一棟の建物のうち構造上及び利用上の独立性のある建物部分に賃借権が設定されたにもかかわらず建物全部について賃借権設定登記がされている場合に右登記の抹消登記手続請求を認容すべき範囲
賃借権設定登記抹消登記手続請求事件
【事件番号】 最高裁判所第1小法廷判決/平成4年(オ)第2188号
【判決日付】 平成7年1月19日
【判示事項】 一棟の建物のうち構造上及び利用上の独立性のある建物部分に賃借権が設定されたにもかかわらず建物全部について賃借権設定登記がされている場合に右登記の抹消登記手続請求を認容すべき範囲
【判決要旨】 一棟の建物のうち構造上及び利用上の独立性のある建物部分に賃借権が設定されたにもかかわらず、建物全部について賃借権設定登記がされている場合、右登記の抹消登記手続請求は、右建物部分を除く残余の部分に関する限度において認容すべきである。
【参照条文】 民法177
不動産登記法94の2
不動産登記法96の2
【掲載誌】 最高裁判所裁判集民事174号1頁
裁判所時報1139号27頁
判例タイムズ871号300頁
金融・商事判例965号3頁
判例時報1520号84頁
金融法務事情1417号55頁
民法
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
建物の区分所有等に関する法律
(建物の区分所有)
第一条 一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
不動産登記法
(賃借権の登記等の登記事項)
第八十一条 賃借権の登記又は賃借物の転貸の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。
一 賃料
二 存続期間又は賃料の支払時期の定めがあるときは、その定め
三 賃借権の譲渡又は賃借物の転貸を許す旨の定めがあるときは、その定め
四 敷金があるときは、その旨
五 賃貸人が財産の処分につき行為能力の制限を受けた者又は財産の処分の権限を有しない者であるときは、その旨
六 土地の賃借権設定の目的が建物の所有であるときは、その旨
七 前号に規定する場合において建物が借地借家法第二十三条第一項又は第二項に規定する建物であるときは、その旨
八 借地借家法第二十二条第一項前段、第二十三条第一項、第三十八条第一項前段若しくは第三十九条第一項、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)第五十二条第一項又は大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法第七条第一項の定めがあるときは、その定め