出する金額のうち使用可能期間を延長させる部分等に対応する金額を減価償却資産の取得価額とする特例その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。

 

法人税法施行令

(減価償却資産の範囲)

第十三条 法第二条第二十三号(定義)に規定する政令で定める資産は、棚卸資産、有価証券及び繰延資産以外の資産のうち次に掲げるもの(事業の用に供していないもの及び時の経過によりその価値の減少しないものを除く。)とする。

一 建物及びその附属設備(暖冷房設備、照明設備、通風設備、昇降機その他建物に附属する設備をいう。)

二 構築物(ドック、橋、岸壁、桟橋、軌道、貯水池、坑道、煙突その他土地に定着する土木設備又は工作物をいう。)

三 機械及び装置

四 船舶

五 航空機

六 車両及び運搬具

七 工具、器具及び備品(観賞用、興行用その他これらに準ずる用に供する生物を含む。)

八 次に掲げる無形固定資産

イ 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含む。)

ロ 漁業権(入漁権を含む。)

ハ ダム使用権

ニ 水利権

ホ 特許権

ヘ 実用新案権

ト 意匠権

チ 商標権

リ ソフトウエア

ヌ 育成者権

ル 公共施設等運営権

ヲ 樹木採取権

ワ 営業権

カ 専用側線利用権(鉄道事業法(昭和六十一年法律第九十二号)第二条第一項(定義)に規定する鉄道事業又は軌道法(大正十年法律第七十六号)第一条第一項(軌道法の適用対象)に規定する軌道を敷設して行う運輸事業を営む者(以下この号において「鉄道事業者等」という。)に対して鉄道又は軌道の敷設に要する費用を負担し、その鉄道又は軌道を専用する権利をいう。)

ヨ 鉄道軌道連絡通行施設利用権(鉄道事業者等が、他の鉄道事業者等、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構又は国若しくは地方公共団体に対して当該他の鉄道事業者等、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構若しくは独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構の鉄道若しくは軌道との連絡に必要な橋、地下道その他の施設又は鉄道若しくは軌道の敷設に必要な施設を設けるために要する費用を負担し、これらの施設を利用する権利をいう。)

タ 電気ガス供給施設利用権(電気事業法(昭和三十九年法律第百七十号)第二条第一項第八号(定義)に規定する一般送配電事業、同項第十号に規定する送電事業、同項第十一号の二に規定する配電事業若しくは同項第十四号に規定する発電事業又はガス事業法(昭和二十九年法律第五十一号)第二条第五項(定義)に規定する一般ガス導管事業を営む者に対して電気又はガスの供給施設(同条第七項に規定する特定ガス導管事業の用に供するものを除く。)を設けるために要する費用を負担し、その施設を利用して電気又はガスの供給を受ける権利をいう。)

レ 水道施設利用権(水道法(昭和三十二年法律第百七十七号)第三条第五項(用語の定義)に規定する水道事業者に対して水道施設を設けるために要する費用を負担し、その施設を利用して水の供給を受ける権利をいう。)

ソ 工業用水道施設利用権(工業用水道事業法(昭和三十三年法律第八十四号)第二条第五項(定義)に規定する工業用水道事業者に対して工業用水道施設を設けるために要する費用を負担し、その施設を利用して工業用水の供給を受ける権利をいう。)

ツ 電気通信施設利用権(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第九条第一号(電気通信事業の登録)に規定する電気通信回線設備を設置する同法第二条第五号(定義)に規定する電気通信事業者に対して同条第四号に規定する電気通信事業の用に供する同条第二号に規定する電気通信設備の設置に要する費用を負担し、その設備を利用して同条第三号に規定する電気通信役務の提供を受ける権利(電話加入権及びこれに準ずる権利を除く。)をいう。)

九 次に掲げる生物(第七号に掲げるものに該当するものを除く。)

イ 牛、馬、豚、綿羊及びやぎ

ロ かんきつ樹、りんご樹、ぶどう樹、梨樹、桃樹、桜桃樹、びわ樹、くり樹、梅樹、柿樹、あんず樹、すもも樹、いちじく樹、キウイフルーツ樹、ブルーベリー樹及びパイナップル

ハ 茶樹、オリーブ樹、つばき樹、桑樹、こりやなぎ、みつまた、こうぞ、もう宗竹、アスパラガス、ラミー、まおらん及びホップ